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永遠に解り得ない [旧式パソコン]

PC-9821系用の、Socet 5 又は Socet7 用CPUアクセラレータを手に入れた。

物はMMX Pentium 233Mhzを搭載した製品で、IO-DATAの「PK-MXP233/98」というシロモノ。

PK-MXP233_98.jpg

端的に言えば「PC-9821用のMMX Pentium 233Mhzのオーバードライブプロセッサー」である。


「オーバードライブプロセッサー」

今では馴染みがない単語だろう。

昔は性能向上を目的とした交換用CPUは「オーバードライブプロセッサー」(以下ODP)という名前の製品として売られていた。

何故なら、パソコン用CPUの製造元であるIntel自身がそういう名前で自社のCPUを売っていたからだ。

なので、他の会社も同じ目的のパソコン用品に対してODPという名を付ける事が慣例になっていた。


さて。

今回ネタになった「PK-MXP233/98」。

この商品が顧客として想定していたのが、Pentium系のCPUを搭載する、NECのPC-9821系パソコン。

PKシリーズ対応機種一覧表「NEC PC-9800シリーズ」
https://www.iodata.jp/products/cpu/sheet/pk_9801_tbl.htm

要は「FSB の3.5倍で動作するMMX Pentium」を、お手元のPC-9821シリーズに如何Deathか・・・と。

このODP。

その効果は非常に高く、Pentium 100Mhz程度の9821に取り付けると、体感でわかるほど激速になった。

元が100Mhzならば単純に約3倍だ。

もちろん、その後に出たK6系のODPはその上を行く性能だったが、その頃になるとPC/AT互換機を買う方がコストパフォーマンスが上だったので、私もPC98x1から自作のPC/AT互換機に移行したが。

PC-98x1シリーズが積み上げた十数年という歳月の間に定着した文化はそう簡単には消えるわけもなく。

21世紀初頭まで、この手のODPに対する需要は消えなかった。


が。

21世紀になって四半世紀になろうとする今、もはやこの話を理解出来る者は「当時を知る者」以外に居ない。

CPUパワーのインフレーションと、アプリケーションソフトウェアの非効率化がここまで進んだ今となっては、CPUの動作速度が100Mhzから200Mhz程度に上がったとか意味不明。

時代は底辺が3Ghz、上は6Ghzの時代なのだ。


こうなるとPentium 100Mhz前後が基準だった頃のことなど、2023年現在の大衆に理解出来るかといえば不可能。

これは永遠に解り得ない。

だが。

だからこそ、今、こうした価値観を残すべきではないのかと思う。

理由は、一言で言えば「自らの傲慢さを理解するため」だ。

限られた資源を有効活用する、という意味では、当時は今と比べる事が出来ないほど進んでいた。

逆に言えば今は退化の進行が凄まじいのだ。

とはいえ。

21世紀後に生まれた人達にこれを理解せよというのは無理。

永遠に解り得ないのである。


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ナノマシン兵器 [雑談]

ウクライナでの戦争を見ればわかるように、対称戦の場合はこれまで有効とされてきた大型兵器の多くが無用の長物と化した。

特にそう言えるのがステルス戦闘機。

極めて高価で維持運用にかかる経費も極度に高く、利用可能な状況ではたしかに費用対効果は高いが、それが成立する条件は今後ほとんどゼロと断言出来る。

何故なら2023年現在のレーダーとミサイル技術(含む個人携帯が可能な対空ミサイル)は、ステルス戦闘機がこれらの防空設備を破壊可能な距離よりも遠くからステルス戦闘機を破壊できるからだ。(具体的には、対ステルスレーダーでステルス戦闘機を発見→最寄りの発見がほとんど不可能な小さな対空設備から目標まで数kmの近距離で対空ミサイルを発射→撃墜という流れ)

