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Radeonの歴史とWindowz10で動くチップ [ハードウェア]

ここ数年、どうにもRadeonに元気が無い。
理由は色々あるが、NVIDIAが強すぎるというよりAMDが墓穴を掘っている感が拭えないのは私だけだろうか。


ところで近年のパソコン用ビデオチップは、メーカーが二つしかないのに種類があまりにも多い。性能別のクラス分けが細分化されすぎている上にそこへ新旧世代が入り混じっている事と、Windowz10のサポートの問題もあってかなりややこしい事になっている。

殊にRadeon系はアーキテクチャの違いでズバッとサポートの切り捨てがあったりするので、どの世代のどのチップが最新のWindowsに対応するのか、そしてチップごとのドライバ対応具合がどうなっているのか非常に解り辛い。


というわけで、自分のためにRadeonの歴史とアーキテクチャの整理をしようと思った。

以下はコアの型番ごとに必要最低限と思われる情報を出来るだけ三行にまとめている。


Radeonの歴史(初代~VEGAまで)

AGP世代

・R100/RV100(Windowz 98~Xpまで対応)
 ATI時代に開発された初代Radeon、2000年4月登場、型番は無し又は7000番台
 DirectX7までサポート、Windowz 9x~Xpまで対応
 代表的なチップは初登場の無印Radeon、ハイエンドモデルのRadeon 7500


・R200/RV200(Windowz 98~Xpまで対応)
 第二世代Radeon、2001年8月登場、型番は8000番台及び9000番台の下位モデル
 DirectX8.1までサポート
 代表的なチップはRadeon 8500、RV200を使ったRadeon 7500の省電力モデルも出ている


・R300/R350/R360/RV350/RV360(Windowz 98~Vistaまで対応、64bit Driver有り)
 第三世代Radeon、2002年7月登場、型番は9500~9800番台
 DirectX9.0までサポート、下位モデル(Radeon 9000~9250)はRV200のリネーム品
 代表的なチップは初代のRadeon 9700、最終モデルでハイエンドのRadeon 9800XT


PCI Express世代

・RV370/RV380(Windowz 2000~Vistaまで対応、64bit Driver有り)
 初代X型番Radeon、初登場は2004年6月、型番はX300~X600のX3桁型番
 DirectX9.0までサポート、ミドル~ローエンド向けのR300系チップ発展型
 代表的なチップはRadeon X600 XT (X550のリネーム品でX1050が存在)

・R4xx/RV4xx(Windowz Xp~Vistaまで対応、64bit Driver有り)
 初代X型番Radeonの上位チップ、初登場は2004年5月、型番はX700~X850のX3桁型番
 DirectX 9.0bまでサポート、PCI Expressへの過渡期でAGP版も存在
 代表的なチップはハイエンドのRadeon X850 XT


・R5xx/RV5xx(Windowz Xp~Vistaまで対応、64bit Driver有り)
 第二世代X型番Radeon、初登場は2005年10月、型番はX1300~X1950のX4桁型番
 DirectX 9.0cまでサポート、PCI Expressへの過渡期でAGP版も存在
 代表的なチップはハイエンドのRadeon X1950 XT


・R600/RV610/RV630(Windowz Xp~8まで対応)
 初代HD型番Radeon、初登場は2007年5月、型番はHD2000~HD2900の2000番台
 DirectX10.0までサポート、これよりGDIのハードウェア2Dアクセラレーションを削除
 代表的なチップはハイエンドのHD 2900 XT、ロングセラーのHD 2400


・RV670/RV635/RV620(Windowz Xp~8まで対応)
 第二世代HD型番Radeon、初登場は2007年11月、型番はHD3410~HD3870の3000番台
 DirectX10.1までサポート、R600/RV600系の改良型でハイエンド向けチップは無し
 代わりにハイエンド向けカードにはミドル向けチップ2個を搭載してお茶を濁す


・RV7xx(Windowz Xp~8まで対応)
 第三世代HD型番Radeon、初登場は2008年6月、型番はHD4350~HD4890の4000番台
 DirectX10.1までサポート、アーキテクチャを一新するがハイエンドチップ無し
 相変わらずハイエンド向けカードにはミドル向けチップ2個を搭載


・Cedar、Redwood 、Juniper、Cypress(以降Windowz 10まで対応)
 第四世代HD型番Radeon、初登場は2009年3月、型番はHD5450~HD5970の5000番台
 DirectX11までサポート、ハイエンドチップ無し
 当然、ハイエンド向けカードにはミドル向けチップ2個を搭載


・Cedar(HD6350のみ)、Caicos 、Turks、Barts、Cayman
 第五世代HD型番Radeon、初登場は2010年8月、型番はHD6350~HD6990の6000番台
 DirectX11までサポート、ハイエンドチップの開発を諦めた最後のRadeon
 その代わりローエンドのHD6450は大ヒット&超ロングセラー


・Cedar(HD7350のみ)、Caicos、Turks、Cape Verde 、Pitcairn、Tahiti
 第六世代HD型番Radeon、初登場は2012年1月、型番はHD7350~HD7990の7000番台
 DirectX12までサポート、アーキテクチャを一新した初代GCNアーキテクチャ
 HD7350~HD7500番台は旧世代チップのリネーム品(当然GCNではないので注意)
 代表的なチップはハイエンドのHD7970、大ヒットしたHD7750/HD7770


