APUの躍進はまだ数年先か [CPU]
7nmベースのRyzen APU「Renoir」を2020年に発表 AMD CPUロードマップ
https://ascii.jp/elem/000/001/973/1973312/
今日、上記リンク先の記事を読んで思った。
AMDのシェア拡大は、事実上行き詰っていると。
理由は単純に言えば二つ。
一つはTSMCの7nmプロセスが「ダメ」という事。
何がダメかと言うと、それは性能と生産数だ。
とはいえこれはどうしようもない。
TSMCによる現在のArF液浸による7nmプロセスは、性能や量産よりも、7nmプロセスの商用化を最優先したモノだからだ。
二つ目は現在の一般向けCPUの需要は、ほとんどがCPUにビデオ機能を内蔵している事が前提だから。
これはIntelの提供する一般向けCPUが、一部の例外を省いて全てGPU内蔵である事が証明しているし、その背景には低コスト化の呪縛が必然であるからだ。
一方でAMDのGPU内蔵CPUであるAPUは、演算性能こそIntelに負けてはいないが、省電力機能という一面において圧倒的に劣っている。
また、すでにIntelが築き上げた、要塞にも等しいパソコン市場でAPUを売る事は非常に困難を伴う。
何か有効な武器があればまだしも、その武器たるAPUはいささか中途半端で、牙城を崩すには少々力不足である事は明白なのである。
実際に市場を見渡すと、今年に入ってRyzen APUを採用したノートパソコンは飛躍的にラインナップが充実している事が確認できるが、占める割合で言うと贔屓目に見ても一割程度。
売れている実数ではもう少しあるかもしれないが、そんなものは誤差でしかない。
さらにデスクトップパソコンでは皆無ともいえる。
旧世代のBulldozer系APUがわずかにあるくらいで、Ryzen APUはほとんどゼロだ。
こうした中望まれるのは、あらゆる面においてIntel製CPUと同等以上のメリットをもたらすAPUだ。
具体的には性能は今以上で、消費電力がIntelと同等以上に少なく、パソコンメーカーが欲しいと思う数を欲しいと思う期日に納品出来る生産規模を持つモノ。
それには7nmプロセスでの製造が欠かせないが、それが絶望的なのだ。
記事にもある通り、来年発表されるAPU“Renoir"は、Zen2の生産が終わったお下がりの生産ラインで製造される可能性が高い。
すると、モノも数も現在のMatisseと同じである事になる。
ならば、AMDのAPUが、大手メーカー製パソコンに大量に採用される事は考えられない。
採用されるとすれば、12LPで製造される旧世代の方が可能性が高いくらいだ。
そんなワケで。
AMDの戦いは、今後も厳しさを増すばかりになる事は確実だと思う。
https://ascii.jp/elem/000/001/973/1973312/
今日、上記リンク先の記事を読んで思った。
AMDのシェア拡大は、事実上行き詰っていると。
理由は単純に言えば二つ。
一つはTSMCの7nmプロセスが「ダメ」という事。
何がダメかと言うと、それは性能と生産数だ。
とはいえこれはどうしようもない。
TSMCによる現在のArF液浸による7nmプロセスは、性能や量産よりも、7nmプロセスの商用化を最優先したモノだからだ。
二つ目は現在の一般向けCPUの需要は、ほとんどがCPUにビデオ機能を内蔵している事が前提だから。
これはIntelの提供する一般向けCPUが、一部の例外を省いて全てGPU内蔵である事が証明しているし、その背景には低コスト化の呪縛が必然であるからだ。
一方でAMDのGPU内蔵CPUであるAPUは、演算性能こそIntelに負けてはいないが、省電力機能という一面において圧倒的に劣っている。
また、すでにIntelが築き上げた、要塞にも等しいパソコン市場でAPUを売る事は非常に困難を伴う。
何か有効な武器があればまだしも、その武器たるAPUはいささか中途半端で、牙城を崩すには少々力不足である事は明白なのである。
実際に市場を見渡すと、今年に入ってRyzen APUを採用したノートパソコンは飛躍的にラインナップが充実している事が確認できるが、占める割合で言うと贔屓目に見ても一割程度。
売れている実数ではもう少しあるかもしれないが、そんなものは誤差でしかない。
さらにデスクトップパソコンでは皆無ともいえる。
旧世代のBulldozer系APUがわずかにあるくらいで、Ryzen APUはほとんどゼロだ。
