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少なくとも、今の所ZEN2のAPUは無い [CPU]


先日CESで発表されたZEN2のRyzen(以降“Matisse”)は、CPUコアとIOを別のダイで製造し、パッケージされる構成である。

この“Matisse”のパッケージはダイの位置関係において、もう一つのダイが載る可能性を予想させる変則的なもので、一部の者達からパッケージの空いている場所にGPUダイが載る可能性を期待されていた。

つまり現状8コアのCPUチップレットとIOチップレットの二つがパッケージされている所に、GPUチップレットが追加されたAPUが登場するのではないか、という事だ。


この件に関して海外のコンピュータ情報サイトを運営するANANDTECHがAMDに質問すると、AMDは“Matisse”にAPUの可能性が無い事を明言したようだ。

AMD: “No Chiplet APU Variant on Matisse, CPU TDP Range same as Ryzen-2000”
https://www.anandtech.com/show/13852/amd-no-chiplet-apu-variant-on-matisse-cpu-tdp-range-same-as-ryzen2000


これは意味ありげに空間が残る現在のレイアウトにGPUチップレットが追加されないという意味であり、将来に渡ってAPUが出ないという意味ではない。出るとすれば専用設計のパッケージによる、“Matisse”とは違う製品になるという事だ。


私は当初からあの空間にGPUが載る事を否定していたが、これが証明された形だ。

もしZEN2のAPUが出るとしたら、私の予想では7nmのZEN2コアで製造されるCPUチップレットに、IOとGPUを統合したダイのチップレットが組み合わされると思う。

このAPU専用チップレットは、恐らく“Matisse”のIOダイよりもL3キャッシュが半分に減らされたうえでGPUコアが追加され、ダイ面積は1.5倍~2倍以下の範囲になるだろう(あくまで私の想像でしかないが)。

また、ミドル~ローエンドを担うAPUは12LPかその後継の12nmクラスのプロセスで、単一のダイで製造されると思う。
もしかすると、APUは今後数年間、7nmプロセスで製造されない可能性すら有り得ると私は考えている。


今年の一般向けCPU等の動向はどうなのか
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2019-01-06

12nmのRyzen APUが発表される
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2019-01-07


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Ice Lake出荷は前倒しか [CPU]


まだ確定的なことは言えないが、今日Intelより発表があった内容によると、昨年「早ければ今年末から」という話だったIce Lakeの出荷が「今後数カ月の間に発表し、量産出荷する」という事で数ヶ月前倒しされる可能性が出てきた。

Intel、数カ月内に10nm製造の新CPU「Ice Lake」を量産出荷開始
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/1161183.html


もしこの発表通り量産出荷されれば、遅くとも10月頃にはIce Lake搭載製品が売り出される可能性がある。

昨日までの私の予想では年末までに発表及び出荷開始、実際の製品は年明けから買えるくらいだと思っていた。


また、今回の発表でIce Lakeの詳細についても一部明らかにされている。

概要とされるスライドを見ると、六つ項目が挙げられている。

・SOFTWARE(AI関連のopenVINO Toolkit等、様々なソフトウェア支援)
・SECURITY (Intel Authenticate 等のハードウェア支援型セキュリティ)
・INTERCONNECT (Thundebolt 3 over TypeC、新無線LAN規格の802.11axを内蔵)
・MEMORY (LPDDR4 対応)
・ARCHITECTURE (Sunny Coveコア、Gen11 グラフィックス)
・PROCESS (10nm プロセスによる製造)

これら概要とされる項目の詳細は省くが、これらの事からIce LakeはAIやモバイル向けの機能を強化している事がわかる。

また、概要に出ていない事でPCI Express 4.0の実装は見送られたと解釈出来る。
もちろんただ入れていないだけで実装はされている、という事もあり得るが。



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12nmのRyzen APUが発表される [CPU]


今日、AMDより12nmのRyzen APUが発表された。

AMD、12nmの第2世代Ryzenモバイルを発表
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/1160951.html


内容としては現行のRaven Ridgeと大差ないが、製造プロセスが14LPPから12LPに変更されたことに伴い動作周波数が向上し、消費電力も改善されたようだ。

今回発表されたのはモバイル向けだが、近いうちにデスクトップ向けも発表されるだろう。


型番は3000番台となり、昨年出たPinnacle Ridgeに倣う。

従ってデスクトップ向けはRyzen 3 3200G、Ryzen 5 3500Gという感じになるだろう。

性能的にはそれほど大きな向上はないものの、一日も早くデスクトップ向けが出ることを望む。



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Intelの新しいマイクロアーキテクチャ [CPU]

昨日複数のWebサイトで、Intelの新しいCPUアーキテクチャ“Sunny Cove”が公開されたという記事が掲載された。


Intel、次世代CPUアーキテクチャ「Sunny Cove」の概要を明らかに
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1158093.html

Intel、次世代マイクロアーキテクチャ「Sunny Cove」(コード名)発表
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1812/13/news066.html

インテル、次世代CPUアーキテクチャ「Sunny Cove」や3Dパッケージング技術「Foveros」発表
https://japan.cnet.com/article/35130047/


これらの記事内容を要約すると以下のようになる。


・Intelの次世代CPUマイクロアーキテクチャは“Sunny Cove”という

・“Sunny Cove”は10nmプロセスで製造されるCPU「Ice lake」に使われる

・IPCと省電力性能の大幅な向上が図られている

・AIや暗号処理などの機能が追加される

・新しい内蔵GPU“Gen11”は1TFLOPSを超える性能

・“Gen11”はH.265/HEVCエンコーダなど新しい機能がいくつか追加される


以上、大雑把にはこんな感じだ。

これらの情報から、Ice lakeは現行のCoffee Lakeと比べて“飛躍”と呼べるほどの高性能化を果たすと想像出来る。

CPUコアは同時に実行できる命令数が増え、L1とL2キャッシュメモリも増加し、これら以外にも命令の実行効率を上げる改良がされているという事で、従来(Sky lake以降)と比べ同じ動作周波数での性能がかなり上がっているようだ。

また内蔵されるGPUについても、実行ユニットが倍増し、様々な改良が加えられているために現在のAMD製APUの内蔵GPUよりも高性能になる事は確実と思われる。


そしてさらに、今回の発表ではCPUパッケージも大きく変わる事が示された。

それは新しい2D/3Dパッケージング技術で、用途に合わせて機能別のダイ(説明画像ではChipletとなっている)を組み合わせ、平面に並べるだけでなくCPUコア等の上にも別のChipletを乗せる事が可能になっているようだ。

intel_2d3d_pac.jpg

今回のタイミングでこのような技術が出てきた理由はいくつか考えられるが、その一つは先に出たAMDのRomeと同様、IOやメインメモリのインターフェイスが10nm以降の最先端製造プロセスでは色々問題があるからだろう。

また、Intelの説明に使われた画像ではCPUとGPUが10nm、IOは14nm、メモリーインターフェイスは22nmというような例が示されているように、機能によって異なるプロセスで製造されたChipletが使われるようである。

これはAMDのRomeが7nmのCPUコアと14nmのIOを組み合わせた事に似ているが、Intelのそれはずっと先進的な実装であるように私には見える。

だがこれは当然に、コスト的には従来の単一のダイを乗せるだけの場合と比べてかなり高くつく技術だ。もちろん2種類のChipletを組み合わせるだけの、AMDのRomeのパッケージと比較しても高価だと思う。さらにパッケージが複雑な分歩留まりにも影響が出る事は確実なので、なおさら高くつきそうだ。

なので高い動作周波数と安価である事が要求される一般のパソコン用CPUの場合、3Dは利用されないだろう。


というわけで。

この手の発表では常にそうであるように、今回も実物が出て来なければ何もわからないに等しい状況ではあるが。

2019年の末までには出るとされる“Ice lake”は、Sandy bridgeからCoffee LakeまでのIntel製CPUをイメージしているとちょっと想像が付かないような、非常に大きな飛躍をしてくる事は間違いない。


今後パソコン用CPUはCPUコアとIOを別ダイで製造するらしい
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2018-12-05


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今後パソコン用CPUはCPUコアとIOを別ダイで製造するらしい [CPU]

ZEN 2ベースの64コアCPU「Rome」はなぜCPUとI/Oを分離したのか
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/1156455.html

昨日PC Watchに掲載されたこの記事によると、今後新たに出てくるCPUはCPUコアとIOを別ダイで製造する事になる流れであるようだ。

先日AMDが発表したRomeの場合、IOを別ダイにした最大の理由はコスト問題であるという。
要は多数のCPUコアとIOを統合した従来の製造方法だと、ダイ面積が大きくなって欠陥を含む可能性が高くなるので、CPUコアは最先端の7nmで小さく作り、IOは枯れたプロセスである14nmで歩留まりを高く維持して製造コストを下げたというわけだ。(これ以外にも現在のEPYCなどに使われているIOを統合したダイを複数組み合わせるという手法は、IOの一部が利用されないという無駄も生むという問題がコスト増の原因になるのでそれを避ける必要があるという理由もある)

また過去に説明があった、IOに必要な高電圧(とはいえ1V~3.3V程度だが)が7nm以下のプロセスでは扱うことが難しいという事も理由で、さらに信号を外部に出すためのアナログ回路をこれ以上縮小する事が難しいという問題もあるらしい。


まあ細かい理由はともかく、素人は「CPUコアとIOを同一のダイで製造する事は、現在の微細化が進んだ製造プロセスでは色々問題があって、IOを別ダイにせざるを得ない事情がある」という程度の認識をしていれば問題は無いだろう。

ちなみにこの問題はIntelでも同様に抱えていて、Intel製のCPUもいずれIOが別ダイになる可能性があるらしい。


こうなると、以前私がZEN2のRyzenは出ないかもしれないと書いた事は怪しくなってくる。

今後CPUコアとIOが別になる事が前提な設計になると、一般向けのCPUもそうせざるを得なくなるからだ。

私はIOが別ダイになった理由を「ArF液浸露光の7nmプロセスの問題」と捉えていたが、仮にEUVで製造するようになっても根本的な解決にはならないわけで、そうであればZEN2なRyzenは、Romeで使われたCPUコア+一般向けの小さなIOダイの組み合わせで出てくる可能性が極めて高い。

