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次世代メモリ(DRAM) [ハードウェア]

次世代メモリDDR5、HBM3、LPDDR5、GDDR6の姿が徐々に見えてきた
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/1015892.html


次世代メモリについて、この記事の情報によると現在主流となりつつあるDDR4の後継であるDDR5や、主にグラフィックメモリとして利用されているGDDRやHBMの新しい規格に関する情報が公開されたようだ。


記事によると、長年DRAMの需要を引っ張ってきたデスクトップPCへの需要が減り、代わってモバイルとサーバー用途が増えてきたために、今後のDRAM開発は省電力とチップ当りの容量に重点を置くという事だ。

振り返れば過去のデスクトップPC用メモリは様々な制約の上で速度と容量が優先(もちろん最優先はコストダウンだが)され、電源や冷却に関して許容範囲の大きいデスクトップPCゆえに消費電力に関しては長年それほど問題にされてこなかった。しかしDDR2に省電力規格が制定されると、その後もモバイルデバイスの普及が進むに従いモバイル向けの省電力タイプのチップへの需要は増え、DRAMの省電力に対する要求は年々厳しくなっている。

容量に関してはもう一般の消費者向けに関して飽和している。32bit OSは4GBの制限があるし、64bitに移行したところでほとんどの場合で4GBもあれば不足は無いからだ。
しかしサーバー向けは扱うデータの量が肥大化を続けているため、メインメモリが1テラバイトでも足りないくらいで、そのためにNAND FlashをDIMMに実装した容量最優先のメインメモリまで出始めている。
DDR4ではサーバー用でモジュール1枚64GBが最大容量と思われるが、DDR5でこの2倍になったとしてもまだ足りないと言われるだろう。※これはサーバーの種類にもよります。


今回発表されたDDR5やHBM3、GDDR6などといった新しいDRAMの規格は、規格は出来上がってもモノが出回るのはずいぶん先になるようだ。

現実にDDR4は2012年に規格が出来てから2年経ってようやくサーバー向けに出回るようになり、パソコン用はそのさらに1年後だ。モバイルに至ってはLPDDR3の普及が数年前からやっと始ったばかりで、最新のLPDDR4を採用する製品は現在極少数に限られている。DDR5も同様に普及の足が遅くなる事は確実で、記事には“本格的に立ち上がるのは2020年頃”と書かれているが、実際にはさらに1~2年はずれ込むと思う。
もちろん、業界の事情で2020年から一気に切り替わる可能性を捨てる事は出来ないが。

一方でグラフィック向けのGDDRとHBMも、先行きは霞がかかった状態。
今年から普及が進むと(私が勝手に)思っていたHBMは今年5月末に出た最新のビデオカードで採用されず、現在HBMを使用しているのは昨年発売されたAMD製ハイエンド品の一部のみ(ただしNVIDIA製のHPC向け製品“Tesla P100”がHBM2を採用)。理由はまだ新しい技術(TSV)を使った製品であるため、思うように製造の歩留まりが上がらないためだ。
HBMを出荷している企業は現在韓国のSK Hynixただ1社のみであるが、他国の企業からすれば反則的条件によって製造コストが安い韓国企業だからこその力技(歩留まりが悪ければその分大量に生産すればいい)によってこそ成せる製品出荷なのだろう。
記事ではHBM3の話が出ているが、HBM2ですらまだ満足な量が製品として出せていないのに、3年後の2019~2020年にHBM3が出せるものだろうか?
私は無理だと思う。

そして低価格HBMの規格も話に上がっているが、こちらはデスクトップPC用のデバイスには載らないだろう。
見た感じSoC向けの実装に見えるので、組込み機器やスマートフォン用かもしれない。そもそもこんな中途半端な規格では、性能を優先する用途には不向きだし、低価格帯向けならばもっと安い構成でも目的が果たせる。GDDR5なども技術として枯れてきて安く生産できるため、今までDDR3が採用されてきた価格帯のビデオカードにも搭載され始めているので尚更だ。
ただし、数年後に技術として枯れてきた場合には応用範囲が広がり、デスクトップPC向けがその応用範囲に入る可能性はあると思う。

GDDR6については、HBMが出た以上必要なのか?という疑問符が付く。
しかしHBMより安いグラフィックメモリーとして、HBMが価格的に採用しがたい製品向けにGDDR5の後継として採用されるのか。私としてはもうGDDR5のままでいいと思うが。
背景にはどのような事情があるのだろう。記事には大人の事情がちょっぴり書かれているが、まあそういうもんだと思うしかない。一消費者としては安くて性能が高ければ問題ないので、いざ製品を出すという段階でゴタゴタが起きて出荷時期の遅延や製品価格高騰などということが起きないようにして欲しいものだ。



最後に。

こうした数々の次世代メモリは、データの転送速度向上に伴って色々と厳しい条件が課されるのが常だ。
一般の消費者にはまったくもって関わりの無い話だが、その制約は消費者が実際に手にする製品の中に入っている。要はデータの転送に電気信号を使っている以上、メモリーチップから配線を伝わって必要な場所に信号が送られるので、その信号が正常に伝わるかどうかと言う条件が高性能化に伴ってどんどん厳しくなっていく。

多くの場合配線の面積を減らす事、そして長さを短くする事が最良の解決方法だと思う。
しかしデスクトップPCの場合、それももうこれまでのDIMMを使っていては限界なのではないかと、素人考えではあるがそう思ってしまう。

ATXから始った現在の各種フォームファクタは、ATXの登場からすでに20年。この間多少の変化はあれど、メインメモリがCPU脇のカードエッジコネクタで接続されるという形式にまったく変化が無い。

デスクトップPCのフォームファクタには何か抜本的な改革が起きて欲しいと思う。



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