こうした中望まれるのは、あらゆる面においてIntel製CPUと同等以上のメリットをもたらすAPUだ。
具体的には性能は今以上で、消費電力がIntelと同等以上に少なく、パソコンメーカーが欲しいと思う数を欲しいと思う期日に納品出来る生産規模を持つモノ。
それには7nmプロセスでの製造が欠かせないが、それが絶望的なのだ。
記事にもある通り、来年発表されるAPU“Renoir"は、Zen2の生産が終わったお下がりの生産ラインで製造される可能性が高い。
すると、モノも数も現在のMatisseと同じである事になる。
ならば、AMDのAPUが、大手メーカー製パソコンに大量に採用される事は考えられない。
採用されるとすれば、12LPで製造される旧世代の方が可能性が高いくらいだ。
そんなワケで。
AMDの戦いは、今後も厳しさを増すばかりになる事は確実だと思う。
Zen2なThredripper 3970X [CPU]
昨日はR9 3950XとAthron 3000Gの発表について記事を書いたが、実は同時に新しいZen2のThredripperも発表されている事に、今日気が付いた。
AMD、第3世代Ryzen Threadripperの驚愕的なスペックを公開
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1216991.html
最上位の「3970X」は、32コア/64スレッドでベース3.7Ghz/ターボ4.5Ghzという驚異的なスペックで、お値段はたったの1999ドルだという。
マザーボードとセットで30万円程度で買えるのだろうか?
30万円といえば、私が初めてPC/AT互換機を、部品を買い集めて組み立てた時の予算だ。
当時はローエンドのメーカー製PC(もちろんATXの大きなタワー型だ)が20万円前後、ハイエンドは余裕で30万超えだったが、私は当時のパソコンが標準装備していたCD-ROMドライブではなく、どうしても“CD-Rドライブ”が欲しかった。
その頃CD-Rドライブは一般PC向けに市販されてからまだ2~3年と短く非常に高価で、6万~10万といった値段であり、しかもSCSIというインターフェイスを持つ物しか無かった。
結局ストレージはハードディスクとCD-Rドライブ双方をSCSIの物で揃えて、SCSIインターフェイスカードも入れると14万円ほどになったと思う。 (その代わりCPUはローエンドのMMX Pentium 166Mhzだったが。)
CPU以外の構成を考えると市販パソコンでは40万円を超える内容になり、30万程度で済んだ事で非常に安く買えたと喜んだものだ。
その頃の感覚がまだ少しばかり残る身としては、パソコンも随分安くなったものだと。(1式100万超えの時代も記憶にあるが、当時はまだ子供だったからなぁ)
まあ、当時は高価だが特別な道具としての価値があった(特にあの頃はCD-Rを持っている人など周囲には誰も居なかった)が、今では生活必需品であり、単なる耐久消費財に成り下がっている。
だから10万円でも高価だと思う位だ。
こうした時代になり、ハイエンドワークステーションというべき位置付けのRyzen Threadripperを使ったパソコンが、組み立てようと思えば30万程度(CPUは3960Xを想定)で完成してしまうという事が驚きだ。
いや、型落ちのThredripperならもっと安くなるだろうが、それは置いといて。
2~3年前にASCIIか何かで、自腹を切ってIntel製CPU(確か12コアくらい)を2個使った100万円超えのワークステーションを組み立てる記事を見た記憶があるが、記事のために自腹でそんなに高価なパソコンを組み立てたその人は、今回発表されたThredripperを見てどう感じるだろう。
今回発表されたThredripper 3970Xを1個で組み立てても、あれの半値以下で2倍の性能位にはなるのではなかろうか。
コンピュータの世界は日進月歩で陳腐化も激しいとはいえ、恐ろしいものだ。
AMD、第3世代Ryzen Threadripperの驚愕的なスペックを公開
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1216991.html
最上位の「3970X」は、32コア/64スレッドでベース3.7Ghz/ターボ4.5Ghzという驚異的なスペックで、お値段はたったの1999ドルだという。
マザーボードとセットで30万円程度で買えるのだろうか?