これは見た目にも小さなZEN2の8コアCPUダイが相当に安く製造できていて、IOダイを別に製造してもCPUとしてパッケージした合計のコストが14nmで製造されたRyzenと同等以下に納まるという事を意味する。

ただしこの手法だと1万円未満の安いCPUはコスト的に割が合わなくなるので、ローエンドはずっと14nm(或いはAMDの場合12nm)で製造される事になるだろう。


というわけで、実際どうなるかなど現状ではちっともわからないのだが。

一応、そうなる可能性が高いと言える理由が存在する、というのが今の私の認識である。



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もう少しZen2について考えてみる [CPU]

一昨日発表されたばかりの“Zen2”コアなCPUのRome。

これについて私の調べられる範囲で情報を集めて色々考えてみたが、どうもZen2を使ったRyzenは出ない可能性が高いように思えてならない。

未確認ながら2019年内にZen2なRyzenは出す計画がないという情報もあって、やはりIOを別ダイにするのは一般向けではコスト的に無理があるとしか思えない。

可能性としてはThreadripperをZen2で、という事ならあるかもしれないが、出た所で私のように普通にパソコンを使う人には関係がない。


さて、では何故こんな事になったのか。

それはやはりArF液浸露光での7nmではこれが限界だったと私は考える。

まあ7nmなFinFETを作るまでは良いとしよう。

しかし問題は配線だ。

7nmではただでさえエレクトロマイグレーションの問題で困難になった配線が、すでに14nmクラスでも図面通りに回路を作る事が難しいArF液浸露光でどの程度のモノが出来るのか、という事だ。

現在のように微細化が進んだ回路を作ろうと思うと、ArF液浸露光では配線の太さが図面上では一定なのに場所によって太かったり細かったりになってしまう。(もちろん色々工夫して出来るだけ図面通りに出来るようにはしている)

だが太くても細くても問題が出るのが現在の極限まで微細化された半導体回路だ。

特に細くなれば電気抵抗が増えて信号の遅延、そしてエレクトロマイグレーションが進行しやすくなって断線、という二重の問題が起きる。またそれ以前に不良率もハネ上がるだろう。

もちろん、比較的高い電圧を扱う部分だけ配線ピッチを広く取って配線の太さを確保する事も不可能ではないと思う。しかしそれをやるメリットよりもデメリットの方が大きいと思う。製造がより難しくなるのは目に見えているし、ダイ面積も大きくなってしまうからだ。

そしてサーバー向けのRomeの場合マルチダイで8個もCPUダイを載せるなら、1個か2個のダイで済ませるはずのRyzenとはワケが違う。重複するIOが占めるダイ面積もバカにならないはずだし、キャッシュやメインメモリを各々のダイが共有するための仕組みだって複雑になる。

だったらコストを無視してもこれらをCPUダイの外に出す意味が出てくるワケで、結果今回のCPUダイ8個+IOダイ1個という構成になったのだろう。そうでなければAMDは今頃「ArF液浸露光で7nmのCPUは作れません」と言っているはず(なワケないか)。

そもそもRomeが16コアのダイ4個ではなく8コアのダイを8個という構成にして来たのも、ArF液浸露光の7nmプロセスでは16コアのダイを作る事が「開発期間の延長は出来ない」事と「歩留まりを一定以上にする事が難しくなる」という二つの意味で無理だったからと思える。(現在のAMDは一見すると経営も黒字化して順調に見えるが、今Romeの出荷が遅れるとヘタをすれば倒産もあり得ると私は考えている)

要はRomeを8+1ダイ構成で製造し、来年販売開始するというのはある意味時間稼ぎなのだ。


このように考えると、もうZen2のRyzenが2019年に出る事は無い、としか思えない。

少なくとも今のAMDにRyzenだけ7nmで別設計のダイを用意する余裕などあるはずもない。過去にサーバー用と一般向けに別のダイを用意しないとAMDははっきり言っているし、ましてやIOを14nmで別ダイにしなければならないような、7nmプロセスとして完成度が低いArF液浸露光である。

さらに言えばIOを分離するなどという、どうみてもコストが高くつく離れ業が可能なのは、高価でも性能さえ良ければ売れるサーバー向けだから可能なのであって、安くなければ売れない一般向けCPUに採用可能な技術ではない。

さらにさらに、もっと言えば現在のTSMC ArF液浸露光の7nmリソグラフィは、とてもじゃないが4Ghzを超える動作周波数で動くCPUには使えないと私は思う。サーバー用の精々2Ghz~3Ghz以下で動く超多コアCPUだから売り物になるCPUが製造できるのだ。

つまり、7nmのRyzenが出るのはEUVを使った7nm+で量産体制が整うまで無理。

別の言い方をするとZen2のRyzenは出ない。

そういう事だ。


とはいえ、Ryzenが来年も今のZen+のまま、というのもどうかと思う。

16コアのCore i9 9900Kが出た以上、今のままでは利益率の高いハイエンドCPUの売り上げに大きな影響が出るからだ。

そう考えればもしかすると、Zen2で改良された点を盛り込んだ12nmのZen++みたいなのが出る可能性はあるかもしれない。

もちろん製造に使われる12LPも、現行製品より動作周波数が上がるように改良されなければならないが。(12LPと言っても配線ピッチは14LPPとまったく同じだから、なんとなく改良の余地はありそうな気がする)

これなら旧製品の改良という位置付けで過去の発言にあった「別ダイは用意しない」事に矛盾しないし、製造キャパシティの逼迫が言われているTSMCへの負担もなくGFで現在製造されているZen+の製造ラインをそのまま使えるからだ。

これはあくまで私の想像に過ぎないが、Ryzenに関して今のAMDにはもうそれ以外に打つ手は無いように見える。


というわけで、Zen2と来年のRyzenに関しては情報が少なすぎて想像する以外に出来ない事が多いが。

本当に、来年のRyzenはどうなってしまうのだろうか。

どうか、私の想像が悉く外れてくれますように。



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AMDのZen2「Rome」がIOのみ別チップにした理由 [CPU]

昨日私はAMDによるZen2正式発表に関する記事を書いた。

Zen2のサーバー向けCPU「Rome」が発表される
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2018-11-07


その中でRomeがIOのみ別チップにした理由を、元ネタの記事がエレクトロマイグレーション回避のため、と書いていた事に対し別に理由があるはずだと思った事を“私は理由がそれだけではないと思う”と書いた。

その理由を昨日から考えていたのだが、なんとなく思い付いた事をここに書き留めておく。



その理由は、7nmにプロセスが縮小された事によるダイ面積の縮小により、全てのIOの信号を短くなったダイの端面から出す事が不可能になった事。

昨今はCPUから出るIOの種類が増えている。
昔のCPUはFSBとかシステムバスと呼ばれるデータの通路がCPUから出ていて、CPU以外の全てのデバイスがこれにブラ下がっていた。
これに対し現在は、メインメモリやPCI ExpressからUSBに至るまで、様々なデータの通路が出ている。

CPU_bd.png
昔と今のCPUから出ているデータバスの違い。昔はFSB一本だけだったが、今は数多くのIOバスが出ている。

こうなるとIOの種類と数の分だけ、ダイの端から線を引き出さなければならない。

AthlonのEV6バスは64bit幅だったので、単純計算で128個の外部接続用パッド(ボンディングでワイヤを接続するための端子)があれば良かった。

しかしZENコアはダイ当たりメインメモリだけで64bitのバスが2本出ている。
これに加えてPCI Expressが合計24レーンで48個、USB3.1が2本で16個。他にこれらに関連する色々な信号もあるはずなのでもっと多くの引き出しポイントが必要だ。これらに加えさらに電源用とかInfinity Fabric用等が加わると、あの小さなダイの短い端面に全ての端子を出すのは無理があるのではなかろうか。


また、Romeの場合8コアのCPUダイを合計8個もCPUパッケージに載せている。
これら8個全てに、PCI Expressなど重複するIOを備えるのは無駄が多すぎる。

だったら共通化出来るIOは全て外に出してしまった方が、CPU本体のダイをコンパクトに出来て良い。

重要なのはInfinity Fabricとメインメモリなので、これだけCPUから出してPCI ExpressやUSBは全部外。
ついでにコアが増えると色々大変になるので、その調停用の機能なんかも全部外に出してしまえばいい。
※追記。どうやらメインメモリのコントローラもIOチップに移動されているようだ。

AMD unveils 64-core Zen 2 CPU, first 7nm GPU
http://cybersecuritycaucus.com/2018/11/amd-unveils-64-core-zen-2-cpu-first-7nm-gpu/

こう考えると、IOだけにしてはやけに大きいCPUパッケージ真ん中のダイも、あの大きさの意味がなんとなく理解出来る。
さらに大きさだけ見れば大容量のキャッシュメモリも載っているかもしれない。


というわけで色々想像で書いてみた。

本当ならば、Romeのブロックダイアグラムを見る事が出来ればそれに全て書かれているはずなので、こんな想像をする必要も無いのだが、私には見つけられなかった。

まあ、私の想像が正しくても間違っていても、ZEZ2コアのRYZENは8コアx2でRomeより小さなIOチップがパッケージされるに違いない。8コア版であれば8コアダイ1個とIOチップ1個の構成になるだろう。

※追記。未確認であるが、ZEN2コアのRYZENは2019年内の販売は予定されていないようである。考えてみれば一般向けのCPUにIOチップ外付けはあり得ない。今回Romeに乗っているダイはサーバー向け専用のダイという事かもしれない。

当然関係者は全て知っているから、仮に私の想像が彼らに知られたら笑われてしまうかもしれないが。


さて、実際はどうなっているのか。
※追記:未確認だが、実際はあくまで製造上の理由のようである。

その内にこの事も公表されるだろうから、その時が楽しみである。


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Zen2のサーバー向けCPU「Rome」が発表される [CPU]

ついにZen2が正式に発表された。

コードネーム「Rome」がそれで、過去言われていたように64コア128スレッドのモンスターCPUだ。

AMD、7nmで最大64コアの「ZEN2」とNVIDIA Voltaを上回る「Radeon Instinct M60」
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/1151995.html

