SSブログ

ハンコで作る、東芝のNAND [ハードウェア]

かなり古い情報であるが、東芝のNANDは今年までに「ナノインプリント」と呼ばれる技術での製造を予定している。

東芝メモリら4社連合、ナノインプリントでNANDを19年にも量産へ
https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/mag/15/320925/040600148/

キヤノン、ナノインプリント半導体装置を「東芝メモリ」に納入
https://newswitch.jp/p/9767

上記二つの記事は、今から約二年前のものだ。

ナノインプリントとは、一言で言えば“ハンコ”で回路のパターンを形成する技術。
一般的な半導体製造プロセスでは、通常“マスク”とよばれる回路パターンを刻んだ遮光版で光を遮って、回路として残したい部分だけレジストと呼ばれる樹脂を硬化させる。

このため精密かつ複雑な光と伝える経路、具体的には鏡とレンズの組み合わせが必要で、これに加えて光の干渉まで利用して作られるマスクと共に非常に高価な装置が半導体製造コストを上昇させる大きな要因となっている。

一方でナノインプリントは、回路のパターンを刻んだハンコ(これもマスクと呼ばれている)を使ってレジストに直接回路パターンを転写した後にレジストを硬化させる。
ナノメートルクラスの精密な回路をハンコにする事が難しい事と、レジストの転写に欠陥が出やすいという問題をクリアさえすれば、一般的なリソグラフィ装置ほど複雑な機械は不要であり、工程も簡略化出来る為に半導体製造コストを飛躍的に低減可能という事らしい。

また、ナノインプリントはハンコの形を直接転写するため、レンズやマスクという光学部品を経由した光で回路を転写する方法と比べて形成された回路の正確さは前者の方がかなり高い。
光で転写すると、どうしてもフォーカスの甘いところが出来て精密な転写が難しくなるからだ。


そんなこともあって、東芝が導入する“ナノインプリント”という技術には期待してしまう。

今よりも安く、高品質なNANDを製造出来れば、SSD等のNAND Flashを用いた製品がより大容量のモノを安価に流通させる事が出来るからだ。


今年、2019年から製造に使われる(かもしれない)という話は二年前のもの。

今はもう2019年の5月である。

実際はどうなっているのだろうか。

ナノインプリントという技術は過去に半導体の量産に採用された実績が無いようなので、その辺りも不安材料である。


半導体業界の話題(第8回) (ナノインプリントの詳しくて理解しやすい説明が記事になっている)
http://www.busicompost.com/report.html?rno=20180928090527&rcd=0


EUVは微細化の救世主となるか?
https://ascii.jp/elem/000/000/892/892582/


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:パソコン・インターネット