少なくとも今、8コアを超えるRyzenはありえない [CPU]
いつの頃からかだろうか?
海外のサイトを中心に、8コアを超えるZen2コアを載せたRyzenという、普通に考えてありえないモデルのデマがリーク情報としてネット上に流れ続けている。
“Matisse”と呼ばれている第三世代Ryzenは、CPUコア単体のチップにIOとキャッシュメモリで構成されたチップの二つをパッケージされたものだが、8コアを超えるコアを載せるにはCPUのチップを二つ載せなければならない。
リーク情報として出回っている、Matisseのラインナップ。フェイクなので騙されないように。
以前AMDから公表されたMatisseは、少しばかり変則的な位置にCPUチップが載せられていた関係で空いた場所にGPUが載るという噂も出たが、それは公式に否定されている。
だがCPUチップが載ることは否定されていないため、可能性はゼロではないかもしれない。
しかしAMDと、TSMCの7nmプロセスの現状を考えると、そのようなCPUはありえない。
根拠の一つは価格。
CPUチップ二個搭載で500ドル以下は無理があると思う。
ただでさえ原価の高いArFの7nmである。そのうえいくらダイ面積が小さい(約80m㎡)といっても高い動作周波数で回るチップを採るには条件が悪すぎるから、ハイエンド品に回せる数は限られる。
そうなると当然、原価は高くなる。だからありえない。
二つ目は単純に数が足りないという理由。
TSMCがAMDに回せる製造キャパシティはそれほど高くはない。さらにRomeには8個もダイを持っていかれるので、とにかく数が必要なRyzenに無駄に二個もチップを載せる余裕など無いはず。
三つ目はAMDが一般向けのRyzenよりもサーバー向けのEPYCを優先する方針を掲げているにも関わらず、Zen2コアのRomeを用いたEPYCの出荷が遅れている事。
当初Zen2のEPYCは、今年に入ってすぐ出るはずだった。だがいまだに出ておらず、最近発表されたAMDのロードマップでは2019年第3四半期に延期されている。
これは二つ目の「数が足りない」という理由の背景に当たる根拠で、EPYCのカタログスペックを満足出来るダイが思うように採れない事が想像できる。
一方Ryzenの場合は数が多く出るとはいえ需要はIntel製CPUと比べてそれほど多くも無い。少なくともEPYCと比べチップは1/8の数で一個のCPUが製造出来るし、TDPの制約がEPICよりもゆるいために多少素性の悪いチップでも間に合う。
だからEPYC用に一番良いチップを採ったら残りでRyzenを作れば良いわけで、全体的にあまり良くない出来のArF 7nm製造によるチップであっても、EPYCの出荷は遅れるが、Ryzenの出荷は予定通りイケる、という事になる。
ただし全体的に出来が悪いから、とても12~16コアのRyzenなど作る余裕など無いはずだ。
そして逆にArFな7nmの出来が良いのならば、EPYCは今頃すでに出荷が始まっている。
という事で、7月頃出荷予定のRyzen(Matisse)は、ハイエンドが8コアの3700X若しくは3800X。以下、現在の2000系Ryzenと同等のラインナップになるというのが私の予想だ。
そして最大5Ghz程度まで回すとすれば、すでに公表されている通り最大消費電力は約134WでTDPは100W以上、という事になるはず。ハイエンド以外の下位モデルは最大4Ghz程度までであれば65W前後のTDPに抑えられるだろう。
こうした数字を見ても、Zen2は7nmプロセスを使った割りにそんなに良いCPUではない。
もちろん現行のRyzenと比べれば格段に性能は向上するが、本来の7nmらしい性能になるにはEUVを使ったZen3を待つ必要があるだろう。
だがZen3が来たとしてもなお、16コアというのは少し考えにくいように思う。
来るとすればやはりThredripperとして出るのではないだろうか。
海外のサイトを中心に、8コアを超えるZen2コアを載せたRyzenという、普通に考えてありえないモデルのデマがリーク情報としてネット上に流れ続けている。
“Matisse”と呼ばれている第三世代Ryzenは、CPUコア単体のチップにIOとキャッシュメモリで構成されたチップの二つをパッケージされたものだが、8コアを超えるコアを載せるにはCPUのチップを二つ載せなければならない。