・Cedar(HD8350のみ)、Caicos、Oland、Cape Verde 、Bonaire、Pitcairn、Tahiti
 第七世代HD型番Radeon、初登場は2013年1月、型番はHD8350~HD8990の8000番台
 DirectX12までサポート、大ヒットした初代GCNコアを引き続き使用
 HD8350~8500番台は旧世代チップのリネーム品、HD8770のみGCN 2nd gen


・Cedar(R5 210)、Caicos、Oland、Cape Verde 、Bonaire、Pitcairn、Tahiti、Hawaii、Tonga
 初代R型番Radeon、初登場は2013年8月、型番はR5 210~R9 295 のRx 200番台
 DirectX12までサポート、GCN 2nd genアーキテクチャ
 R7 260/260XとR9 290/290X以外は旧世代チップのリネーム品、R9 285のみGCN 3rd gen


・Oland、Cape Verde 、Bonaire、Curacao、Pitcairn、Hawaii、Tonga、Fiji
 第二世代R型番Radeon、初登場は2015年5月、型番はR5 330~R9 390 のRx 300番台
 DirectX12までサポート、GCN 3rd gen、ハイエンドは数字ではない名が付く
 R9 380/380XとR9 Fury/R9 nano/R9 Pro Duo以外は旧世代チップのリネーム品


・Polaris 10/11
 初代RX型番Radeon、初登場は2016年6月、型番はRX 460~480 の400番台
 DirectX12までサポート、GCN 4th genアーキテクチャのミドル~ローエンドGPU
 ハイエンドは引き続きR9 Fury/R9 nano/R9 Pro Duoが担う


・Polaris 20/11/12
 第二世代RX型番Radeon、初登場は2017年4月、型番はRX 550~580 の500番台
 DirectX12までサポート、GCN 4th genアーキテクチャのミドル~ローエンドGPU
 ハイエンドは引き続きR9 Fury/R9 nano/R9 Pro Duoが担う


・Vega10
 第三世代RX型番Radeon、初登場は2017年8月、型番はRX VEGA 56/64
 DirectX12までサポート、GCN 5th genアーキテクチャ
 遅れに遅れたRX世代ハイエンドだが、性能はGeForce系に一歩及ばず消費電力も多い
 GCN系はDirectX 12に最適化されている事を差し引いても残念


・Vega11
 APUに搭載されたVEGA、初登場は2018年4月、型番はRYZEN 5 2400G/RYZEN 3 2200G
 DirectX12までサポート、GCN 5th genアーキテクチャ
 RX VEGAがAMDのグラフィックス部門を苦境に追い込んだのと対照的に良く売れている
 ここまでこれ以外全て後付けビデオカードだが、CPU内蔵GPUで革命を起した記念に記載



以上、初代の2000年4月~2018年6月現在まで。

そして今回色々調べてわかったのは、AMDによるWindowz10正式サポートはRadeon HD 5000系以降(もちろんリネーム品の旧世代は省く)であり、共通する条件はDirectX11に対応するかどうか。これより古いものでVista又は7又は8用ドライバで動作する可能性があるのは“ Radeon 9500系以降 ~ Radeon HD 4000系 ”で、DirectX9に対応する事が境界線になっているようである。
もちろん正式サポートの無いドライバは動作する保証が一切無いので、動かない場合はあきらめるしかない。

尚、ここにまとめた情報は基本的にAMDの公式サイトとWikipediaのUSサイトを参考にしていて、他にもWikipediaのJPサイトや各世代のカードが発売された時期のWeb上にあるパソコン系情報サイトの記事から情報を拾い集めてきた。

また、チップセット内蔵やモバイル系用後付GPUに関しては調べるのが面倒で省いているが、各OSのサポートは基本的にデスクトップ向けのGPUやAPUとほぼ同じである。

APUに関しては初代の3000系APUからBulldozer系APUの最終型番であるBristolridgeまでの全てが、Bobcat系のE350等3桁型番及びJaguar系A4/A6/E1/E2の4桁型番(デスクトップ用のAthlon 5350等も)など全てがWindowz10に正式対応していて、AMDの公式サイト又はWindows updateでGPUのドライバが手に入る。
さらに現行製品のRYZEN 3 2200G&RYZEN 5 2400Gは、そもそもWindowz10以外のドライバサポートが存在しない。

デスクトップ用のチップセット向けはAMD 785G(Socket AM2+/AM3)でWindowz10用のドライバがWindows updateで自動的にインストールされる事を確認しているので、この世代以降であればデスクトップもノートもWindowz10が利用できるだろう。(もしかするとAMD780か790GXまでいけるかもしれない)

また、冒険がしたいのなら、Radeon X1000番台までならばVista用のドライバで動作する事を私自身が確認していて、ノートパソコンのRadeon X1150とデスクトップのRadeon X1650でWindowz10の動作実績がある。これらより古いRadeon 9550/9600や9700/9800などもVistaの64bitドライバがあるので、動く可能性はある。AGP対応のビデオカードでは動作する環境をそろえる事が難しいかもしれないが。


これからWindowz10で旧世代のAMD製GPUを利用しようと思っている奇特な方がこの記事を見つけたならば、参考にしてもらえると嬉しい。


※追記
未確認だが、Radeon HD 2000系~HD4000系でもWindows updateにてWindowz10用ドライバがインストールされるようである。



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