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ヘリウムの入ったハードディスク [ハードウェア]

すでに1週間ほど前のニュースであるが、日立グローバルストレージテクノロジーズ(以下HGST)より発売中の、容量8TBのハードディスクの流通が秋葉原で始まったらしい。

8TBというと、私にとっては使いきれないほどの大容量。
私の所有するパソコンの全てのデータがまるまる収まってしまう。
そういう意味で、バックアップ用にちょっと欲しかったりする。

それにしても8TBである。
私が初めてPC/AT互換機に手を出した時、当時最大容量だった?4.3GBのハードディスクを7万円ほどで買った記憶があるが、当時と同じくらいの値段で容量は約2000倍。あれから20年近く経つが時代は変わったものだ。

私としてはこの大容量を実現するために使われている技術に興味があるので今回のネタにしたのだが、その技術とは「ヘリウムガス封入」というもの。
現在一般消費者向けのハードディスクで最大容量と思われる、3.5inch 6TBのハードディスクが1.2TBプラッタ5枚であるのに対し、同じ厚みのケースでプラッタ枚数がさらに2枚多い7枚である事と関係があるらしい。

私が想像するに、通常の空気が入ったハードディスクの場合、プラッタ枚数を増やしてプラッタ間のスキマを減らした場合、プラッタの回転で起こる乱流が原因でヘッドの高さを規定の高さに維持するのが難しいのだと思う。その点ヘリウムは密度が小さいから、乱流の影響が少ない。わかりやすいように言うと、空気と水で、流れに身体をさらした時の影響を想像してみればいい。空気の流れ=風では相当に強く吹かないとなんてことはないが、水では少しの流れでも強い抵抗を感じるだろう。

そしてプラッタ枚数が増えると空気抵抗が増えてスピンドルモーターの負担が増えるため、消費電力も上がる傾向にあるのだが、ヘリウムガスを充填したハードディスクでは通常のハードディスクと比べると逆に少なくなっている。これもヘリウムガスの密度が低く空気抵抗が少ないためである。さらにヘリウムガスは密度が低い分温度変化にも強い=高温環境での耐性がある。そのうえ、ヘリウムガスは水や酸素を含む空気と違い不活性であるため、ハードディスク内部の部品寿命に良い影響があると思う。

後は通常のハードディスクと違って密閉構造である事で外部環境からの汚染にも強くなるのも重要だ。
我々を取り巻く空気には、工場や家庭で燃料を燃やしたり自動車の排気ガス等に含まれる硫黄酸化物が少なからず混ざっている(銀で出来た食器やアクセサリーが黒く変色するのはこれが原因)。通常のハードディスクは温度変化によって外部の空気を吸い込むため、この時硫黄酸化物(具体的には亜硫酸ガス等)も吸入するから、この所為でハードディスクの寿命が縮まる恐れがあるのだ。また、湿度が高いとハードディスク内の空気中の水蒸気が増えて稼動部の油分を劣化させる場合もあるし、最悪結露でクラッシュなんて事もあり得る。
そうした事が、ヘリウムガスを充填したハードディスクでは起こらない。

とまあ、こんな具合でさすがエンタープライズ向けの仕様だと思うのだが、これが通常の安いハードディスクでも当たり前になって欲しいと思う今日この頃。

ちなみに先々月発表された10TBのハードディスクも最近出荷が始まったらしい。
TDKは熱アシスト記録を可能にしたヘッドを開発したようで、2.5インチで6~8TBも可能になるらしいし、当分ハードディスク関係は楽しめそうだ。
まあ、SSDが普及したらハードディスクは消えるなんて言う人も居るが、SSDがNAND Flashを使っている限り絶対にあり得ないと思う。

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