30万円といえば、私が初めてPC/AT互換機を、部品を買い集めて組み立てた時の予算だ。
当時はローエンドのメーカー製PC(もちろんATXの大きなタワー型だ)が20万円前後、ハイエンドは余裕で30万超えだったが、私は当時のパソコンが標準装備していたCD-ROMドライブではなく、どうしても“CD-Rドライブ”が欲しかった。
その頃CD-Rドライブは一般PC向けに市販されてからまだ2~3年と短く非常に高価で、6万~10万といった値段であり、しかもSCSIというインターフェイスを持つ物しか無かった。
結局ストレージはハードディスクとCD-Rドライブ双方をSCSIの物で揃えて、SCSIインターフェイスカードも入れると14万円ほどになったと思う。 (その代わりCPUはローエンドのMMX Pentium 166Mhzだったが。)
CPU以外の構成を考えると市販パソコンでは40万円を超える内容になり、30万程度で済んだ事で非常に安く買えたと喜んだものだ。
その頃の感覚がまだ少しばかり残る身としては、パソコンも随分安くなったものだと。(1式100万超えの時代も記憶にあるが、当時はまだ子供だったからなぁ)
まあ、当時は高価だが特別な道具としての価値があった(特にあの頃はCD-Rを持っている人など周囲には誰も居なかった)が、今では生活必需品であり、単なる耐久消費財に成り下がっている。
だから10万円でも高価だと思う位だ。
こうした時代になり、ハイエンドワークステーションというべき位置付けのRyzen Threadripperを使ったパソコンが、組み立てようと思えば30万程度(CPUは3960Xを想定)で完成してしまうという事が驚きだ。
いや、型落ちのThredripperならもっと安くなるだろうが、それは置いといて。
2~3年前にASCIIか何かで、自腹を切ってIntel製CPU(確か12コアくらい)を2個使った100万円超えのワークステーションを組み立てる記事を見た記憶があるが、記事のために自腹でそんなに高価なパソコンを組み立てたその人は、今回発表されたThredripperを見てどう感じるだろう。
今回発表されたThredripper 3970Xを1個で組み立てても、あれの半値以下で2倍の性能位にはなるのではなかろうか。
コンピュータの世界は日進月歩で陳腐化も激しいとはいえ、恐ろしいものだ。
Ryzen 9 3950XとAthlon 3000G [CPU]
AMDより、9月発売の予定が延期されていた「Ryzen 9 3950X」の正式な発売日と、新しいローエンドAPU「Athlon 3000G」が発表された。
Ryzen 9 3950Xそのものについてはもはや語るべき事も無い、8コアのZen2を2個搭載した、史上最強の一般向けCPUだ。
発売日に関しては11月25日と、結局2か月遅れた事になる。
以前からこのブログに書いた通り、TSMCでのZen2生産はかなり厳しいのだろう。
まあ、販売が始まったところで3900X以上のレアアイテムになるに違いない。
それよりも私が注目したいのは「Athlon 3000G」だ。
予告も無く出たように思うのだが、私が知らなかっただけなのだろうか。
気になるのはその中身で、新設計のダイが使われているのかどうか。
私の予想では、Zen+の生産終了で空いたGLOBALFOUNDRIESの12nmラインで製造される、Zen+ベースのAPUではないかと思うのだが。
ただ一方で、従来のAthlon 200GEとまったく同じ設計のダイが、製造プロセスの改良で多少動作周波数の向上が可能になって出てきた、という可能性もある。
いずれにせよローエンドの底上げが可能になったワケで、これは非常に歓迎できる。
コイツが大量にメーカー製PCに採用されて、市販パソコンにおけるAMDのシェアが倍増する事を私は望む。
まあ、まずは自作向けの製品が出てからの話だ。
その内にPC関連情報サイトで検証記事も出る事だろう。
Ryzen 9 3950Xの発売は11月に延期か
https://17inch.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
