少なくとも、今の所ZEN2のAPUは無い [CPU]
先日CESで発表されたZEN2のRyzen(以降“Matisse”)は、CPUコアとIOを別のダイで製造し、パッケージされる構成である。
この“Matisse”のパッケージはダイの位置関係において、もう一つのダイが載る可能性を予想させる変則的なもので、一部の者達からパッケージの空いている場所にGPUダイが載る可能性を期待されていた。
つまり現状8コアのCPUチップレットとIOチップレットの二つがパッケージされている所に、GPUチップレットが追加されたAPUが登場するのではないか、という事だ。
この件に関して海外のコンピュータ情報サイトを運営するANANDTECHがAMDに質問すると、AMDは“Matisse”にAPUの可能性が無い事を明言したようだ。
AMD: “No Chiplet APU Variant on Matisse, CPU TDP Range same as Ryzen-2000”
https://www.anandtech.com/show/13852/amd-no-chiplet-apu-variant-on-matisse-cpu-tdp-range-same-as-ryzen2000
これは意味ありげに空間が残る現在のレイアウトにGPUチップレットが追加されないという意味であり、将来に渡ってAPUが出ないという意味ではない。出るとすれば専用設計のパッケージによる、“Matisse”とは違う製品になるという事だ。
私は当初からあの空間にGPUが載る事を否定していたが、これが証明された形だ。
もしZEN2のAPUが出るとしたら、私の予想では7nmのZEN2コアで製造されるCPUチップレットに、IOとGPUを統合したダイのチップレットが組み合わされると思う。
このAPU専用チップレットは、恐らく“Matisse”のIOダイよりもL3キャッシュが半分に減らされたうえでGPUコアが追加され、ダイ面積は1.5倍~2倍以下の範囲になるだろう(あくまで私の想像でしかないが)。
また、ミドル~ローエンドを担うAPUは12LPかその後継の12nmクラスのプロセスで、単一のダイで製造されると思う。
もしかすると、APUは今後数年間、7nmプロセスで製造されない可能性すら有り得ると私は考えている。
今年の一般向けCPU等の動向はどうなのか
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2019-01-06
12nmのRyzen APUが発表される
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2019-01-07
>ミドル~ローエンドを担うAPUは12LPかその後継の12nmクラスのプロセスで、単一のダイで製造されると思う。
でもさぁそれだと今までの不都合な点が残ることになる
ZEN2は省電力化やIPCの向上もあれだが
IO関連の欠陥を是正したことが一番重要な訳で
それが単一ダイとなると関係なくなるばかりかコストのアップにもつながり
省電力化やIPCの向上もお預けになる
つまり全く新しい独立したCPUを設計することになる訳で
コストの面でも割高にならざるおえない
すべてが悪い方向に行くAPUを今後発売するだろうか?
by お名前(必須) (2019-04-10 19:14)
お名前(必須)様、コメント有難うございます。
お名前(必須)様の懸念するところは当然の事で、「視点によっては」今後7nmプロセス以降の微細化によるメリットを全て捨てる事になるのが12nmによる単一ダイのAPUです。
しかし現在のところは複数のチップをパッケージに詰め込む事の方が、コスト高に繋がるというのが私の見解です。
そしてミドル~ローのAPU(現在の2~4コア製品に当たります)はダイサイズもそれほど大きくは無く、またこなれた製造プロセスで安価に設計・製造が可能です。
また、もし今後7nm以降のプロセスでAPUが出るとすれば、GPUをIOダイに統合するというのが私の予想です。こちらはある程度ハイパフォーマンス向けのAPUになるでしょう。
APUの存在意義については、低コストのパソコンを製造する上で必須の条件であり、Intel製のモバイル向け製品群に対抗する為に絶対必要な製品です。
コストの問題については後付けGPUが必要な製品と比べて出荷量が圧倒的に多いので、そういった面でも安く作れると思います。
by 98式軍刀 (2019-04-10 19:50)