エルピーダを潰した男 [雑談]
かつて日本は、世界シェアの8割を超えるDRAM生産大国だった。
だが1990年代半ばに韓国勢にシェアを追い抜かれると、そのまま浮かび上がることなく2012年にはDRAM業界から完全に消え去ることになる。
元々日本のDRAMは高品質が求められるメインフレーム向けの製品で開花し、その後のパソコンブームでも高品質かつ低価格でシェアを欧米企業から奪っていった。しかし1995年のWindows 95登場以前は、DRAMはかなり高価な半導体部品だった。高価でも取引が成り立ったのは、パソコンそのものが高価であり、用途も主に企業向けのものが多かったからだ。しかしWindows 95の登場によってパソコンは一気に一般消費者の生活に溶け込み、低価格化の圧力が何倍にも増えた。
DRAMはIntelが発明した画期的な半導体メモリだったにも関わらず、発明したIntel自身はなんの役にも立たないゴミとしか思っていなかった。Appleの共同創業者であるスティーブ・ウォズニアックが、Apple 1を生産する為にIntelへDRAMをクレと直談判した話は有名で、その場で無償提供されたのはそのような背景があった事も有名な話だ。
その後DRAMはどうなったか。日本人が発明したフラッシュメモリもそうだが、発明した大本は軒を貸して母屋を奪われる事になった。
こんな歴史もあるDRAMだが、元々非常に高価だったものがほんの数年でガケを転がり落ちる勢いで価格が下がり、これにDRAMを生産する日本企業群(当時非常に多くの日本企業がDRAMを生産していて、沖電気などパソコン業界で今ではほとんど聞かない会社まで作っていた)はまったく追随できず、最後に残ったNEC・日立・三菱のDRAM部門が合併統合して出来たのがエリピーダメモリという会社。
だが、日本企業の悪癖を解消せず合併したためにその後も業績は落ちるばかりで、ここに登場したのが今回の主人公、“エルピーダを潰した男”こと坂本幸雄である。
彼はそれまで、いくつもの会社を再生してきた再生請負人として名を馳せていた。エルピーダの再生も、その実績を買われての事だった。
しかし彼は、いわば“他人のふんどしで相撲を取る”ことに長けているだけで、自身はどこにでも居る普通の日本人だった。実際、彼を良く知る者達の間ではあまり評判は良くなかったようだ。
恐らく本人はこれまでの実績から自信をもってエルピーダの再生に取り組んでいた事だろう。
だが不幸にも、エルピーダは彼と同類の巣窟であり、トップに着いた人物がそのような者であれば、およそ会社の再生を自力で行える状況ではなかった。
彼が社長に着いてから行った事は、とにかくこれまで培った技術を使い、なんとか売り上げを伸ばそうというものだった。落ちぶれた原因を排除し、文字通り再生するという手法を取る事が出来なかったのだ。
その結果、エルピーダは倒産した。会社更生法を適用させ、国民の血税を注ぎ込んだにも関わらず。
そんな彼が、日本の半導体業界を憂い手記事を寄せている場所がある。
坂本幸雄の漂流ものづくり大国の治し方
http://wedge.ismedia.jp/category/sakamotoyukio
こうした話に詳しい方ならわかると思うが、彼の語るもっともらしい言葉はほとんどが過去誰かが言った言葉である。それを自身の言葉として引用するのは良いのだが、文章を読むと先人に対する敬意を感じないのは何故なのか。
つまりここでも彼は、他人のふんどしで相撲を取っていたのだった。
かつてアメリカのTVドラマに「地球を売った男」なるものが、地球を侵略するエイリアン側の登場人物として度々出ていたが、彼がエルピーダでやった事は最終的にそんな感じなのだ。
エルピーダ倒産前後の様々な事件を見るに、計画倒産と言われても仕方が無い事がいくつもあって、最初からそうするつもりだったのではないかとすら思えてしまう。
今彼は中国で、新たにDRAMを開発する会社を立ち上げ、活動中である。
一部では日本の技術を中国に売り渡す悪党のように扱われているが、私も同感である。
「エルピーダを潰した男」坂本幸雄。
エルピーダ倒産のシナリオは、中国の半導体業界のためにあったのかもしれない。
坂本さん、エルピーダを潰したのはあなただ
http://biz-journal.jp/2017/05/post_19071.html
追記
この記事では“彼”こそが戦犯であるような書き方をしているが、実際には彼一人の責任でエルピーダが潰れたわけではない。まあ、“彼”が社長だった、という事で。
だが根っこは、無関係に思える我々日本人全ての心の中にある事だけは間違いない。
売国奴も何も日体大出の脳筋なんだから技術なんて持ってないでしょ?
by お名前(必須) (2022-02-25 07:49)
お名前(必須)様、コメント有り難うございます。
お言葉ですが、あなたも同類ですよ?
以後、私からのコメントは差し控えさせていただきます。
by 98式軍刀 (2022-02-26 22:35)