何故ステルス戦闘機が最新のレーダーで容易に発見出来るかというと、単純に現代の飛行機自体が大きいからだ。

だからこれまでの「レーダーでは発見出来ない」という、そもそも誤った常識は通用しなくなった。

その理由は、ステルス戦闘機はレーダーでの探知を通常の飛行機より近距離になるまで難しくするという効果しかないというのが現実だからだ。

もし、ステルス戦闘機が今まで言われて来たような“最強兵器”というのが現実だったら。

ウクライナは2022年の2月中に、ロシアによって占領されていただろう。


さて。

ステルス戦闘機に代わり今後最強となる兵器は何かというと。

すでに実証されているように、それは超小型のUAVである。

私は10年以上前にこの持論を某サイトでブチ上げたが、重厚長大が最強とする論に塗りつぶされてしまった。

だが現実は御覧の通りである。

どんなにレーダーが発達しても、無数の小鳥が分散して絶え間なく情報収集し、或いは自爆攻撃する状況に対応出来るのか。

答えは、否、である。

対応するには、小鳥と同程度の大きさしかないUAVを識別可能なレベルの高性能なレーダーを網の目のように設置した「レーダーネットワーク」(※これはあらゆる手段のレーダーが必要になるだろう)で補足し、さらに侵入してきた無数のUAVを永続的に破壊する手段がなければならない。

これを戦時中に維持できるのかといえば現実的に不可能としか思えない。

何故なら安価で大量に使い捨て出来る兵器が主流ともなれば、飽和攻撃も簡単だからだ。
※これは現実に、現在進行形で生きた人間を使って行われている。


すると、その究極はどうなるのか。

これはもう兵器の小型化を極限まで追求する事になるだろう。

その行き着く先は「ナノマシン兵器」である。

SFの世界になってしまうが、ウイルスと同等のサイズまで小型化された兵器が、人知れず、兵器と兵器のぶつかり合いどころか小銃の撃ち合いすら起こる前に、戦争の勝敗を決するのだ。

ナノマシン兵器が実用化されれば、地球上の70憶人を超える人間を、1秒の誤差も無く同時に殺害する事も可能になるだろう。

当然、その効果は制御可能で、特定の地域の特定の人間だけを殺す、という事も簡単だ。


さあ、これからどうなるのか、少なくとも今よりさらに最悪な状況が現実となるのは私がこの世を去った後になるだろう。

私の経験では、人類の常識は近隣の人間関係ですら「自分中心のワンダーランド」(※含む~活動家やそれに類似する者)という状況なので、問題の本質について気付く人はほとんどなく、これからも良い方向への状況変化は期待出来ないとしか私には思えない。



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続・12VHPWRコネクタについて [ハードウェア]

12VHPWRコネクタについて新たな情報を得た。

なんでも提唱者のIntelが、12VHPWRコネクタの端子を設計しなおしたそうだ。

以下、情報を得たサイトの記事からの引用。


インテルは現在、12+4ピンATX 12VHPWR電源コネクタのオスコネクタのデザイン更新に取り組んでいます。この再設計は、コネクタの接続と保持を強化し、不適切な嵌合や保持による潜在的な火災の危険性を低減することを目的としています。

このオスコネクターは、既存のデバイスで使用されているメスコネクターと完全に互換性があります。主な変更点は、コネクターピンの接合部を従来の「3ディンプル」から「プッシュスプリング」タイプに変更したことです。これにより、ケーブルの曲げ伸ばしに耐える耐久性が大幅に向上し、接触が弱くなり断線しにくくなりました。

この設計変更により、コネクタの構造的完全性と安定性が向上し、接続不良による電気火災のリスクが低減されます。この設計変更により、インテルは、幅広い機器において、電源コネクタの安全で信頼性の高い性能を保証します。


以上。


要は設計に不備があったので直したと。

でも問題の原因は利用者にあるから!悪いのは利用者だから!

という事らしい。


まあ修正前と後の絵を見たが、これはこれで別の所が問題になると思う。

12VHPWR_new.jpg
設計しなおされた端子の図。右側が新しい物だが、この作りだと接触不良は防げても端子そのものがかなり発熱しそうで怖いし、数回の抜き差しで簡単にユルくなるような気がする。

なので、私なら今までの物を使う。

さて、どうなることやら。


参考:
12VHPWRコネクタについて
https://17inch.blog.ss-blog.jp/2023-03-07

引用元:
Intel Preps Improved Design for 12+4 Pin ATX 12VHPWR Power Connector for Enhanced Safety
https://www.guru3d.com/news-story/intel-preps-improved-design-for-124-pin-atx-12vhpwr-power-connector-for-enhanced-safety.html


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12VHPWRコネクタについて [ハードウェア]