今回明らかになった意外な点は、CPUコア以外にIOのみを司るダイがパッケージされている事。
Web上の記事によると、7nmではエレクトロマイグレーションという、微細化が進んだ配線の電流密度が上がる事によって配線の金属原子が電流の電子と衝突する事で原子が移動し、骨粗鬆症のようにボロボロとなって断線する現象が今の所回避できないようで、これを避けるため特に電圧が高いIOのみを14nmで作って載せたのだという。

私は理由がそれだけではないと思うが、まあそういう事らしい。

いずれにせよAMDは、予告通り2019年に7nmのCPUを出荷する約束を守れそうである。


また今回のRomeが64コアという事を受けて、一部では次のRyzenが16コアになるのではないか、という噂が出ている。16コアのRyzen自体は以前から出る可能性を指摘されて来たが、今回の発表でよりいっそう信憑性が高まった事になる。

一般向けのZen2であるRyzenは、発表が来年に入ってからになると思うので、こちらはもうしばらくおあずけになりそうだ。


一方ライバルのIntelは、“予定通り”10nmプロセスのCPUは開発が遅れている。

こちらも一応は2019年出荷という事になっているが、一説ではCPUの設計をまるごとやりなおしているという話が出ているので、Zen2よりも出荷が遅れる事は間違いない。

何故Intelの10nmプロセスがこんな事になったのかというと、以下の記事が詳しい。

10nmはハイパースケーリングを放棄し再設計
http://ascii.jp/elem/000/001/766/1766852/

Intelもエレクトロマイグレーションの問題を抱えていて、回避策としてトランジスタ同士を繋ぐ最下層の配線を従来の銅配線からコバルト配線に切り替えた設計をしていたが、コバルトは銅の4倍(一説では6倍とも)も電気抵抗が高く、結果的に銅配線よりも配線抵抗が高くなってしまったためCPUの動作周波数が思うように上がらない事態に陥っているようである。

こうなると単に配線の材料をコバルトから銅に戻せば良いと思う人が居るかもしれないが、事はそう単純ではなく、CPUの設計を全てやり直す必要があるようだ。

ここからは私の想像だが、Intelはこうした事態を想定してバックアッププランとして銅配線の設計も進めていたと思われる。現在のCPUの設計は3年以上かかるのが普通なので、そうでなければ2019年に出荷するという事は不可能だ。

昨年まではIntelの10nmプロセスで最大の売り文句“ハイパースケーリング”、つまり同じ面積のダイに他社の同程度のプロセスよりも多くのトランジスタを載せて高性能化を図るという言葉が使われていたわけで、これが事実上不可能になる設計変更は現在よりも少なくとも2年以上前に行われていなければ間に合わないのだ。


それから話をAMDに戻すと、今回のAMDによる公式発表にはRadeonの新しいチップが含まれている。

記事によると7nmで製造される新しいRadeon、“Radeon Instinct MI60”は、VEGAの拡張版でHBMを32GB載せ、NVIDIAのTesla V100を上回る性能であると発表されている。

これが本当ならば一般向けのヴィデオカードに載るRadeonもちょっとは期待出来そうであるが、私は3Dゲームをしないので、ローエンドの1万円以下で今使っているGeForce GTX 1050Tiよりも高性能なカードが出てくれないと意味が無い。

最近のAMDはローエンドGPUの開発をサボリ気味なのでなんとかして欲しいところ。

とはいえ、AMDとしては利益の出やすいサーバー向けを重視しているから期待出来ないか。そしてローエンドはGPU内蔵のRaven Ridgeでも使っておけ、という事なのだろう。



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Intelの最高性能CPUに乾杯(完敗) [CPU]

昨日深夜22時、Intelが日本国内の販売を解禁した「Core i9-9900K」。

解禁後すぐにWeb上のPC関係情報サイトでレビュー記事が掲載されている。


それら記事中のベンチマークを見ると、コア数でついにRyzenに追いつき、しかも最大動作クロックがRyzenより700Mhzも高いこともあって、予想通りRyzen 7 2700Xとは大差を付けてまさに“圧勝”という結果となっていた。


今これだけの差があるとなるとAMDは今後Intelよりも高性能なCPUを作れる可能性がかなり低くなったと考えざるを得ない。

Ryzen2は7nmプロセスでIPCと最大動作周波数を上げてくるようだが、Intelもこのまま勝った気になって何もしないという事はあり得ない。なにより10nmのCPUがこの後に控えているわけで、Ryzen2が出て仮に世界最高性能の地位を奪還してもすぐさま奪い返され、さらにこの差は縮まらずにかえって開くのではないかと思う。
(まあRyzen2以降で16コアというカードが繰り出される可能性もあるが、だとしてもIntelがそれに追従したら無意味だ)


そんなわけで、今回世界最速の一般向けデスクトップCPUの座を磐石のものとしたように見える、「Core i9-9900K」。

出自を考えるとちょっとかわいそうに思える※残念な子にも関わらず、Ryzenに大差を付けて勝つという結果を出した。

私はこの結果を素直に受け入れ、賞賛したいと思う。


でも、買わないが。


※Coffee Lakeが、10nmプロセスの開発遅延に伴う14nmで製造した“つなぎ”のCPUであること。



参考:

世界最高のゲーム用プロセッサ、「Core i9-9900K」をテスト
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/review/1147869.html

物理8コアの9900K&9700Kは真のRyzenキラーになるか!?
http://ascii.jp/elem/000/001/758/1758897/

デスクトップPC向け初の8コア16スレッド対応CPUは何もかも強烈だった
https://www.4gamer.net/games/436/G043688/20181019155/



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Athlon 200GEは今日から発売 [CPU]

ネット上の各メディアで、「Athlon 200GE 9月28日に国内販売開始 税別 6,480円」というような内容の記事が昨日より公開されている。


やっと来たかーという思いと共に、販売価格が私の予想(税込み7,000円)と同じだった事に少々がっかりしている。


待望のローエンド“Zen”が発表された
https://blog.so-net.ne.jp/MyPage/blog/article/edit/input?id=106305622


もう少し安ければよかったのに。

時間と共に価格が下がるという事はあっても、ローエンドだからその幅は微々たるもの。

まあそれでも、TDP35WのZenコアAPUという点に関する私の期待は大きい。


これからは「安くパソコン組んで!」という要望に対して、このCPUを選ぶ事になるだろう。


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中国製x86互換CPU「開先KX-6000」の恐怖 [CPU]

兆芯、“第7世代Core i5並みの性能”を実現した「開先KX-6000」の写真を初公開
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1143939.html


この記事に書かれている事は本当なのだろうか。

もし本当だとすれば、中国製のx86互換CPUは、IntelやAMDのすぐ後ろを歩いてる。

今の所は本当の計算能力や消費電力等がわからないので、何とも言えないが。


この記事を読んで、x86互換CPUの開発にあたってIntelとライセンス契約など出来たのだろうか、と思ったが、そういえばVIAのx86互換CPUがベースだという話を思い出した。

VIAは元々中国資本ではないが、台湾の企業という事で中国資本が入りやすい環境にある。詳しくは覚えていないが、中国企業と資本提携かなにかして、その中国企業経由でVIAの持つx86互換CPU開発の技術とライセンスを得たという記憶がよみがえった。(うろ覚えなのでどこまで本当かは保証出来ない)


まあ中身がVIAのCPU(具体的にはEden)そのままではない事は間違いないだろうが、それにしても全てが独自IPだというのは嘘だろう。恐らく中国製新幹線が日本から買った車両と技術(製造技術だけでなく運用ノウハウも含む)をパクって中国国内で製造されたものを、中国独自と言っているのと同じだ。


話が逸れた。

とにかくこのVIA製のCPUが技術の根っこにある中国製CPUであるが、今回発表された「開先KX-6000」というCPUがもし中国人が言うような性能だったとして、さらにこれが世界中で大量にバラ撒かれたとしたらどうなるだろうか。

値段は恐らく性能がIntel製の同程度のCPUの半額以下だろうから、ミドルロー以下の価格帯のWindowzパソコンにかなり採用されるだろう。特に今は中国製のパソコンがじわじわと市場を侵食しはじめている時代だ。最大手のLenovoなど必ずラインナップに入れてくるだろうし、他にも大きなPCメーカーが数社(名前は忘れた)あるし、スマートフォンや家電を作っているメーカー(ハイアールとか)も現在生産しているパソコンに採用するだろう。

そして中国資本が入っていたり中国人が役員になっていたりする欧米や日本等のパソコン製造企業も、一部のモデルに採用するかもしれない。なんといっても安いから。今はIntelのATOM系コアやAMDのゴミみたなCPUを載せている格安ノートなんかは全て中国製CPUに置き換えられるかもしれない。


あり得ない事だとは思うが、このままだといつか世界中のコンピュータ全てが中国製になる日が来るのかもしれない。

もしそんな事になれば、中国からの指令一つでどんな事も可能なコンピュータに世界が支配される事になるのは間違いない。



参考記事

VIAもといCentaurの流れを汲む8コアx86 CPUが中国で登場していた模様
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/yajiuma/1048509.html


上海兆芯、最大8コアでDDR4をサポートしたx86互換CPU「ZX-D」
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1050330.html


8コア/DDR4対応/GPU内蔵の中国製x86プロセッサ「開先KX-5000」
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1090642.html


中国・兆芯のx86互換8コアSoC「開先KX-5000」の全貌
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1103966.html


VIA Technologies
https://ja.wikipedia.org/wiki/VIA_Technologies



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第9世代Core iシリーズのCore i9-9900K [CPU]

ネットにあふれる情報の海を漂っていると、今月発売が予定されているというIntelの次期デスクトップCPUに関する情報がいくつか見られた。

内容は第9世代のCore iシリーズに関するスペックやベンチマークのリーク情報。

これらの詳細はネタ元におまかせするとして、以下はスペックの要点をまとめたものと私の考察である。


Core i9-9900K
CPUコア数 8コア(16スレッド)
ベースクロック 3.6Ghz
ターボブースト 5.0Ghz
TDP 95W


Core iシリーズもついに8コアである。
これでコア数においてRYZENとの差は無くなった。

それにしても凄まじいのは最大で5Ghzにも達するブースト時の動作周波数だ。(ブーストで5Ghzというのは現行の製品でもCore i7-8086Kが存在するが)

