HDDとSSDどちらが故障しにくいか? [SSD]
HDDとSSDどちらが故障しにくいか?
この質問に対する答えは、一般にSSDの方が故障しにくいという事になっている。
その根拠は機械的な動作がなく、かつては半永久的に壊れないと言われた電子部品のみで構成されているからだ。
しかし、その話はSSDを売りたい者達の都合によって歪められている。
SSDは使い方次第でHDDよりもはるかに故障しやすいし、SSDの電源回路やコントローラにつかわれている電子部品も短期間で故障する場合がある事が、事実として存在するからだ。
一方でHDDは、近年信頼性の向上が著しく、使用期間 3~4年の故障率が大幅に減っているらしい。
最新のHDD、故障しやすいのか?
https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2111/04/news125.html
実際の所HDDにしろSSDにしろ、故障率は製品によって違うし、個体差も大きい。
また使用環境による差が著しく大きい事も、私自身の経験とHDDやSSDメーカー及び実際に運用している会社が発表している情報からも確認出来る。
なので、一概にどちらの方が故障しにくいとは言えない、というのが「HDDとSSDどちらが故障しにくいか?」という問いに対する本当の答えだ。
ちなみに、HDDとSSDに共通する「故障を誘発しやすい条件」というものがある。
その筆頭は「温度」。
温度が高いほど短期間で壊れる事は、HDDとSSDに共通する事実だ。
また、もう一つ「アクセスの頻度」というものがある。
これはHDDとSSDでは意味が違うが、HDDは複数のタスクを大量に処理しなければいけない場合、ヘッドの動きが激しくなって不良セクタの発生を誘発しやすくなる事が、私の経験として存在する。
この問題、単にヘッドが激しく動くのではなく「複数の読み書き要求が大量に」というところが要点で、例えばrobocopyでHDDまるごとバックアップという場合にはこれに該当しない。
該当するのは複数のアプリケーションから同時にアクセス要求が来ているとか、複数のアプリケーションをほとんど同時に起動させたりという行為である。
またバックグラウンドでWindows updateやなんらかのアプリケーションがアップデートをしている最中に他の操作をするというような場合も該当する。
一方SSDの場合はこうしたHDDが故障しやすい操作に対しては非常に強い。
機械的な動作がなく、ランダムな読み書き速度が非常に速いためだ。
だが、データの大量書き込みに対しては非常に脆弱という弱点を持つ。
理由の一つは発熱だ。
SSDは高性能の代償として長時間連続したアクセスによる消費電力の増大というものがあり、消費電力の増大はSSDコントローラの温度上昇の要因となる。
SSDコントローラは一般に汎用CPUを使った一台のコンピュータであるので、温度上昇によってエラーが出たり、コントローラそのものが壊れる場合もある。
一般的にはそれを防ぐために「サーマルスロットリング」という、一定温度を超えた場合処理速度を落としてコントローラの温度を下げる仕組みが働くが、特に読み書き速度が速い高級機種の場合、速度を出来るだけ犠牲にしないように温度の閾値が高く設定されている。
この事がSSD全体の温度上昇を招き、他の部品へも悪影響を及ぼし、結果として部品の寿命を縮め、SSDの故障という現象となって表れる。
当然温度上昇はコントローラの動作を不安定にさせるだけでなく、コントローラそのものを壊す事もある。
それからもう一つ、SSDに使われるNAND Flashという部品の書き込み寿命の問題がある。
NAND Flashはデータを書き込むと必ず劣化する。
これは磁力でデータを記録するHDDには無い現象で、HDDのプラッタは10万回の書き換えでもほとんど劣化しないのに対し、NAND Flashは最も耐久性の高いSLCでも1万回、MLCで千~3千回、TLCで三百回以下、QLCでは百回を下回る書き換えで寿命となってしまう。
この書き換え寿命のおかげで大量のデータを何度も書き込むとSSDの寿命はあっという間に摩耗していくので、結果として書き込まれたデータのエラーが増加したり、データそのものが消えるという現象となって表れる。
以上、こうした違いがそれぞれの故障率の違いとなって現れ、使い方や使用環境の違いによってどちらかの方が壊れやすいという結果につながるのだと思う。
HDDもSSDも、出来るだけ壊れて欲しくないと思うのであれば、それぞれの特徴を把握した上で、使用環境と使用方法を工夫する事が重要である。
なお、SSDメーカーの主張は“根拠となるサーバー用途でのSSDの平均使用期間がHDDの1/5でしかない”という事実を隠しているため、もしHDDと同じ期間使用した場合はHDDとSSDの故障率は変わらないという事である。
「SSD」と「HDD」はどちらが故障しやすいのか?
https://atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/2111/01/news101.html
このような「一部の情報を隠して自分達に都合が良い誤認を誘発させる」という手法は、“感情に訴えるなど他の手法も組み合わせて”世界中のあらゆる場面で、組織だけでなく個人でも日常的に使っている。(身近な例ではマスコミやSNSが特に多く、弁護士や政治家、人権・環境活動家なども常用している)
この事実ついては常日頃から注意した方がいいと思う。