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スナップオン [工具・ねじ]

Snap-On。

それは知る人ぞ知る、工具の代名詞。

辞書で調べると、Snap とは「ぴったりはまる」というニュアンスで、Onとは「まさにそれ」、つまり「どんなボルトの頭にもぴったりはまる工具」という意味の名前なのだと私は思う。

とはいえ、Snap-On は今でこそ老舗ではあるが工具メーカーとしては後発であり、また現在に至るまで特段優れている工具を世に出しているワケではない。

まァ、フランクドライブの発明は“特段優れている”と言えるが・・・他がなァ・・・

したがってSnap-Onの工具が世界で売れ続ける理由は工具の品質というよりも、ラインナップの豊富さとサービス体制の充実・・・“Tools as a service”というのが私の理解だ。

これはスパナなど一部の工具は永久保証、つまり壊れたら無料交換という事からもそれがわかる。

ちなみに私は買ったばかりの“HEXビットソケット”でボルトの六角穴をナメてしまい、もう二度とSnap-Onなど買うまいと決めた。

その件でバンのオーナーに苦情を言ったら「ナメたHEXビットソケットは無料で交換しますよ」と言われて非常に腹が立ったものだ。(なお、そのナメた六角穴付きボルトはハゼットのHEXビットソケットを使ったら簡単に外す事が出来たため、それ以降はハゼット信者になってしまった。※さらに付け加えると、KTCのHEXビットソケットを使った場合はナメなかったが、ハンドルがグルリと回ってボルトが緩んだ!と思ったら六角の軸が1/2回転ほどねじれてしまっただけだった)


日本のバブル絶頂期はSnap-Onが日本国内での知名度を急速に上げていった時代でもあった。

そんな時代に私はなけなしの現金を握って、当時住んでいた街の自動車ディーラーに、無謀にもSnap-Onの工具を買いに行った。

今から三十数年前、当時の私はあらゆる意味で無知な若者だった。

したがって、それまでの短い人生で得た知見と感性のみで世渡りせざるを得ず、今に思えば恥をまき散らしながら生きていた。

そんな時代に出会った「Snap-On」というメーカーの工具を買うため、どこで買えるのかも知らずにいた私は、店の中にSnap-Onの工具を展示していた自動車ディーラーの店内に入り、店内に居た店員と思われる男に「こんにちは、Snap-Onの工具を買いたいのですが」と話しかけた。

そのディーラーの店員(おそらく店主)は、まだ若かった私を見て意を察してくれたのか。

何も知らない私のために、何も言わずSnap-Onのバンを呼んでくれた。

当時Snap-Onの工具は、フランチャイズ契約した工具商の店舗である、バン(クルマの事)でしか買う事が出来なかった。

私が工具を買おうとした自動車ディーラーは、ショールームにSnap-Onの工具を展示していただけで販売していたわけではなかったのだ。

今思えば、あのような場所で工具が買えるはずもない。

そのディーラーはフェラーリやポルシェを主とする“外車”を扱っている自動車商だったのだから。

蛇足だが、そんな外車に交じってケンメリのスカイラインGT-Rが置いてあったのが強く印象に残っている。

しかもフェラーリやポルシェに囲まれた、ショールームの中心で!


ともかく、そのディーラーの店主には感謝しかない。

Snap-Onのバンを電話で呼んでもらったうえに、待っている間コーヒーまで御馳走になったのだから。

その時、呼んでもらったSnap-Onのバンで買った工具は4つ。

ショートサイズのコンビネーションレンチで、サイズは8mm、10mm、12mm、14mm。

この4点で合計2万円を超えていた。(うろ覚えだが2万4千円くらいだったか?)

ちなみにその自動車ディーラーは、2022年現在、確認出来ない。(10年ほど前はHPもあったが)

恩のある店だったので、いま一度訪れてみたかったのだが残念だ。


それからは工具の重要さを意識しはじめ、スイスPB製の六角レンチなど、高価な外国の工具メーカー製の工具を次々と買っていき、様々な人との出会いで整備に関する知識とその重要性、またそれらに関する意識を学んだ。

またSnap-Onのコンビネーションスパナを買った2年後、プロの整備士になるとはその時は思っていなかった。(それ以前に自動車の開発から底辺の整備士になるとか普通あり得ないかもしれない)
※底辺の整備士とは、資格も経験も無い若者が自動車整備の世界に入っても底辺でしかない、という意味

そういうい意味で、私にとってあの時買ったSnap-Onの4本のコンビネーションレンチが原点であると思っている。

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