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3原色レーザー光源 [ハードウェア]

いきなりだが、全天周囲モニターは非合理的だ。

☆全天周囲モニターとは

初出はテレビアニメ『重戦機エルガイム』(1984年)。ガンダムシリーズでは、『機動戦士Ζガンダム』の頃のMS(第2世代以降のMS)から全天周囲モニターとリニアシートが合わせて導入(以下略)

以上、Wikipediaからの引用。


要するに人間が座るイスを中心に球形の部屋を作り、その内側の壁面全てをモニターとして利用する事であらゆる方向の視界を作り出すわけだ。

ただ、これにはいくつか大きな問題がある。

一つはモニター設置のための大きな空間が必要であるということ。
この大掛かりな装置のおかげで無駄なスペースを取られ、機体が無駄に大きくなったりメンテナンスが煩雑になったり等の問題を生み出す。現実の兵器(主に戦車か戦闘機になるが)を見ればわかるが、人間が納まるスペースは必要最小限しかない。何故なら兵器の小型化は主に重量の問題から絶対条件であり、要求される仕様を満たす範囲で出来るだけ小さく作らなければならないからだ。
また、この装置だけのためにかなりの重量が嵩む事になる。球の内側をモニターとして使うのならば直径は最低でも1.5mは必要なので、その重さは強度を確保するためにも恐らく数百キログラムにはなるだろう。当然重くなれば空間を移動するためのエネルギー消費も大きくなる。
これは地上を移動しようが空を飛ぼうが、或いは宇宙空間を移動しようが、運動エネルギーの増減や方向転換が必要な事をすればエネルギーを消費するので避けられない問題であり、それゆえに兵器の軽量化は非常に重要な問題なのである。

二つ目は無駄な電力を食うという事。
あれだけの大面積で映像を映し出すには、どれだけ先進的な技術があったとしてもモニターの発光素子やコントローラーの駆動に相応の電気が必要だ。となれば電気を使っただけ発熱もあるわけで、そうなると空調にまで無駄な電力が必要になる。
ガンダムは宇宙空間でも活動するが、宇宙空間は熱を伝えるための媒介となるものがほとんどない。地球の大気圏内ならば空気が熱を奪ってくれるが、宇宙は真空なので赤外線などによる放射熱でしか冷却できないのだ。もちろん冷却材を積み込み気化熱で冷却するという手はあるが、それにしたって冷却材を積むスペースが必要だし重量増加にもつながる。


以上、とりあえず2点だけ挙げてみたが、このような理由から「全天周囲モニター」という装置は非合理的であり、もし箱の中に居ながらにして全周囲の視界を確保しようというのなら、ヘルメットに内臓されたディスプレイを人間の視界全てをカバーするように設置するか、もしくは網膜投影でこれを実現し、頭の移動にともなってモニターの表示をスクロールさせるべきだ。これならば自分の身体すら視界を遮る障害物にならないので、全天周囲モニターよりもはるかに広範囲な視界が得られ、かつ必要なスペースと重量と消費電力の増加は最小限に抑えられ、メンテナンスも簡単だし故障時の交換もヘルメットを換えれば済むし、良い事ずくめである。


前置きが非常に長くなったが、全周囲の視界を確保すると言う、このようなバカバカしいほど無駄な装置を実現し得る半導体部品が日本で開発されている。

LEDより高性能? 高輝度/小型の3原色レーザー光源
http://eetimes.jp/ee/articles/1603/15/news053_2.html


大阪大学と島津製作所によるこの新しいレーザーダイオードは、従来レーザーでは実現が難しかった光の3原色を作り出す事に成功し、その大きさもウェアラブル端末に搭載して利用出来るほど小さい。
そして光の3原色を組み合わせる事で違和感の無い色再現が可能なので、プロジェクターの光源として用いれば極小のプロジェクターが作成可能であり、ヘルメットの中に映像を映し出すとか網膜投影なども十分に可能だと私は予測する。

現実的な製品化を例に挙げれば、小型のモニターと3Dメガネを組み合わせたVRヘッドセットがある。
現在のVRヘッドセットはかなりデカくて重いが、レーザーで映像を作るように出来ればスキーのゴーグルくらいまでの小型化が可能だと思われる。

他には手に乗る大きさで、蛍光灯で照明された部屋の100インチのスクリーンに投影しても十分に明るい超小型プロジェクターや、液晶パネルに代わるコンピュータやテレビの映像投影装置(いわゆるプロジェクションテレビだ)も可能だろう。

レーザー光線がそのまま光の3原色として利用出来るという事は、これだけの可能性がある。
光源としてLEDにやや劣る効率だとしても、モニターパネルに使うのならカラーフィルターや液晶シャッターといった光を減衰させる物が不要な分、同じ明るさであってもLEDより消費電力を減らす事が可能だと思う。


まあ、もっと未来になれば視神経や脳に直接電気信号を送って、目を介さずに映像を見せる事も可能になるかもしれない。そうなれば必要な機材の大きさと重さは限りなくゼロに近付いて、身体に絆創膏みたいに貼り付けるだけ(もしくは手術で身体に内蔵)でOKとか、電力の消費もコイン電池で1年以上持つ(もしくは体温による熱電素子での発電で生きている限り電源の心配が無い)とかくらいのレベルになるだろう。それまでは3原色レーザーを使ったモニターでガマンするしかない。



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