対してライバルの第二世代RYZENは最大で4.3Ghzである。RYZENと同じ8コアで、かつ16%も動作周波数が上でIPCも上となれば、少なくとも2割はRYZENを超える性能になるのではなかろうか。(まあここまで単純な比較は無意味かもしれないが)


というわけでIntel万歳な人にとっては非常にうれしい情報だと思う。

支配的立場に胡坐をかき、傲慢経営だったIntelも、ライバルが復活すればここまで本気になるのだという事を感じさせる。
しかもIntelにはまだ10nmプロセスによる生産が控えている。
逆に言えば10nmの開発に失敗し14nmでもたもたしているにも関わらず、これだけのモノを出して来たという事だ。

一方AMDは来年7nmのRYZENが控えているとはいえ、そのZen2コアは5Ghzに届くのだろうか。
CPUの生産工場であるFabも、GFは7nmから手を引いてTSMCに変わってしまった。
そのTSMCは4Ghz以上で回るCPUの生産経験が無い事が気掛かりだ。


来年以降デスクトップ向けCPUの性能競争は、一体どうなるのだろうか。

第9世代のCore i9-9900Kのスペックを見ると、Intelが有利になっていくような気がしてならない。


Core i9-9900K(あひる先生による検索)
https://duckduckgo.com/?q=Core+i9-9900K&ia=web



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待望のローエンド“Zen”が発表された [CPU]

AMD,Athlonを冠したZenベースのAPU「Athlon 200GE」発表。
https://www.4gamer.net/games/300/G030061/20180905032/


現在CPUのパワー競争において、Intelと互角の勝負を続けているAMD。

その立役者であるRyzenは主にハイエンド市場向けの製品で、その下のミドルレンジ市場はRyzenの下位製品及びRyzen APUと“最後のBulldpzer系APU”であるBristol Ridgeが受け持っている。

だが、これまでのAMDには、Socket AM4というプラットフォーム上で動作するローエンド製品が存在しなかった。

CPUのシェアは、ローエンド製品が大きな地位を占めているにも関わらず。
ノートパソコン向けにはローエンドのさらに下に相当するゴミが流通しているが・・・


そして今日(現地時間では6日)、ようやく「Athlon 200GE」というZenコアのローエンドAPUが発表された。

AMDの“Zen”が、Ryzenとしてデビューしてから1年と半年待たされた事になる。


この「Athlon 200GE」のスペックを要約すると以下の通り。


CPU:2コア・4スレッド・3.2GHz
GPU:Radeon Vega 3 Graphics
TDP:35W


調べるとAthlon 200GEは14LPPでの製造ながら上位のRyzen APU(Ravenridge)とは違うダイを使っているようで、CPUコアはRyzen5 2400Gの半分で2コア、GPUコアは約1/3の3基となっている。ダイサイズは半分以下~1/3程度にまとまっているはず。

性能はAMDの公式発表でPentium G4560よりも上となっているので、Celeronよりも上位になる。
Intel製と比較するまでもなく、スペックを見ればローエンドでも上位の実力である事は確実で、一般家庭でネットや動画閲覧程度の用途や、一般の事務用途ならばこれで不足する状況などありえないだろう。


気になる価格は米国での小売価格は55ドルが推奨されているので、日本では7,000円前後だと予想する。
競争相手がPentiumなのでこんなものだろうとは感じるが、ローエンドには5,000円程度の製品が必要だと思う。
さらに価格設定について、現在1万円ちょっとで買えるRyzen3 2200Gとの価格差が少ないと、スペックの差がありすぎてAthlon 200Gを選ぶメリットが薄れてしまうわけで、この辺りもどうにかして欲しい。

なので、Athlon 200Gは5,000円程度、GPUコアを4以上に増やしてCPUの動作周波数を3.5Ghz以上にしたものをAthlon 250Gなどとして7,000円程度で売るようにすべきである。
こうする事で、Athlon 200GはCeleron対抗、Athlon G250はPentium対抗となってバランスが良い。

或いは「Athlon 100G」などを作り、2コア2スレッドでGPUコアは2個で5000円未満とするのでも良い。もちろんAthlon 200Gはもう少し値段を下げて。


この辺りの競争は結構激しいはずなので、AMDがシェアを広げるためにはもっと多くのローエンド製品を投入する必要があるだろう。


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AMDによる最初の7nm CPUはTSMCで製造 [CPU]

AMDの7nmプロセスによるCPU製造の雲行きが怪しくなってきた。
予想していた事だが、Globalfoundries(以下GF)の7nmプロセス開発は上手く行っていないようで、AMDの7nmプロセスによるCPU製造は遅れている。

GFの7nmプロセスによるプロセッサ製造全体の話として、過去の情報では2018年6月現在、GPUである7nm VEGAのサンプル出荷が始まっているらしい。Radeonはそれ以前の情報で“Navi”がTSMCでの製造という情報があったのだが、VEGAの7nm版はGFでの製造である事は確定している。
ただしGFのArF液浸露光による7nm VEGAは生産数が極めて少ないと思われ、一般向けのビデオカードとして出回るのは何時になるのか不明で、ヘタをすると一般向けビデオカードの7nm VEGAが搭載された製品は幻となる可能性すらある。

これは現在の7nmは歩留まりが極めて悪い事が想像され、出荷が極少数でかつ単価の高いHPC向けの製品にとりあえず出す事で株価対策とするつもりなのだと思われる。要は事実上のペーパーローンチというやつだ。


一方でZen2の出荷はIntelとの競争激化により少なくともサーバー向け製品の遅延が許されない状況であり、そのためかGFでの製造が間に合わない場合のバックアップとして準備されたと思われるTSMCでの製造が実行されるようだ。


8月13日に第2世代Ryzen ThreadRipperが発売 AMD CPUロードマップ
http://ascii.jp/elem/000/001/721/1721348/


ネタ元のASCIIの記事にはこう書かれている。

“AMDのZen2、つまり7nm世代を利用したEPYCプロセッサーに関しては、GlobalfoundriesではなくTSMCで製造するということが明らかにされた。 ”


記事にはさらに“これまでのGlobalfoundriesの発表などを見る限り7nmも順調に立ち上がっているという話だった”とあるが、本当に順調ならばこんな事があり得るはずも無い。“順調”というのはAMD側の修正されたスケジュール上の話であり、実際にはかなり遅れが出ていて切羽詰った状況なのだろう。

そしてGFとTSMCでは同じ7nmといえどまったく別物の製造プロセスなので、回路の図面(論理設計)は同じでも製造のための設計(物理設計)はまったくの別モノになる。つまりTSMC製造のZen2と、GF製造のZen2は動作こそ同じであれど物理的に違うCPUとなるわけで、TSMCでの生産が始まる事がGFでの生産に対する後押しにはならない。

さらにTSMCの製造キャパシティは現在それほど余裕があるわけではないという記事をどこかで見かけた。よってTSMCで製造されるZen2コアは当初全てがEPYCに使用され、TSMC製のRyzen出荷はあったとしてもEPYCよりかなり遅れると思われる。


こうした理由から、もしかするとZen2コアのRyzenはGFでのEUVによる7nmプロセスが完成するまで待つ必要があり、7nm Ryzenの出荷は早くとも2020年以降になる可能性もあると私は予想する。

一方で楽観的な予想としてTSMC製のRyzen出荷はEPYCの出荷から数ヵ月以内に始まるという見方も出来るが、実際どうなるかはまったくわからない状況である事は間違いない。



次世代プロセスによる新型プロセッサ製品化の遅延
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2017-09-22

Zen+について
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2017-10-01

AMDの7nmチップは2019年以降から
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2018-02-01

AMDの7nm製品は今年中に出るらしい
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2018-06-06




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第二世代Threadripperは超ド級CPU [CPU]

「超ド級」という日本語がある。

その昔、イギリスで「ドレッドノート」という戦艦が建造された時、これまでの常識を破る圧倒的な力に世界が震撼した。

その後の軍事力拡大競争で世界各国は「ドレッドノート」に順ずる性能を持つ戦艦を建造し、日本ではこれを「ド級」と称したのだが、さらにその後建造された新型戦艦で「ドレッドノート」を超える戦艦の事を「超ド級」と称し、これが「他を圧倒するもの」という意味で現代まで使われるようになったとさ。(今では単にすごいという意味くらいで濫用されているが)

というわけで、これまでIntelのCore i9が一般向けパソコン用CPUでは最も性能が良かった。これを「ドレッドノート」とするならば、或いは第一世代のThreadripperでもいい。これらを超えた存在が、今回AMDより正式に発表された超ド級CPU「第二世代Threadripper」である。


「第二世代Threadripper」の超ド級なところは以下の通り。


・コア数が最大32コアもある(これまで一般向けパソコン用CPUではCore i9の18コアが最大)
・TDPが250Wもある(私が知る限りFX-9590の220Wが最大、ちなみにCore i9は最大165W)
・CINEBENCHのスコアがライバル(Core i9-7980XE)の1.5倍もある


まあ要はEPYCの劣化版(メモリチャンネルとPCIe本数が減っている)なのだが、動作クロックはTDP250Wという代償と引き換えにベースクロック3Ghz、ブーストで4.2Ghz(2990WXの場合)と頑張ったおかげで、計算能力だけは素直に賞賛すべきレベルにある。


とはいえ、第二世代Threadripperが世界一の座に居られるのはそれほど長くはないかもしれない。

どうせすぐIntelに追い越されるだろうから。


しかし性能はともかく、TDP250Wである。TDPという事は、全コアを4.1Ghzで回せばそれをはるかに上回る消費電力なので、少なくとも300W超えは確実である。
そんなのどうやって冷やすのかと。

CPUクーラーの性能が良くてもエアフローが悪かったらダメだし、熱をケース外に効率よく出せたとしても屋内の温度が高ければサーマルスロットリングでクロックダウンするかもしれない。

そしてクロックダウンを避けるには、夏場はエアコンの無い部屋では絶対に使ってはいけない。部品の寿命を気にするなら設定温度は28℃ではなく、最低でも25℃以下。安物のエアコンはあまり冷えないから、その場合は設定温度をさらに下げる必要があるかもしれない。

