パソコンの組立てで電動ドライバーは注意が必要 [工具・ねじ]
今日、こんな広告記事を見つけた。
PC組み立てにも便利な電動ドライバー
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/yajiuma-mini-review/1352015.html
記事では snapfish というメーカーの電動ドライバーのレビューを行っているが、記事を見る限りパソコン用として適しているのか、かなり疑問に思う。
理由の一つは握り部よりも前が非常に太い事。
パソコンはケース内部など狭い所にドライバーを入れる事が多い。
握り部よりも前が太いとこれが邪魔になるし、視界を遮るので使い辛いのだ。
そして二つ目の理由。
記事に書かれているが中途半端にトルクが強いようで、しっかり握っていないとねじが締まった時に反動で本体が回ってしまうらしい。
トルク調整機構もあるようだがこうした安価な製品ではまるでアテにならない。
さらにしっかり握ってグリップの空転を防いだとしても、+ミゾからドライバーの先端が外れて+ミゾを壊す事になるだろうし、その場合ドライバーがねじから外れて他の部品を傷付けたりするかもしれない。
したがって、この電動ドライバーでパソコン用のねじを無神経に締め付けてしまうと高い確率で部品を壊す。
何故パソコン用として使うにはトルクが強いのか言うと、安価な電動ドライバーのほとんどは組み立て式の家具などを組み立てる事を想定しており、使用するねじも太さが4~6ミリ程度である事を前提としたトルク設定である事が普通(大抵は2N以上)であるからだ。
また、電動ドライバーはトルクリミッターが付いていなければ一瞬でオーバートルクになるので、パソコンの組み立てで使うなら、ねじの座面が部品と接触したらすぐに回転が止まるくらいトルクが弱い物を選択すべきである。
ねじの繊細な締め加減が必要な物の組み立てでは、ねじの早回しのみ電動で行い、最後の締め付けは手の感覚で探りながら「キュッ」と締める事が重要なのだ。
私がパソコン用にと思って買った電動ドライバー。買って一年以上経つが結局使っていない。
参考のため以下にパソコンで使われているねじの締め付けトルクを記す。
パソコン用ねじの締め付けトルク
※条件は一般的なパソコンの組み立てで使われる部品の取り付け時
単位(N・m)
表を見ればわかるが、パソコン用のねじはかなり低い締め付けトルクで締められている。
ねじが細いものばかりである事もそうだが、めねじ自体の強度が低い場合が多く、板金加工で製造されたPCケースなどはねじ山をセルフタッピングビスというねじ自身にねじ山を作らせている場合すらある。
またそうでない場合でもプレス加工の後に転造タップでねじ山を作るが、薄い鉄板に転造でめねじを作るからねじ山がしっかり作れなかったり、中国の工場で加工するのだから転造タップも材質や精度が悪かったり消耗したタップをそのまま使ったりなど当たり前で、普通ならねじ山が壊れないトルクでも簡単にネジ山が壊れてしまう。
だから、自作パソコンではねじの締め過ぎには注意が必要だ。(同時に緩すぎは厳禁。)
なお表中のトルクに幅があるのは、条件の違いで必要なトルクが変わるからだ。
そして、単に自作パソコンを組み立てるだけならば、ねじのトルク管理はそれほどシビアではないという事もある。
要は部品を壊さない範囲で、ねじが緩まない程度の強さで締まっていればいい。
重要なのは今締めようとしているねじの締め具合を、取り付ける部品の組み合わせやねじの状態などから推測して判断し、適正な締め具合で締める事なのである。
ちなみに、ねじを外す時にも電動ドライバーは便利な道具だが。
重要なのは締める時と逆の意味で同じ、締まったねじは一度手で緩めてから電動でねじを外す事。
こうする事でねじの+ミゾをつぶしてしまう事を防げるし、電動ドライバーに過負荷をかける事がなくなるので故障を防ぐ事も出来る。
まあ、任意のタイミングで回転を止める事が難しい電動ドライバーは、よほどねじの扱いに長けているか、これからしっかり練習しようと思っている人以外、使わない方が無難だと思う。
PC組み立てにも便利な電動ドライバー