モデル | Core/Thread | Base/Boost | TDP | 価格 |
Ryzen 9 3850X | 16/32 | 4.3/5.1GHz | 135W | $499 |
Ryzen 9 3800X | 16/32 | 3.9/4.7GHz | 125W | $449 |
Ryzen 7 3700X | 12/24 | 4.2/5.0GHz | 105W | $329 |
Ryzen 7 3700 | 12/24 | 3.8/4.6GHz | 95W | $299 |
Ryzen 5 3600X | 8/16 | 4.0/4.8GHz | 95W | $229 |
Ryzen 5 3600 | 8/16 | 3.6/4.4GHz | 65W | $178 |
Ryzen 3 3300X | 6/12 | 3.5/4.3GHz | 65W | $129 |
Ryzen 3 3300 | 6/12 | 3.2/4.0GHz | 50W | $99 |
リーク情報として出回っている、Matisseのラインナップ。フェイクなので騙されないように。
以前AMDから公表されたMatisseは、少しばかり変則的な位置にCPUチップが載せられていた関係で空いた場所にGPUが載るという噂も出たが、それは公式に否定されている。
だがCPUチップが載ることは否定されていないため、可能性はゼロではないかもしれない。
しかしAMDと、TSMCの7nmプロセスの現状を考えると、そのようなCPUはありえない。
根拠の一つは価格。
CPUチップ二個搭載で500ドル以下は無理があると思う。
ただでさえ原価の高いArFの7nmである。そのうえいくらダイ面積が小さい(約80m㎡)といっても高い動作周波数で回るチップを採るには条件が悪すぎるから、ハイエンド品に回せる数は限られる。
そうなると当然、原価は高くなる。だからありえない。
二つ目は単純に数が足りないという理由。
TSMCがAMDに回せる製造キャパシティはそれほど高くはない。さらにRomeには8個もダイを持っていかれるので、とにかく数が必要なRyzenに無駄に二個もチップを載せる余裕など無いはず。
三つ目はAMDが一般向けのRyzenよりもサーバー向けのEPYCを優先する方針を掲げているにも関わらず、Zen2コアのRomeを用いたEPYCの出荷が遅れている事。
当初Zen2のEPYCは、今年に入ってすぐ出るはずだった。だがいまだに出ておらず、最近発表されたAMDのロードマップでは2019年第3四半期に延期されている。
これは二つ目の「数が足りない」という理由の背景に当たる根拠で、EPYCのカタログスペックを満足出来るダイが思うように採れない事が想像できる。
一方Ryzenの場合は数が多く出るとはいえ需要はIntel製CPUと比べてそれほど多くも無い。少なくともEPYCと比べチップは1/8の数で一個のCPUが製造出来るし、TDPの制約がEPICよりもゆるいために多少素性の悪いチップでも間に合う。
だからEPYC用に一番良いチップを採ったら残りでRyzenを作れば良いわけで、全体的にあまり良くない出来のArF 7nm製造によるチップであっても、EPYCの出荷は遅れるが、Ryzenの出荷は予定通りイケる、という事になる。
ただし全体的に出来が悪いから、とても12~16コアのRyzenなど作る余裕など無いはずだ。
そして逆にArFな7nmの出来が良いのならば、EPYCは今頃すでに出荷が始まっている。
という事で、7月頃出荷予定のRyzen(Matisse)は、ハイエンドが8コアの3700X若しくは3800X。以下、現在の2000系Ryzenと同等のラインナップになるというのが私の予想だ。
そして最大5Ghz程度まで回すとすれば、すでに公表されている通り最大消費電力は約134WでTDPは100W以上、という事になるはず。ハイエンド以外の下位モデルは最大4Ghz程度までであれば65W前後のTDPに抑えられるだろう。
こうした数字を見ても、Zen2は7nmプロセスを使った割りにそんなに良いCPUではない。
もちろん現行のRyzenと比べれば格段に性能は向上するが、本来の7nmらしい性能になるにはEUVを使ったZen3を待つ必要があるだろう。
だがZen3が来たとしてもなお、16コアというのは少し考えにくいように思う。
来るとすればやはりThredripperとして出るのではないだろうか。