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Alder Lake について [CPU]


昨日、IntelのAlder Lakeが正式に発表され、11月4日の発売日が予告された。

このAlder Lakeは、従来のx86系CPUには無い新しい構造を持つ。

それは「Big & Little」という、省電力コア(以降、Eコア)と高処理能力コア(以降、Pコア)を組み合わせた非対称マルチコアである。

Alder Lakeの場合、EコアにはATOM系のコアである“Gracemont”が、Pコアには“Golden Cove”が使われているのだが、同じBig & Little構成の一般的なArm系CPUと大きく違うのが「Intel Thread Director」という仕組みで、CPUの能力を出来るだけ効率的に引き出せるようにEコアとPコアへプログラムの処理=スレッドを割り当てるようになっている。

つまり、Arm系のようなEコアからPコアへの完全な切り替えではなく、EコアとPコア両方が協調して動作する。

その結果同じ16コアのCore i9-12900KとRyzen 9 5950Xを比較すると、ベンチマークのスコアはCore i9-12900Kが上回るという結果になるようである。

不思議なのは同じ16コアとはいえ、Core i9-12900Kの場合は半分がEコアなのに全てがPコアであるRyzen 9 5950Xを上回る事。


その原因はなんだろう?

いくらCore i9-12900KのIPCがRyzen 9 5950Xよりも上とはいえ、それはGolden CoveのPコアだけの話である。

16コア全てを使うマルチスレッド処理ならば、Eコアが足を引っ張ってCore i9-12900Kのスコアはもっと伸び悩むはず。

この問題に関する答えは、以下の記事にあった。

第12世代Core、PコアとEコアという2種類のCPUの組み合わせなのになぜRyzenより速い?
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/ubiq/1361961.html


答えを一言で言えば、「Intel Thread Director」が優秀な仕事をしているから、となる。

全てのプログラムとデータがL1~L3キャッシュの中に収まってしまうのであれば話は変わるのかもしれないが、どのような処理であれCPUは全ての力を利用者が求める一定の処理だけに注ぎ込んでいる訳ではない。

なので、OSのスケジューラとCPUのスケジューラが協調してPコアが得意な処理は全てPコアに回して、それ以外をEコアで処理する、という事をやっているようだ。

また、3D画像処理や動画のエンコードなど、現在の浮動点少数演算は昔のように原始的な浮動小数点演算器が一つ一つバカ正直に計算しているわけではない。

一般にSIMD命令と呼ばれる、複雑な演算処理の答えを一発で出すハードウェアアクセラレータと言うべき命令処理回路を使う。

これをEコアにも持たせればPコアと同等の結果を出す事は簡単なワケで、恐らくそういう事なのだろう。


まァそんなワケで、史上最強のx86 CPUの座を奪還した? IntelのAlder Lake。

これに対するAMDのCPUはZen4となるのだが。

出るのは一年後くらいになるらしいので、その頃にはIntelも新しいCPUを出して来るに違いない。

AppleのM1の存在もあるし、この先CPUのパワー競争はどうなっていくのか興味深い。


参考:

Windows11とAlder LakeとDDR5メモリ
https://17inch.blog.ss-blog.jp/2021-10-06


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