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Global Foundriesが22nm FD-SOIプロセスの生産をすると発表 [ハードウェア]

去る7月13日、Global Foundries(以降GF)が「FD-SOI」を採用する新しいプロセス「22FDXプラットフォーム」による半導体の生産を2016年より開始すると発表した。

発表されたプロセスは以下の通り。


22FD-ulp 超低消費電力(0.9V駆動の28nmバルクプロセスより70%省電力)

22FD-uhp 22FD-ulpの高性能版

22FD-ull リーク電流を極限まで抑えたウェアラブル端末向け

22FD-rfa 高周波アナログ回路を必要とする製品向け



これらのプロセスは22nmであり、GFが来年にも製品を出荷する14nmよりも配線幅が大きい。
私はGFが20nmを事実上キャンセルしたのに何故ここで22nmなのか、という疑問を持った。が、記事の中に「FD-SOI」という単語が出ていて、これについて調べる事で疑問が解けた。


FD-SOIと聞いて私が思い浮かべるのは、AMDが長年CPUの製造において採用する「SOI(Silicon On Insulator)」である。これは元々IBMが開発したもので、技術提携をしていた関係でAMDも採用した技術。
メリットはSOIを使わない「バルクプロセス」よりもトランジスタの性能が高い事。もう少し具体的に言うと、同じ消費電力ならばより高い周波数で動作する。
対してデメリットは材料になるシリコンウエハの価格がハネ上がる事だ。(バルクに対してFD-SOIの場合数倍、現在採用されるSOIの場合で数十%)

ここで「では従来のSOIと、今回出てきたFD-SOIはどう違うのか」という疑問が湧く。
その説明はこの記事が詳しい。


半導体プロセスまるわかり インテルが使おうとしないSOI
http://ascii.jp/elem/000/000/886/886425/


簡単に言うと、従来のSOIは※「不完全SOI」と言えるもので、FD-SOIは※※「完全なSOI」という事になる。
※PD-SOI(Partially Depleted SOI:部分空乏型SOI)
※※FD-SOI(Fully Depleted SOI:完全空乏型SOI)

FD-SOI.png

SOIはそもそもトランジスタの動作の妨げになる現象を軽減するために、シリコン基板とその上に構成されるトランジスタを分離するところがキモであった。しかしコスト的な理由によって不完全なSOIが先に採用される事になっているのが現在AMDである。(現在はFXシリーズとAシリーズAPUがSOIを採用する。)


GFのFD-SOIに関しては28nmと20nmで製造する計画というニュースが2012年に存在するが、今回の22nm FD-SOIプロセスに関するニュースが当時の計画が失敗に終わった事を物語っている。そして来年にも3Dトランジスタ(以降Fin-FET)を採用した14nmプロセスの製品出荷が決まっているにも関わらず今回このような製品を出すという事は、高コストなFin-FETを採用する最先端プロセスよりも22nm FD-SOIの方が安く製品を製造できる事が理由であるようだ。
だから、14nmの後に22nmが出てきたという事。納得だ。

なお、このFD-SOIという技術そのものはFin-FETと組み合わせる事でより一層メリットを引き出せるという事である。なので、今後14nmのFD-SOIを利用したFin-FETの製品が製造される可能性がある。
ただしそうなるには14nm Fin-FETのコストが下がらないと難しいかもしれない。また、14nmの次の微細化プロセスである10nmがどのようになるかも関係して来るだろう。10nmがあまりにも難産になる場合には先に14nmのFD-SOIが出てくる事になる可能性もある。

なんにせよ、半導体の製造プロセスによるCPUの高性能化にはまだ余地があるという事だ。


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