SSブログ

“Mantle”の意義 [ソフトウェア]

最新のゲームグラフィック事情のニュースでは、現在AMDの“Mantle”の話題でもちきりだ。
MantleとはMicro$oftが提供するDirect3DというAPIに代わる新たなAPIだ。あえて誇大表現をするのなら、「3Dゲームのグラフィックパフォーマンスが劇的に上がる」のがMantleである。

かつてゲーム用3DグラフィックAPIといえば今は亡き3dfxの“Glide”が存在したが、3dfx自身の問題で自滅後は3Dゲームはほぼ全てDirect3Dで動いていた。
が、これはこれで問題があり、要はハードの性能を無造作にしか使う事が出来ないので、ピーク性能は出てもピークとボトムの変動が激しく、ゲーム中に肝心の場面で動きが「ガクガク」になるという事も有り得た。これを防ぐにはボトムのフレームレートを上げるしかなく、結果より高性能なハードウェア(=電気を食う)を必要とする環境に優しくないものだった。

その点Mantleを使うと、どんな場面でもハードウェアの持つ性能を100%引き出す事で極端なフレームレートの低下を防ぐ事が出来る。その結果「体感のフレームレート」が上がるというわけだ。
実際の所、条件によってはピークのフレームレートはDirect3DもMantleもまったく変わらない。そういう意味ではMantleを使っても性能が上がるわけではない。問題なのは「ある処理においてハードウェアの性能を使いきれない」状況がDirectr3Dだと起きる、というわけで、その点を改善し得るのが“Mantle”というわけだ。

統計で見ると数字でしか表現できないので“Mantle”の意義を理解するのは難しい。だが、実際にゲームをすると、フレームレートの向上以上にゲームの動きが全体的になめらかになったと感じるようになるだろう。Direct3Dだとなんとなく動きがぎこちなかったゲームの動きがぬるぬる動くようになった。そういう効果が“Mantle”によってもたらされる。

そういえばかつてある3Dゲームをプレイした時、Radeon7500ではガクガクだったのがSiS315だとぬるぬるだった事がある。ベンチだと性能的にはるかに劣るSiS315で、実際にフレームレートは低かったが、フレームレートの最高と最低の変化量が少なかったためにSiS315の方がなめらかに動いているように感じたわけだ。
“Mantle”を使えば、そのような経験が出来るという事なのだろう。

ただ、問題があるとすればゲーム側の対応状況だ。
現在の3Dゲームはその多くが「~エンジン」という3Dの画像を生成する専門のプログラムを流用してゲーム製作がなされている。AMDはその~エンジンを作っている会社に働きかけて“Mantle”を普及させるつもりで、しかも一定の成果が出た後はそれを公開するという。理論上はIntelでもNVIDIAでも“Mantle”を使えるというので、~エンジンを使ったゲームで成功すればAMD以外のチップでも“Mantle”が利用できるようになる。
しかし~エンジンを使えない、売り上げ本数の少ない=開発予算の少ないゲームは自力で“Mantle”に対応させなければならないので、その場合はゲーム製作者が新たに“Mantle”を学ばねばならず、普及の妨げになる可能性があるだろう。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:パソコン・インターネット

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0