さもなくばケースのフタを開放して、扇風機でケース内を強制空冷するか。

性能だけでなく熱対策に必要な労力も超ド級である。

尤も、熱問題はCPUの能力を最大限引き出す使い方の時のみの話だが。


なんにせよ、“それ”が必要である理由を持つ人以外にはおススメできない代物だ。



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AMDのZen、中国に売られる [CPU]

GIGAZINのこの記事によると、AMDは中国企業と合弁会社を設立し、中国企業によってEPYCのコピーが生産される事になった模様である。

AMDのZenマイクロアーキテクチャをベースに中国メーカーが「Dhyana」プロセッサの生産を開始
https://gigazine.net/news/20180710-hygon-dhyana-x86-processor-amd/

法的な問題を回避しているとはいえ、x86マイクロアーキテクチャの知的財産権とZenコアの知的財産権を中国に売り渡した事は間違いなく、AMDの正気を疑うのは私だけではないだろう。


ただ一方で、商売としては間違っていないのかもしれない。
この事によってAMDは大きな金銭的利益と、中国市場への影響力を得ることが出来ると思われるからだ。

だが私には、AMDが近視眼的な決定をしたように思えてならない。

日本の多くの技術がそうであったように、事実上盗まれて中国の物にされてしまうのは目に見えているからだ。


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EUV量産一番乗りは三星か [CPU]

完成に近づいた、SamsungのEUVリソグラフィ採用7nm半導体量産技術
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/1130163.html


この記事を読むと、EUVを用いた半導体の量産は韓国の三星(SAMSUNG)が一番乗りになるようである。

とはいえ、EUVを用いるのはリソグラフィ工程の一部である模様。

何故ならEUVはいまだ完成の域に達しておらず、リソグラフィ工程の全てに用いる事は生産工数の上昇になるだろうし、微細化の率が低い中間層から上層までの配線層などには既存のArF露光で十分という事情もあると私は推測する。


記事にもあるように、EUVのメリットはArFと比べて回路が設計図通りに出来る事にある。

なのでArFの場合回路の変形を見越した設計にしなければならないが、EUVではその必要性が無い。

これによるメリットは記事に色々書かれているので、それを読めばEUVが如何に画期的な技術なのか理解できよう。


それにしても10nmの時もそうだが、三星は何故これほどまでに最新製造プロセスの量産化が早いのだろうか。

IntelやTSMCなどと比べて量産の規模が少ないというのが関係しているのか。

それとも半導体製造への投資規模がIntelさえをも上回っているからなのか。


パクリ上等の会社とはいえ、ある程度確立された技術を収益に転換させるその技術力は本物であるようだ。



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AMDの7nm製品は今年中に出るらしい [CPU]

この記事によると、AMDは7nm世代のVEGAを今年中に出荷するらしい。


第2世代Ryzen Threadripperは衝撃の32コア(以下略
https://news.mynavi.jp/article/20180606-642693/


記事によると“消費電力を半減させ、性能を1.35倍に出来る”らしいが本当だろうか。
だとしてもGeforceの対抗とするには少々心許ない気が。
何故なら今年中に出るはずの、10nm世代のGeforceに勝てるかは微妙な気がするからだ。

だが過去のRadeonに採用されて、その後AMDだけでなくNVIDIAでもゲーム用カードでは採用が見送られていたHBM採用が復活する。搭載容量も驚きの32GBだ。

次のハイエンドRadeonは、性能が段違いで上がるだろうが価格も大きく上がりそうな予感がする。


このようにビデオチップの7nm化が一足先に実現する一方で、7nmなCPUの方は過去に発表されたスケジュール通り、2019年中の出荷が予定されていると発表された。

記事中には次のEPYCがZEN2コアで出るという話が書かれていて、これがRYZENではないのはサーバー用のCPUが優先されるからだと思われる。

現在7nmのチップ生産に利用されるリソグラフィは従来のArF液浸露光なので、回路の焼き付けに何度も露光を繰り返さなければならない。そのために必要な「マスク」という遮光板は非常に高価であり、増えた枚数分は工程にかかる時間と共にコスト増の要因になる。

従って、歩留まりが低い内は安価な一般向けのCPUではなく、高価なサーバー向けに回す方が経営上健全な判断だと思う。もしこれがIntelならば、必要とされるCPUの数がケタ違いなので出荷延期となるかもしれないが、AMDならば需要がIntelよりもはるかに低いところから徐々に伸びていくので、その分歩留まり改善を見込んだ早期出荷が可能という見方も出来る。

実際の歩留まりが来年予定されている出荷予定日までにどの程度になるかはわからない(それ以前に歩留まりがどの程度かなど発表もされないから出荷状況から想像するしかない)が、余裕があれば同時期にRYZENにもZen2コアが回ってくる可能性もゼロではないかもしれない。



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Intel、Meltdown対策済みCPUを今年後半に出荷予定 [CPU]

現在「Spectre」と「Meltdown」という問題により、セキュリティ上の脅威にさらされているIntel製のCPUを使ったコンピュータ。
(ちなみにAMD製のCPUは「Spectre」のみ脅威となるが、事実上ほとんど影響が無い)

OSやファームウェアに対策が施されていても、完全には問題の解決になっていないとか、システムの性能が目に見えて落ちるなどの対価があったりという問題が残る。


こうした問題の解決にはCPUそのものから問題を取り除く必要があるが、それはCPUの基本設計を修正しなければならず、私は対策が施されたCPUがIntelから出て来るのは早くても来年頭(2019年1月以降)だと思っていた。

しかしIntelの開発力はすごかった。

Intelへの問題の報告(2017年6月)からわずか一年余りで、対策済みの製品を出荷するというのだ。


Intel、Spectre対策をCPUに実装、今年後半出荷の第8世代Coreなどから
https://news.mynavi.jp/article/20180316-601776/


とはいえ、この対策済みCPUでも二つある「Spectre」と呼ばれる脆弱性の内一つは対処されていない。
こちらはアプリケーションソフトウェア側の対策で容易に対処できるから後回しなのか。

それでも特に致命的な問題とされる「Meltdown」への根本的な対処が出来れば、少なくともCPUが本来の性能を発揮できるようになる事はIntelにとって非常に重い意味を持つ。


もし、現在使用中のパソコンが「Spectre」と「Meltdown」への対策によって性能が落ちたと感じる人が居れば、今年後半に出るという新しいCPUを買う意味があるだろうし、そうでなくともより安全なシステムが必要ならば移行する価値があるだろう。



Intel製CPUの致命的問題が発覚
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2018-01-03

Intel・AMD・ARM等のCPUに関する重大な問題
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2018-01-04

CPU脆弱性問題は結局どうなのか
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2018-01-15


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AMDのZENに深刻なセキュリティの欠陥がある? [CPU]

タイトル通り、先日AMD製のCPUコア“ZEN”を使うCPU製品群の全てに13ものセキュリティの欠陥が見付かったという発表が、イスラエルのセキュリティ企業“CTS Labs”により発表された。

影響を受けるのはパソコン及びワークステーション向けの“Ryzen”及び“Threadripper”全種と、サーバー向けの“EPYC”全種。(組み込み向けのZENコアを使うSoCなども含まれるかは不明)

一応余計な心配事を減らすためにこの問題に対する安心できる点を書くと、これらの脆弱性を悪用するためには“最初に管理者権限での物理的操作が必要”であるため、少なくとも「Spectre」「Meltdown」と違いネット経由で簡単に悪用可能という事ではない。
不特定多数が出入りするような場所に無造作に置いてあるパソコンでもない限り、そうそう問題にはならないだろう。


一方でこの発表に対しては、この手の発表は今年始めに世界中を騒がせた「Spectre」「Meltdown」の場合でも明らかであるように、発見直後は関係者のみに密かに報告がされ、世間に公表するのは対策がある程度まとまってからであるのが通例。

しかし今回はAMDへの報告後一日と経たず公表されており、しかも具体的な技術情報が無いために一部で“信憑性が無い=ガセネタである”と言われているようだ。ガセネタである根拠は他にも

・AMDに通知するよりも前(2018年2月22日)に「amdflaws.com」が作成されている
 →最初からこの脆弱性ありきで情報公開の準備をしていた可能性がある
 
・2018年3月7日頃に一部でAMD買収の噂が流れ、それから1週間後にこの問題が発表された。

・CTS-LabsのCFOは、ニューヨークにあるヘッジファンドの社長と同一人物

等々、“CTS Labs”という企業そのものが今回の発表のために作られたと言われてもおかしくはない状況証拠がこれら以外にも複数見付かっていて、公開されている動画が合成画像を多用してウソクサイとか、発表のタイミングがAMDの株価操作に最適なタイミングであるなど、疑惑が尽きない状況である。

以上の事から、決め付ける事は出来ないが、この発表はウソである可能性が高いと私は考えている。(もちろん、同時にウソではない可能性もあると考えている)


なお欠陥の内容についてだが、簡単にまとめると以下の通り。


・CPUに内蔵されるセキュアプロセッサの脆弱性
※ZENには“ARM Coretex-A5”というARM系CPUコアが内蔵され、セキュアプロセッサとして機能している。

 この脆弱性は大きく分けて三種類あり、「Master Key」「Ryzenfall」「Fallout」と呼ばれる。
 
 「Master Key」はUEFI(BIOS)の機能として存在するセキュリティ機能を無効にしたり、UEFIそのものに任意のプログラムを書き込んだり出来る。この脆弱性を利用するにはUEFIを書き換える事が前提であるが、「Ryzenfall」を利用するとUEFIの書き換えを禁止してもこれをすりぬけて書き込む事が出来る。

 「Ryzenfall」は“Secure OS”に関する脆弱性で、本来アクセス出来ない領域にあるセキュリティ情報を盗み出したり、任意のコードをセキュアプロセッサで実行することなどが可能だが、OS側の対策で防ぐことが可能であるようだ。

 「Fallout」はサーバー用CPUであるEPYCに存在する脆弱性で、「Ryzenfall」と同様の脆弱性である模様。

 以上の事から、OS側に「Ryzenfall」や「Fallout」への対策をし、UEFIの書き換えを禁止に設定する事でこれらの脆弱性を回避出来る可能性がある。


・チップセットの脆弱性「Chimera」

 「Chimera」は主にRyzenで用いられるチップセット「X370」に存在する脆弱性。
 バックドアとして利用可能で、チップセットを交換しないかぎり根本的な解決には至らないらしい。