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/yajiuma-mini-review/1352015.html
記事では snapfish というメーカーの電動ドライバーのレビューを行っているが、記事を見る限りパソコン用として適しているのか、かなり疑問に思う。
理由の一つは握り部よりも前が非常に太い事。
パソコンはケース内部など狭い所にドライバーを入れる事が多い。
握り部よりも前が太いとこれが邪魔になるし、視界を遮るので使い辛いのだ。
そして二つ目の理由。
記事に書かれているが中途半端にトルクが強いようで、しっかり握っていないとねじが締まった時に反動で本体が回ってしまうらしい。
トルク調整機構もあるようだがこうした安価な製品ではまるでアテにならない。
さらにしっかり握ってグリップの空転を防いだとしても、+ミゾからドライバーの先端が外れて+ミゾを壊す事になるだろうし、その場合ドライバーがねじから外れて他の部品を傷付けたりするかもしれない。
したがって、この電動ドライバーでパソコン用のねじを無神経に締め付けてしまうと高い確率で部品を壊す。
何故パソコン用として使うにはトルクが強いのか言うと、安価な電動ドライバーのほとんどは組み立て式の家具などを組み立てる事を想定しており、使用するねじも太さが4~6ミリ程度である事を前提としたトルク設定である事が普通(大抵は2N以上)であるからだ。
また、電動ドライバーはトルクリミッターが付いていなければ一瞬でオーバートルクになるので、パソコンの組み立てで使うなら、ねじの座面が部品と接触したらすぐに回転が止まるくらいトルクが弱い物を選択すべきである。
ねじの繊細な締め加減が必要な物の組み立てでは、ねじの早回しのみ電動で行い、最後の締め付けは手の感覚で探りながら「キュッ」と締める事が重要なのだ。
私がパソコン用にと思って買った電動ドライバー。買って一年以上経つが結局使っていない。
参考のため以下にパソコンで使われているねじの締め付けトルクを記す。
パソコン用ねじの締め付けトルク
※条件は一般的なパソコンの組み立てで使われる部品の取り付け時
単位(N・m)
ねじ種類 | 締付トルク |
M2 | 0.08~0.2 |
M3 | 0.4~0.6 |
M4 | 0.8~1.5 |
#6 3/16 | 0.5~0.8 |
表を見ればわかるが、パソコン用のねじはかなり低い締め付けトルクで締められている。
ねじが細いものばかりである事もそうだが、めねじ自体の強度が低い場合が多く、板金加工で製造されたPCケースなどはねじ山をセルフタッピングビスというねじ自身にねじ山を作らせている場合すらある。
またそうでない場合でもプレス加工の後に転造タップでねじ山を作るが、薄い鉄板に転造でめねじを作るからねじ山がしっかり作れなかったり、中国の工場で加工するのだから転造タップも材質や精度が悪かったり消耗したタップをそのまま使ったりなど当たり前で、普通ならねじ山が壊れないトルクでも簡単にネジ山が壊れてしまう。
だから、自作パソコンではねじの締め過ぎには注意が必要だ。(同時に緩すぎは厳禁。)
なお表中のトルクに幅があるのは、条件の違いで必要なトルクが変わるからだ。
そして、単に自作パソコンを組み立てるだけならば、ねじのトルク管理はそれほどシビアではないという事もある。
要は部品を壊さない範囲で、ねじが緩まない程度の強さで締まっていればいい。
重要なのは今締めようとしているねじの締め具合を、取り付ける部品の組み合わせやねじの状態などから推測して判断し、適正な締め具合で締める事なのである。
ちなみに、ねじを外す時にも電動ドライバーは便利な道具だが。
重要なのは締める時と逆の意味で同じ、締まったねじは一度手で緩めてから電動でねじを外す事。
こうする事でねじの+ミゾをつぶしてしまう事を防げるし、電動ドライバーに過負荷をかける事がなくなるので故障を防ぐ事も出来る。
まあ、任意のタイミングで回転を止める事が難しい電動ドライバーは、よほどねじの扱いに長けているか、これからしっかり練習しようと思っている人以外、使わない方が無難だと思う。