AMD、49ドルでオーバークロック可能な「Athlon 3000G」
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1216984.html
AMD、16コアの「Ryzen 9 3950X」を25日に発売
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1216974.html
Ryzen 9 3950Xそのものについてはもはや語るべき事も無い、8コアのZen2を2個搭載した、史上最強の一般向けCPUだ。
発売日に関しては11月25日と、結局2か月遅れた事になる。
以前からこのブログに書いた通り、TSMCでのZen2生産はかなり厳しいのだろう。
まあ、販売が始まったところで3900X以上のレアアイテムになるに違いない。
それよりも私が注目したいのは「Athlon 3000G」だ。
予告も無く出たように思うのだが、私が知らなかっただけなのだろうか。
気になるのはその中身で、新設計のダイが使われているのかどうか。
私の予想では、Zen+の生産終了で空いたGLOBALFOUNDRIESの12nmラインで製造される、Zen+ベースのAPUではないかと思うのだが。
ただ一方で、従来のAthlon 200GEとまったく同じ設計のダイが、製造プロセスの改良で多少動作周波数の向上が可能になって出てきた、という可能性もある。
いずれにせよローエンドの底上げが可能になったワケで、これは非常に歓迎できる。
コイツが大量にメーカー製PCに採用されて、市販パソコンにおけるAMDのシェアが倍増する事を私は望む。
まあ、まずは自作向けの製品が出てからの話だ。
その内にPC関連情報サイトで検証記事も出る事だろう。
Ryzen 9 3950Xの発売は11月に延期か
https://17inch.blog.ss-blog.jp/2019-09-23
AMD、49ドルでオーバークロック可能な「Athlon 3000G」
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1216984.html
AMD、16コアの「Ryzen 9 3950X」を25日に発売
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1216974.html
ディスプレイドライバを入れると画面が消える現象に悩む [トラブル]
先日、私が約二年半前に製作した知人のパソコン(CPUはA10-7860K)をWindowz7からWindowz10にアップグレードする作業を行った。
が、アップグレード後にディスプレイドライバをインストールすると画面が消える問題に直面。症状としてはディスプレイを接続している、マザーボードから出ているDVI端子に信号が出力されない、という状態である。
この時点で私には、何故“Windowz標準ドライバ”では正常に出力されるのに、AMDのドライバではダメなのか理解出来なかった。
件のPC。ケースはSST-ML05B、導風板でエアフローを制御、吸気口は全てエアフィルターを装備。
その後あれこれ試しながら考えている内に、過去に似た経験をした事を思い出した。
詳細は忘れたが、その時はたしかDVIでの接続を諦めてアナログで接続したと思う。
ディスプレイにはDVIとアナログの入力端子はあるが、HDMIは無い。そしてパソコン側はDVI以外にHDMIとアナログの出力端子がある。
そこで、これまでDVIに接続していたディスプレイケーブルを手元にあったHDMI-DVIコネクタケーブルに交換してHDMIに接続してみた。
すると問題無くディスプレイにデスクトップ画面が表示された。
どうやらAMDのドライバを入れると、ディスプレイの出力先がDVIからHDMIへと強制的に切り替わっていたようだ。
ディスプレイが物理的に接続されている端子を無視して、接続が無い端子に信号の出力先を強制変更(しかもケーブルの差しなおし程度では直らない)など普通に考えたらあり得ない現象だ。
だがまあ、消極的な方法とはいえ問題が解決してよかった。