以上。


今の所は実証コードも公開されておらず、また具体的に何をどうすれば脆弱性の利用が可能なのか方法もわからないようなので(実証コードや脆弱性の詳細が書かれた非公開資料は存在するという“ツイート”はあるが、それがAMDに渡っているかはわからない)、もしこの脆弱性が実際に存在するとしても一般の消費者が被害を被るにはまだそれなりの時間が必要だ。

消費するだけのブタである我々は、あわてず騒がず、AMDからの正式な発表を待つ事が賢い選択である。



ネタ元の記事

AMDのプロセッサに脆弱性、セキュリティ企業が情報公開--懐疑的な見方も
https://japan.cnet.com/article/35116106/

AMD RyzenとEpyc CPUに13種の脆弱性。Spectre類似、機密情報へのアクセスなど許す可能性
https://japanese.engadget.com/2018/03/13/amd-ryzen-epyc-cpu-13-spectre/

AMDのプロセッサ「Ryzen」と「EPYC」に重大な脆弱性、セキュリティ企業が公開
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1803/14/news060.html

AMD製CPUに「致命的」欠陥 悪用でPC乗っ取りも
http://www.afpbb.com/articles/-/3167253

RyzenおよびEPYCに深刻な脆弱性が存在することをイスラエルのセキュリティ企業が公表
http://www.4gamer.net/games/300/G030061/20180314093/

RyzenやEPYC内蔵のセキュリティチップに深刻な脆弱性
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1111496.html

AMD、RyzenやEPYCの脆弱性報告に対し声明を発表
https://news.mynavi.jp/article/20180314-600588/

【CPU】 悲報 RYZEN / EPYCで13種もの脆弱性が見つかる
http://blog.livedoor.jp/nichepcgamer/archives/1070431576.html



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RavenRidgeレビュー記事を読んで [CPU]

意外と早く登場したRyzen APU。

今日、2/13からついに販売が始まったが、同時にパソコン情報サイトではレビュー記事も解禁になって掲載されていた。


Ryzen 5 2400G/Ryzen 3 2200Gレビュー
https://news.mynavi.jp/article/20180213-583826

Ryzen 5 2400G,Ryzen 3 2200G
http://www.4gamer.net/games/300/G030061/20180212002/


レビュー記事はとりあえずマイナビと4Gamerの記事を読めば良いと思う。
マイナビは定格動作だが、4Gamerはメモリにオーバークロック品を使う事を前提とした記事で、評価の視点が違う。
※RavenRidgeはDDR4-2933に正式対応となるが、現在DDR4-2666までしか定格動作のモジュールは販売されていない。それ以上のモジュールは全てオーバークロック品(動作電圧が1.35Vと高い)である。


で、この二つの記事を読んだ感想だが。

性能に関してはCPU性能がIntelと比較して低く、GPUは大幅に高性能という点は想像通り。

この点Bulldozer系APUの頃と傾向はまったく変わっていないが、Bulldozer系APUはCPUの性能がIntelと比較して半分が精々だったのに対し、Zenになった新しいAPUはかなり善戦し、得手不得手はあるものの全体的には同クラスのIntel製CPUと互角に近い。

しかしどちらが高性能かといえば、Intelの方だとはっきり言える程度の差は付いているが。

一方で意外だったのが消費電力の低さ。
内蔵するGPUが、単品のビデオカードでは消費電力の高さがネックだったVegaなのに、システム全体の消費電力がピークで100W程度(ただし構成による)とは。

これは今私が使っているA8-3870Kよりもかなり低い。
まあA8-3870KはTDP100Wなので当然と言えば当然なのだが、RavenRidgeのTDP65Wという数字は伊達ではないようだ。


他には内蔵GPUのデバイスドライバに問題がありそうな点が気になった。
これはマイナビと4Gamer双方の記事で指摘されている。

過去に私がBristolRidgeで組んだ時はWindowz10用のドライバが正常に動作せず、無理に使うとBSoDでリセットがかかってしまうという事があった。このケースでは当時Windowz10 RS3に未対応のドライバしか存在しない事が原因だったが、AMDのGPUは旧ATiの頃からドライバの完成度の低さに定評があるわけで、今回もその例に漏れてはいないと思われる。

今すぐRavenRidgeで組みたい人は、GPUのドライバについてしばらくの間注意が必要かもしれない。


というわけで。

BristolRidgeから大幅な性能強化を果たし、一方で消費電力も比較的抑え目の初代Zen APUである“RavenRidge”。

欲を言えばもう一声欲しいと言いたくなる性能ではある。

そもそもがZenコア自体まだまだの内容であるわけで、そこに鳴り物入りで出た割りに期待はずれの性能でコケたVegaを組み合わせている以上、どこか中途半端に感じることは否めない。

現時点ではよく頑張った!という評価しか無いが、そうであってもコストパフォーマンス面でなんとかIntel製CPUを上回る事が出来たという点に関して間違いはないわけで、私個人としてはRavenRidgeが良くも悪くも予想を裏切らず、今回の発売に漕ぎ着けた事が正直うれしい。

また意外にも早くデスクトップ版が出た事が、ノート型パソコンへの採用がAMDの予想よりかなり少ない事が理由ではないか、という心配はあるが、それはまた別の問題。

あとはセレロン対抗のA4-7300に相当する低価格品が出てくれれば。
事務用途ではこれで十分なので、「Ryzen 2010G (3.2Ghz 2コア,256SP TDP25W)」のような内容で5000円前後のが出来るだけ早く出て欲しい。


最終的な結論として、AMDのAPUはHBM搭載型が出るまでは試作品の状態という事か。

HBM搭載型APUが2020年くらいに出てくれるといいなァという妄想しか今は出来ない。



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AMDの7nmチップは2019年以降から [CPU]

7nmプロセスの開発が加速、EUVの導入も現実的に
http://eetimes.jp/ee/articles/1801/29/news066.html

現在、AMDはかつて14LPP+と呼んでいた12LPプロセスによるCPU及びGPUの製造を準備しており、製品の出荷は今年中に行われると予定されている。(Ryzenは4月から、GPUは年内予定)


一昨年辺りでは2018年に7nmの製品を出す予定だったが、2019年にずれ込む事が確定※したわけで、そうなるとEUVを使わない7nmが2019年内、EUVを使う7nm+は2020年まで出荷が延びると私は予想するが、もしかすると7nmをキャンセルして2020年の7nm+にいきなり飛ぶ可能性もゼロではないかもしれない。※2018年7月現在、2018年後半以降にGPUコンピュート/マシンラーニング向けの「Radeon Instinct」が生産されるという発表がAMDより正式になされているが、試験生産の域を出ない少数であると思われる。


というわけで、2018年内のAMD製デスクトップ向けCPUは、2月12日に発売予定のAPUであるRyzen 2xxxGが14LPPで、4月の出荷が予定されているRyzen+が12LPでの製造となり、この二本立てで今年いっぱいから来年予定されている7nmプロセスで製造される新製品まで引っ張る事になった。(ちなみにSpectreへの対策は7nmの製品までおあずけ)


ただ、今後の予定がどうなるかは全て製造を担当するGlobalFoundriesでの製造プロセス開発がどうなるかに係っている。
こればかりはAMD一社の努力だけではどうにもならない事なので、かつてのAMDのように延期に次ぐ延期にならない事を祈りたい。


参考記事

Ryzen APUは2月、第2世代Ryzenは4月に発売
http://ascii.jp/elem/000/001/616/1616753/

年内にVegaの延長となる12LPのGPUをリリース
http://ascii.jp/elem/000/001/620/1620179/

AMDが第2世代RyzenやAPU版Ryzen、モバイル版Vegaなどを一挙発表
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/1099905.html

Zen+について
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2017-10-01

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まだあるのか [CPU]

インテル半導体、新世代でも再起動頻発の可能性 パッチの問題で
https://jp.reuters.com/article/intel-chip-idJPKBN1F70D4


現在複数の問題が取り沙汰されているIntel製CPUだが、最新のCPUは古い世代よりも問題が少ないという認識が一般的である。

そこに来てこのニュース。


AMD製CPUでもパッチを当てた後OSが起動しない、というような例はあるが、これは10年以上前のCPUで、それ以降のCPUでこのような問題は発生していない(今のところは)。


これらの件に関して、Intel製CPUが問題解決した製品を出荷できるのは早くても来年になると思われる。

AMDはこの隙にシェアを伸ばせるのだろうか。

・・・多分無理だろうなぁ。



1/19追記

Intel、Sandy BridgeからKaby Lakeのシステムで“再起動問題”が発生中
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1101991.html

ファームウェアアップデートとあるので、UEFIをアップデートした人の一部に影響が出ているのだろうか?
だとすれば、UEFIをアップデートしなければこの影響を受けないので、ほとんどの個人用パソコンには無関係な話かもしれない。


追記:

脆弱性対策パッチの導入中止を――「リブート問題」でIntelが呼び掛け
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1801/23/news057.html


記事によると

“現行バージョンのパッチについては「リブートが予想以上に増えるなど”

となっており、十分なテストをせずに出したツケが廻っている模様。


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RISC-VはARMを駆逐出来るのか [CPU]

最近オープンソースなRISC CPUのアーキテクチャである「RISC-V」(りすく・ふぁいぶ)なるものが盛り上がっているらしい。

海外で急激に盛り上がる新CPU命令アーキテクチャ「RISC-V」
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/1094808.html


このCPUをわかりやすく一言で表現すると「第二のARM」という言い方が出来る。

ARMとの共通点を素人にわかりやすい表現で挙げると

・開発元から提供されるのはCPUの設計図(命令セットなど)のみ
・RISCというシンプルな命令セットを使うためにチップを小型化・省電力化しやすい
・基本設計が様々な用途に柔軟性を持つため、用途ごとの改造がやりやすい

