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第二世代Threadripperは超ド級CPU [CPU]

「超ド級」という日本語がある。

その昔、イギリスで「ドレッドノート」という戦艦が建造された時、これまでの常識を破る圧倒的な力に世界が震撼した。

その後の軍事力拡大競争で世界各国は「ドレッドノート」に順ずる性能を持つ戦艦を建造し、日本ではこれを「ド級」と称したのだが、さらにその後建造された新型戦艦で「ドレッドノート」を超える戦艦の事を「超ド級」と称し、これが「他を圧倒するもの」という意味で現代まで使われるようになったとさ。(今では単にすごいという意味くらいで濫用されているが)

というわけで、これまでIntelのCore i9が一般向けパソコン用CPUでは最も性能が良かった。これを「ドレッドノート」とするならば、或いは第一世代のThreadripperでもいい。これらを超えた存在が、今回AMDより正式に発表された超ド級CPU「第二世代Threadripper」である。


「第二世代Threadripper」の超ド級なところは以下の通り。


・コア数が最大32コアもある(これまで一般向けパソコン用CPUではCore i9の18コアが最大)
・TDPが250Wもある(私が知る限りFX-9590の220Wが最大、ちなみにCore i9は最大165W)
・CINEBENCHのスコアがライバル(Core i9-7980XE)の1.5倍もある


まあ要はEPYCの劣化版(メモリチャンネルとPCIe本数が減っている)なのだが、動作クロックはTDP250Wという代償と引き換えにベースクロック3Ghz、ブーストで4.2Ghz(2990WXの場合)と頑張ったおかげで、計算能力だけは素直に賞賛すべきレベルにある。


とはいえ、第二世代Threadripperが世界一の座に居られるのはそれほど長くはないかもしれない。

どうせすぐIntelに追い越されるだろうから。


しかし性能はともかく、TDP250Wである。TDPという事は、全コアを4.1Ghzで回せばそれをはるかに上回る消費電力なので、少なくとも300W超えは確実である。
そんなのどうやって冷やすのかと。

CPUクーラーの性能が良くてもエアフローが悪かったらダメだし、熱をケース外に効率よく出せたとしても屋内の温度が高ければサーマルスロットリングでクロックダウンするかもしれない。

そしてクロックダウンを避けるには、夏場はエアコンの無い部屋では絶対に使ってはいけない。部品の寿命を気にするなら設定温度は28℃ではなく、最低でも25℃以下。安物のエアコンはあまり冷えないから、その場合は設定温度をさらに下げる必要があるかもしれない。

さもなくばケースのフタを開放して、扇風機でケース内を強制空冷するか。

性能だけでなく熱対策に必要な労力も超ド級である。

尤も、熱問題はCPUの能力を最大限引き出す使い方の時のみの話だが。


なんにせよ、“それ”が必要である理由を持つ人以外にはおススメできない代物だ。



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