久しぶりのブログ記事は、12VHPWRコネクタについて書こうと思う。

年が明けてもう2ヵ月以上経った今、この話はとっくに賞味期限が切れているとは思うが。

昨年12月の頭にはこの記事を書き終わって投稿するつもりが諸般の事情で不可能となったのだが、この件に関しては特に、書きかけのままで終わりたくはないと思ったので、今になって改めて記事の足りない部分を書き足し、必要な部分は大幅に書き直してブログに上げる事にした。

なお、昨年11月に私が調べた時点で米国のコネクタメーカー「Amphenol」のサイトには12VHPWRのコネクタに関する情報が出ていたため、図面を含むこれらの情報は記事を書く上で大変参考になった。

興味のある方は「Amphenol」のサイトを訪れてみてほしいと思うし、さらに情報が欲しければ製品名「Minitek Pwr CEM-5 PCIe Connector」で検索してみるのも良い。


以下、その記事。


GeForce RTX 4090搭載ビデオカードの12VHPWRコネクタ焼損事故多発で有名になった12VHPWRコネクタ。

NVIDIAの調査ではビデオカード付属の「PCIe電源コネクタから12VHPWRコネクタに変換するケーブル」に問題があるとか、利用者がコネクタをしっかり奥まで差し込まない事が原因であるというような結果らしいが。

実際には12VHPWRコネクタの設計そのものに“も”問題があると、私は考えている。

12VHPWR_con.jpg
今回記事を書くための資料として買った、CORSAIR製 PCIe-12VHPWR変換ケーブルのコネクタ部の写真。ピンボケはご容赦願いたい。


12VHPWRコネクタの抱える問題

まずは問題となったビデオカード付属のPCIe→12VHPWR変換ケーブルの問題点を並べる。

1.変換ケーブルの12VHPWRコネクタが12VHPWR規格の仕様に準拠していない。

  当初この根拠は私の知識と経験だけであったが、その後以下の記事が掲載されて証明された。
  
  PCI-SIG、12VHPWRコネクタに関してメンバー企業に注意を喚起
  https://news.mynavi.jp/techplus/article/20221202-2527419/
  
  一言でいえば「コネクタの品質が悪い」のであり、これは端子の作りや材質も含まれる。
  特に端子に関しては材料に銅合金を使う以上、合金の組成や熱処理、加工方法や完成品の
  寸法精度、メッキなど全てに問題があったとしてもおかしくはない。

2.コネクタとケーブルの接合方法が基盤への半田付けという事に問題がある。

  この問題は先述の1に関係するが、昨今のビデオカード形状に絡んでケーブルの取り回しが
  しにくい原因となって、コネクタに本来ありえない負荷がかかって端子の接触不良を誘発する
  可能性を高める。

3.コネクタの大きさに対してケーブルが太すぎ、コネクタへの負荷荷重が大きい。

  この問題は2に絡む問題であり、2と同様に接触不良を誘発する原因だと私は考えている。


次は12VHPWRコネクタの規格に関する問題。

1.コネクタが小さくて操作しにくいため、中途半端な挿入になりやすい。

  これについては説明不要と思うが、この問題はPCIe規格の電源コネクタも同じかさらに悪い。
  この問題はビデオカード側の設計も絡むので、一概にそうとも言えないのかもしれない。
  ただし、コネクタの接続操作とは無関係だが、コネクタを小さく作るには端子の小型化が
  避けられないため、端子の接点容量が小さくなるという問題の原因にはなり得る。