私の理解ではこんなところか。

そして大きな違いはライセンスフリーかつロイヤリティフリーである事。
要するに設計図の使用料と、製品一個に対する利用料が無料なのだ。


この件に関して実際にこの手のCPUがどういった用途で使われているのかを考えると、現在ARMがほぼ独占している市場に対し非常に挑戦的なプロジェクトである。

また設計図が無料という事で開発費が抑えられ、また市場に流通する製品1個に対するロイヤリティーも無料となると、億単位で売れる商品の場合には億単位のコスト削減になるため、コスト面での競争力はARMと比較にならない。

となるとRISC-Vが主流になるためには機能面でARMと同等以上である必要があるが、少なくとも製造に関してはARMと同じものが使える以上計算能力が劣るとは考えにくく、また用途に特化した製品が作りやすい面を考えるとこの点でもARMと変わらないわけで、なんらかの圧力がかからない限りRISC-Vの成功は約束されたもののように思える。

何よりもメジャー所を含む多くの企業がRISC-Vを使った製品開発を始めている事から、RISC-Vは将来ARMを駆逐してしまう可能性を感じさせる。


まあ、色々と未知数であるRISC-Vであるが、一企業が開発するARMによるIoT機器用プロセッサの独占状態に危機感を身としては、オープンソースのRISC-Vが今後ARMを駆逐して欲しいと思う。


Western Digitalが次世代コンピューティングアーキテクチャ「RISC-V」の推進を加速
https://gigazine.net/news/20171129-western-digital-risc-v/

Hot Chips 29 - 業界初のオープンソースRISC CPUコア「RISC-V」
https://news.mynavi.jp/article/20171012-hotchips29_riscv/



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Raven Ridgeが正式発表された [CPU]

もう数日前のことだが、AMDは2017年10月26日にZENコアを用いたAPU“Raven Ridge”を正式に発表した。

名称もコードネームの“Raven Ridge”や過去に発表された“Ryzen Mobile”ではなく、「Ryzen Processor with Radeon Vega Graphics」と長くて説明的な名称が正式らしいが、長すぎるので業界では今後も“Raven Ridge”が普通に使われるかもしれない。


この漸く正式発表(とはいえ発売はまだ先)された“Raven Ridge”、詳細についてはパソコン関係の各情報サイトなどで詳しく説明されているのでここでは省く。

おおまかな要点だけ書くと

・中身はZEN(CPU)+VEGA(グラフィックコア)
・当面TDP15Wのモバイル向け製品のみ出荷
・搭載される製品は今年末以降に登場するが、十分な供給は2018年以降

こんな感じか。

搭載するノートパソコンはしばらくの間は品不足で、デスクトップ向けは早くても春以降か。
ヘタすると来年春まで搭載ノートパソコン自体数が少なく、デスクトップ向けが出てもOEM供給優先で自作用部品としての販売は秋(2018年9月以降)まで待てとかなるかもしれない。


性能に関してはAMDが公表するベンチマークの数字を見る限り、過去のRYZENとVEGAの評価通りの高性能ぶりである。

大雑把に言えばデスクトップ向けRYZENとVEGAのスケールダウンなわけで、それをIntel製モバイルCPUと比較すればそれなりの結果になる事も当然と言える。
今までのBulldozer系コアを使ったAPUも実用上十分な性能を持ってはいたが、ベンチマークではIntelに及ばず、消費電力も多めであった事を考えると、まさに奇跡といえるほどの性能だ。

デスクトップ用ではIntelはRYZENを超える性能の新型CPUを出してきているが、モバイル向けに関してはこらからとはいえ、1年くらいの間はAMDが性能的優位な状況を維持できるかもしれない。これはZENコアの性能もさることながら、VEGAの存在が非常に大きい。


消費電力の問題については、グラフィックコア内蔵CPUの需要は大半がノート型パソコンのようなモバイル向けなので、省電力機能をベースとなったデスクトップ用RYZENとVEGAよりもかなり充実させている。これは消費電力が多くてモバイル向けへの転用に苦労した、Bulldozer系コアのAPU開発で培った技術が最大限に発揮され、またそれを発展させた結果だと思う。

TDPは15Wと、これまでのAPUでは難しい領域にいとも簡単に到達した感じがするが、全てのコアに100%の負荷をかければ恐らく50Wは下らない電力を消費するはずで、これは省電力機能を使って不要な電力消費を徹底的にカットする事で15WにまでTDPを下げているのだろう。Web閲覧や文書作成程度の用途では10Wを余裕で下回り、もしかすると5W以下にまで消費電力は下がるかもしれない。

ただし、こうした一般的なパソコン向けCPUの省電力機能は、現在高性能化と共に増大する消費電力自体を削減するようなものではない。だからターボモードのような動作周波数を上げるモードが動作する場合は、当然にそのまま消費電力と発熱量の増加という現象を引き起こす。もちろん“平均15W以下に発熱量を維持する”ために動作周波数を落としたり動作するコアを減らしたりしているものを、動作周波数を定格の上限(Ryzen 7 2700Uなら2.2GHz)まで上げたり休止状態から起こすだけでも消費電力は大きくハネ上がる。これは周辺IO(メモリやストレージ、USBやネットワークなど)も当然に含まれるだろう。とにかくあらゆる回路を、必要な時だけ電力を送り、動かすにしても必要最低限の電力で済むように調整しているわけだ。

このため、省電力機能は消費電力と発熱のバランスをコントロールしているだけ、という見方も出来る。実際にはCPUやGPUと周辺回路そのものをブロック単位で休止させる事でその部分の消費電力を限りなくゼロにまで落とす事までしているが、これは単に働いていない回路に電流が流れる事を遮断しているにすぎないので、全ての回路が働く必要に迫られれば相応の消費電力になってしまう。
特に性能に直結するCPUとGPUの各コアは、ひとたび動けば消費する電力が大きいためにあっという間にコアの温度が上昇する。するとTDPの枠内に収めるため、どうしても動作周波数を落とさざるを得ない。

従って、実際の製品では製品ごとに違う熱処理の優劣がそのままそのパソコンの性能に直結する。
アクティブヒートシンクも存在しない極端に薄いノートパソコンと、厚みに余裕があって排熱機能が充実したノートパソコンを比較すれば、同じ型番のRaven Ridegeを使っていても後者の方が誤差とはいえない差で高性能である事も起こり得る。

その代わりに、性能に拘らなければTDP15Wの省電力を生かした製品を作る事が可能というわけだ。
これは実際に製品を開発するメーカーにとっては大きなメリットといえないこともないが、消費者にとっては誤解を生みやすい要素かもしれない。

「同じCPUなのに、どうして自分のパソコンは性能が低いんだ!?」

という感じで。
まあこういう傾向は10年以上前のノートパソコンでも起こってはいた(一定の温度を超えると動作周波数が落ちる)が、制御が緻密になった分通常の使用状況での性能に違いが出るようになったと思えばいい。


というわけで、後半は話がCPU全般の省電力機能の話になってしまったが。

製造に使われる14LPP自体が元々省電力向けプロセスという事もあり、モバイル向けに調整しても意外と高性能だったRaven Ridge。

Intelのように全ての市場へ一斉に出荷が出来ないAMDの内情を考えると、自作市場への供給が後回しになるのは当然とも言える。だが供給量さえ増えれば自作市場にも出荷が始まるはずなので、出来るだけ早く増産体制が整うことを祈る。



参考にした記事:

ZEN+Vegaとなった「Ryzen Mobile」ファミリの詳細
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/1087925.html

AMD,ノートPC向けの新世代APU「Ryzen Processor with Radeon Vega Graphics」発表。
http://www.4gamer.net/games/300/G030061/20171025016/

Ryzen MobileはTDP 15Wの投入を最優先
http://ascii.jp/elem/000/001/577/1577984/



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Zen+について [CPU]

最近12LP(12nmLP)といわれるプロセスを使った新しいZenについての情報が色々出回っている。

一部を省き噂の域を出ない情報が多いが、信憑性のありそうな情報をまとめるとこんな感じである。


・来年2月と3月に改良された新しいZenコアを使った新RYZENが出る
・これらはPinnacle Ridgeといい、過去Zen+とされていたモノ
・新しいRYZENは12LPで製造される
・改良の内容はIPCの向上と動作周波数の向上


以上。

Zen+については過去、改良された14LPP(14LPP+)で製造されると言われていた。
が、最近の話では12LPという新しいプロセスで製造されるようである。

Zen+が14nmではなく12nmと微細化されたプロセスで製造される事に変更された理由はなんだろうか。

私の個人的な想像だが、これは2018年末までには出す予定だった7nmプロセスが間に合わない事が確定したのだろう。また、14LPPではこれ以上の改良をしても動作周波数が上げられない可能性も考えられる。

いずれにせよ、AMDは恐らくこうした事態を想定して12nmプロセスをバックアップとして平行開発していたと思われる。(それとも単に14LPPの改良=12LPという事だったのかも?)


とういうわけでまだこれらの情報は確たるものではないが、来年2月に出るZen+は、12LPの出来によっては7nmプロセスによるZen2までのつなぎとしては14LPP+よりも良いのではないかと私は勝手に思ったりしている。



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次世代プロセスによる新型プロセッサ製品化の遅延 [CPU]

現在いくつかのニュースサイトに、Intelの10nmプロセスを使った最初の製品「Cannon Lake」が当初の予定より遅れて2018年末の出荷に延期された事と、AMDが2018年に予定していた7nmプロセスによるCPUとGPUの製造が12nmLPという製造プロセスに置き換わったという情報が出ているようだ。

ニュースソースについては今後日本語の記事が国内のIT関連ニュースサイトから出ると思われるのでここには書かないが、ソースを読みたい人は自分で検索して欲しい。


というわけでこの件に関する個人的な感想。


Intelについては意外としか。まさに寝耳に水である。
そもそもIntelの10nmは今年にはもう出ている予定のもので、過去に延期された事もあり、今になってまた遅れるとは予想できなかった。
この件に関しては未確認情報ながらCannonLake自体にも問題があるという話も出ているし、目標の性能を達成できないためにモバイル向けの省電力製品のみが先に出るという話もあるので、正確な情報を得るには待つ必要があるかもしれない。


そしてAMD。
こちらは半分予想通りで半分が予想外。
予想通りというのは2018年内の7nmによる製造が事実上キャンセルされたという事。
予想外は12nmLPという新しいプロセスが出てきた事である。

ただ12nmLPの登場は、7nmでの製造が遅れる事に対するバックアッププランであった可能性があるため納得がいく。
AMDは元々省電力向けチップのために12nmプロセスの開発を続けていた事実があるので、このノウハウを使って現行の14LPPを改良し12nmにシュリンクしたものと想像する。
ちなみに14LPPの改良という部分はAMD自身が発表している。


とまあこんな感じで、スマートフォン向けのような省電力チップ向けには現在の技術でも十分対応出来る10nm以下の製造プロセスであるが、動作周波数が4Ghzを超える高性能チップ向けにはまだまだ課題が残り、開発が難航しているという現実は過去10年以上前より散々言われている話から十分に納得いくものであり、今後もさらなる遅延が在り得るのだと思った。



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AMDのCPU販売シェアがIntelを抜く [CPU]

直近10年で初めてAMDがCPU販売シェアでIntelを抜く
http://gigazine.net/news/20170904-amd-overtake-intel/

GIGAZINEの記事によると、この7月ヨーロッパ市場においてAMDのCPU販売シェアがついにIntelを超えたそうだ。

この歴史的快挙を素直に喜びたい。


が、日本国内の市場に限ってはそうとも言えない。

日本市場は海外と違いIntelの力がとても強く各方面にかなり強い圧力がかかると同時に、長い物に巻かれたい日本人らしくこれを迎合する者が圧倒的多数であるからだ。

しかも、これに追い討ちをかけるような混乱も起きている。

これはRYZENを始めとするAMDの新製品が軒並み海外の相場より高価格であり、○スク税とも言われる金額が上乗せされているという問題で、特にハイエンド製品として8月に販売が開始されたThreadripperの初値は、1950Xが$999の設定に対して国内価格が¥157,000以上であり、同じ$999のCore i9 7900Xが¥124,980であった事を考えると消費者を馬鹿にしているとすら思える。

結局このThreadripper 1950Xは2週間程度で一気に2万円の値下げがされ、現在値下げ前に買った顧客にはなんらかの対応があるという話も出ている。

この件はAMD製品の日本国内での不信につながって、CPUの販売シェアには少なくない影響があると思う。



混乱が続くRadeon RX Vega 56の国内価格
http://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/news/news/1078842.html

発売からたったの2週間で2万円近くの値下げをしたThreadripperに続き、つい先日出たばかりの「VEGA」もまた、今度は発売からたったの1日で5千円の値下げとか。

元々ボッタクリなIntelと比べれば割安とはいえRYZENもなかなか強気な値付けだと思ったが、VEGAとThreadripperはそのさらに上を行く強気な価格で、さすがに代理店ボッタクリしすぎじゃないかと思っていた中でのこの騒動。

まあ、RYZEN以降の新製品はそれなりに期待の高い新製品であったので、初物のご祝儀価格もある程度は納得できる。が、やりすぎは禁物って事を、彼らは理解していなかったらしい。結局短期間で値下げをし、消費者のAMDへの印象を悪化させた。

AMD製品の卸業者として有名な○スクがこの騒動の原因かわからないが、一部の業者の思惑で消費者が不利益を被っているのは間違いないわけで、これが日本国内でAMD製品のシェア拡大の足を引っ張っている事は間違いない。


Radeon RX Vegaが残念だった話
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2017-08-17



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Intel、またもやっつけでAMDに対処 [CPU]

ついこの間、IntelのハイエンドデスクトッププロセッサであるXシリーズが出て間もない。

件のCore i9-Xはやっつけ仕事である事が明白な製品で、比較されたAMDのThreadripperと比べて明らかに優位に立てるほどの性能を出せなかったばかりか、消費電力当たりの性能では明確に負けてしまった。

だがCore i9-Xはその役目を十分果たした。
とりあえずAMDのケツに噛み付くくらいのインパクトを市場に与える事には成功しているからだ。


そして今日、Intelは新しいCore iシリーズである“Kaby Lake R”を発表した。

この“Kaby Lake R”は従来「Coffee Lake」と呼ばれていたCPUで、基本的なアーキテクチャはこれ以前のSkylakeやKabylakeとほぼ同じである。しかしIntelの新しい14nm++と呼ばれる製造プロセスによっていくらかの高性能化を果たし、ライバルであるAMDのRYZENと売り上げを競う事となる。

Intelの発表によるとこの“Kaby Lake R”、現行のKabylakeと比べて“プラットフォーム単位で40%の性能向上”を謳っているが、ポイントは“プラットフォーム単位”という部分。

要するにクロック当たりの性能指標であるIPCはほとんど上がっていない。
そして製造プロセスの変更で若干のクロックアップを可能にする事で、CPUの高性能化を果たしていると思われる。
つまり40%の中身のほとんどがCPU自体の性能向上ではなく、主にCPUに加わった新しいSIMD命令と改良されたGPUの新機能、そしてCPUの足枷となっている周辺デバイスの改良、恐らくメモリアクセスとストレージへのアクセス効率を上げていると思われ、これにはIntelの3D XPointメモリをキャッシュに使う「3D XPoint Technology」と、USB Type-Cコネクタを利用したThunderbolt 3 (最大40Gbpsの超高速汎用インターフェイス)までをも含んでいると想像する。

また今の所これがノート型パソコン等に向けたBGAパッケージの製品の話という事で、チップセットがCPUパッケージの上に実装されている事も見逃せない。

これはコストダウンだけでなく消費電力の低減や周辺デバイスへのアクセスに対する遅延削減をも可能にし、パソコン全体の性能をわずかながら底上げするだろう。
(デスクトップ向けはモバイル向けが出た後、秋以降に登場という話だが)


一方で高性能化の代償もそれなりには大きそうである。

TDP(熱設計の指標)はKabylakeと同等であるが、どうも消費電力自体はそれなりに上がっているようで、RYZEN同様にきめ細かく操作される省電力機能を前提としたTDPであり、全力運転をした場合相応に電力を食う=発熱も多いという、Core i-Xと同様の傾向を持つCPUのようだ。


というわけでやっつけ感しかない“Kaby Lake R”ではあるが、増大した消費電力分の性能向上はあるわけで、年末以降に出るという“予定”のAMD製“Ravenridge”と比較してどうなのか興味がある。
GPUを内蔵している以上、直接のライバルはRYZENというよりこちらになると思うからだ。


Intelとしてはあくまで“つなぎ”でしかないCPUであると思われるが、これといつまでも良い勝負をしているようではAMDの未来は無い。

AMDはこの製品を見て油断するのではなく、気合を入れなおすくらいでいてほしい。



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CPUのハードウェア的欠陥 [CPU]

コンピュータの心臓部とも言えるCPU(中央演算処理装置)。
単純なラジオなどに使われるようなトランジスタ(正確にはCMOSプロセスで製造されるFETだが)が、現在では億単位集まって回路を形成しているこのCPUに、ハードウェア的な欠陥がごくふつうに存在する事を知る人は少ない。

何故なら、もしCPUに欠陥があれば正常に動作しないと一般的に信じられているからだ。

しかし現実には常に多数の欠陥を抱えながらも、仕様を満たす動作が正常に行われれば良いのであり、これに影響が無いものや再現性が極めて低いものは放置され、致命的であると判断された欠陥のみが修正され出荷されている。


こうした背景の中、現在AMD及びIntel双方の最新CPU(RYZEN,Skylake,Kabylake)にはそれぞれ大きな欠陥が見付かったとして、一部で問題になっている。


AMDのRYZENの場合、この問題は「SEGV問題」と呼ばれ、今の所はLinuxでカーネルビルドというOSの基幹プログラムをソースコードから実行プログラムに変換(コンパイル)する時、コンパイルが正常に終了しない“場合がある”という現象を引き起こしているようだ。

Ryzenで発生しているSEGV問題、原因はCPUのキャッシュ?
https://srad.jp/story/17/06/23/0550221/

原因については一部の人達による検証において“CPUのハード的なエラーである”と推測されているが、同一条件での再現性が無いために原因が特定されているとは言えない状況。

さらに、多くの不具合報告が寄せられているにも関わらず、自分の環境では出ないという報告もまた多いようだ。

このような状況であるため、問題の深刻度は極めて低いと私個人では判断している。
なにしろ私自身RYZENでWindowzを使っていながら問題に遭遇した経験が無いからだ。

まあ、一部のプログラマには影響があると言えるが、それもコンパイルに失敗するケースは極めて限られた条件の上に確率は数%であり、失敗したらやりなおす事で正常にコンパイル可能で、いくつかの条件では回避策がすでに確立されていて、一部とはいえ問題は解決している。
またコンパイルしたプログラムが正常動作しないという報告は見かけないため、事実上影響はゼロに近いと思われる。

ただし、こうした目に見える不具合は今の所これだけに思えるが、実際には主にメインメモリのモジュールに関する相性という形で不具合は出ており、こうした実質的な影響が事実上ゼロに近い複数の欠陥について、不具合を解消したRYZENが近々出荷されるという話が出ている。


そしてIntelのSkylakeとKabylake場合、事態はRYZENよりも深刻そうだ。

IntelのSkylake&Kaby Lake世代のCPUには(中略)重大なバグがあると判明
http://gigazine.net/news/20170626-intel-skylake-kabylake-bug/

この問題はハイパースレッディングという、1つのCPUコアで二つのスレッドを走らせる機能を有効にしていると、データ欠損やプログラムエラーが発生するとういうもの。

しかしこれも発生の条件が非常に限られると考えられるので、事実上問題にならないと思われる。
これは発売以来この問題による混乱が起きていない事が証明している。

ただし今の所発生の条件がまったくわからないようなので、この問題が致命的トラブルを誘発する恐れがある環境の場合、ハイパースレッディングをオフにした方が良いと思う。


というわけで、最新のCPUに関する最も新しい欠陥のニュースを二つ取り上げたが、調べてみれば過去にある程度大きなニュースになった問題は検索すれば数多く見付かる。

こうした問題は一部でデマや風評被害の流布に利用されているため、それらに惑わされないためにも事実を知っておいたほうが良いと思う。

興味のある方は“CPU エラッタ”などのキーワードで検索すると良い。


CPU エラッタ
https://duckduckgo.com/?q=CPU+%E3%82%A8%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%BF&t=ffsb&atb=v58-3&ia=web