2.コネクタの接点容量が足りない。

  規格上最大600Wに対応する12VHPWRコネクタは、12本のピンで600Wを賄う。
  これは端子のピン一本当たり8A以上の電流が流れる事を意味する。
  今回問題になったRTX 4090は最大400W程度の消費電力で、ピン一本で5.5A以上。
  しかも複数の端子で電流を流す場合、全ての端子が同じ電気抵抗で接続されているわけでは
  ないので、流れる電流は端子毎に違う。従って12本の内には6A以上流れる端子もあるだろう。
  そもそも端子と接続する電線の断面積と比べて1/4以下の断面積しかないピンで、接点部分の
  接触も4カ所とはいえ全て点接触という事も考えるとコネクタの端子は相当に発熱するはず。
  この発熱が約200℃まで耐えるポリイミド樹脂製コネクタハウジングの強度を落とさない範囲で
  あれば良いが、もし超えた場合ケーブルによる負荷荷重で端子の位置がズレるとさらに発熱し、
  最悪短絡する事もあり得る。(熱はビデオカード基盤やケーブルなどに逃げるが、それも限度がある。)
  また、端子の発熱は一定以上になると端子のバネ特性を失わせる。
  バネ特性を失った端子は当然に接触不良を起こし、発熱増加→焼損、となる。
  ちなみに普通は規格に準拠した高品質なコネクタなど、自作パソコンの部品には使わない。
  だからなおさら安全係数を十分に取った設計に変更すべきだ。
  ちなみにAmphenol製の12VHPWRコネクタは端子一本当たり9.5A!流せる事になっている。
  ああ、恐ろしい。

3.コネクタの強度そのものが足りない。

  あれだけ小さなコネクタなので、多少温度が上がっただけでコネクタハウジングの強度や剛性が
  足りなくなって変形してしまう可能性も考えられる。
  変形すれば当然にピンの接触に影響が出て、以下略。
  注意深い者ならば、ビデオカードの取付け時に電源ケーブルの取り回しに細心の注意を払い、
  コネクタに余計な力がかからないような取り回しをしたり、ケーブルをビデオカードのコネクタ
  以外の物で固定・・・例えばケーブルを止めるためのステーを追加するなどしてこれにケーブル
  の荷重のほとんどを負わせて、コネクタには一切荷重がかからないようにする。
  だが多くの場合、まったく気を使わないか、気を使っているつもりで実際は考えているようには
  なっていない事が普通だ。
  だから、コネクタハウジングも端子同様安全係数を大幅に取った設計が必要だと私は思う。
  昨今はビデオカード用のケーブルも太く、本数が多なって、重く、硬くなる傾向が強い。
  この問題は気付いていない人がほとんどだと思うが、設計者はこれを意識して設計すべきだ。


番外。

パソコンの内部に使われる電源用コネクタの中には、品質が悪い物がかなり多い。

中にはコネクタを接続する時にコネクタハウジングからピンが抜けてしまう物があり、これが単に接触不良で電流が流れないだけならば良いのだが、中途半端に抜けて接触自体はあるような場合、これが原因で焼損が起きる事がある。

また、ピンが抜けない場合でもオスとメスのピンが平行に挿入されない場合があって、これが端子の変形を招いて接触不良を起こし、発熱から焼損に至る場合もある。

さらに、ハウジングの材質や精度などが悪く、コネクタ自体が壊れた事も経験している。

電気はとても怖いものだ。

パソコンが壊れるだけならばまだ良いが、これが火事になって家が全焼、ともなればどうだろうか。
(まあコネクタハウジングやケーブルの被覆のほとんどは焼損しても炎が出ない自己消火性のある樹脂が使われているから、火事になる事はまず無いとは思うが・・・絶対にそうならない、とは言えないし、条件次第とはいえ実際に炎が出る事も無いわけではないので)

関係者全てに言いたい。

この問題を甘く見るな、と。



参考:

続・12VHPWRコネクタについて
https://17inch.blog.ss-blog.jp/2023-03-14

グラボの電源コネクターが変わる? 大電力に対応する新規格「12VHPWR」
https://ascii.jp/elem/000/004/088/4088881/

Intel ATX 3.0 16-pin Power Connector for PCIe Gen5 is Smart, Has Four Power-Delivery Variants
https://www.techpowerup.com/292563/intel-atx-3-0-16-pin-power-connector-for-pcie-gen5-is-smart-has-four-power-delivery-variants

PCIe Gen5 "12VHPWR" Connector to Deliver Up to 600 Watts of Power for Next-Generation Graphics Cards
https://www.techpowerup.com/287682/pcie-gen5-12vhpwr-connector-to-deliver-up-to-600-watts-of-power-for-next-generation-graphics-cards

Minitek Pwr CEM-5 PCIe Connector System
https://www.amphenol-cs.com/product-series/minitek-pwr-cem-5-pcie.html

Amphenol FCI Minitek Pwr CEM-5 PCIe コネクタシステム
https://www.mouser.jp/new/amphenol/amphenol-minitek-cem-5-pcie-connector-system/

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