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古いATX電源を掃除した [ハードウェア]


今日は気が向いて古いATX電源の掃除をした。

物はAopenの「FSP300-60GT」で、同Aopen製のATXケースに付属していたものだ。

ラベルを見る限りこれは、1999年に製造されたATX2.01規格対応電源だ。


何故そんなに古いATX電源を今でも持っているのかというと、Socket7やSlot1のマザーボードを動かすために必要だから。

現在新品で買えるパソコン用ATX電源のほとんどはATX12V Ver.2.3又はVer2.4で、昔のISAバスを持つパソコン用マザーボードに必要な-5Vの出力が無いために、起動したとしてもBIOSでエラーを吐いてOSのインストールが出来ないのだ。(実際にやってみた)


ちなみに今回記事を書くために調べたところ、ATX電源には以下の種類がある事がわかった。

規格 策定年月 -5Vの有無
ATX Ver1.1 1996年2月
ATX Ver2.01 1997年2月
ATX Ver2.02 1998年10月
ATX Ver2.03 1998年12月
ATX Ver2.2 2005年3月
ATX12V Ver1.1 2000年8月
ATX12V Ver1.2 2002年1月
ATX12V Ver1.3 2003年4月
ATX12V Ver2.0 2004年2月
ATX12V Ver2.4 2013年4月

※表中、ATX12V Ver2.01~2.3までは省略。


表を見ると、ATX電源の規格が途中からATX12Vという名前に変わっている事に気付くと思う。

このATX12Vという規格は、Pentium4が出た時に既存のATX規格に対してCPUのVRM回路に電力を供給するための12V端子が追加されたものなのだが、この時代になると-5Vを必要とするISAバスを持つマザーボードは、当時主流だったPentium3やAthlon用のマザーボードにすら無かったように思う。

なので規格上ATX12V Ver1.2まで-5Vの出力が残されていた理由は、まず新規格へ移行する過渡期であるという事と、また産業用などの特殊なパソコンにISAバスが必要だったためだと考えられ、そういう意味では2005年になって新たに策定されたATX Ver2.2は、正に21世紀になっても消えないISAバスへの需要のため古いATX規格に新しくSATAコネクタの追加などを盛り込んだものだと思われる。

そしてATX12V Ver1.3以降は規格から-5Vが削除されているので、現在新品で手に入れる事が可能なATX電源は20世紀末のATX規格に準拠したパソコンに使う事が出来ないというワケだ。


話は変わるが、今回私は、掃除のついでに電解コンデンサがパンクしていたら交換しようと思っていた。

だが、運が良いのか悪いのか、内部の酷いホコリの割に出力側の電解コンデンサはご懐妊の兆候すら見られなかった。

なので内外の埃を刷毛とエアガンで掃除して、電線類のビニールから滲み出した軟化剤と空気中の何かが化学反応を起こして出来た非常に不快な粘着物質をアルカリ系の洗剤で洗い落としただけで作業を終わらせた。

そして動作確認のために適当なISAバス付きのSlot1マザーボードに接続して電源を入れると、何の問題もなく動作してくれた。

製造から20年以上経つのに、よく壊れなかったと感心しつつ一安心。


私はAopenの製品について当時から質の高さに一定の信頼を置いているのだが、今回改めてこのATX電源の内部を見ると、かつて見た安物とは明らかに作りが違うように感じる。

昔も今もケース付属の電源など安物が相場で、コストダウンのために省略された部品や回路がたくさんあったはずだが、このAopenの電源(恐らく製造元はFSP)は内部の部品がやたらと多い。

しかもパワートランジスタやダイオードのヒートシンクが安物に多いアルミ板を曲げただけのものではなく、高級感すら漂うフィンの多い引き抜き材が使われている。

atx99_01.jpg
フタを外した「FSP300-60GT」の中身。

しかも、現在のATX電源ですら見る事が出来ない「ACインレット・ノイズフィルター」が使われている。

この部分はプラスチックの枠に金属端子を刺しただけの安っぽいACインレットを使うのが普通で、この場合ノイズ対策はインレットから基板までの配線をフェライトコアに巻き付ける事で行う。

「ACインレット・ノイズフィルター」など普通はAC入力からのノイズに相当うるさい機器にしか使われないので、この点だけ見てもそれなりにコストをかけた電源だと感じる。

atx99_02.jpg
写真中左下の銀色の部品が「FSP300-60GT」のACインレット・ノイズフィルター。

一方で力率改善回路(PFCの類)が使われていないので、変換効率は70%以下と低い。

現在は力率改善回路を付けたパソコン用電源が当たり前のように使われていて、その変換効率は低い物でも80%前後ある。

20年前でも力率改善回路を持つATX電源はあったが、一般的な自作パソコン用部品としてはほとんど無かったように記憶しているが・・・


コストダウンが進んでいるが変換効率の高い現在の電源と、それなりに金がかかってはいるが変換効率の悪い昔の電源。

まあ、これも時代か。


参考:

ATX電源
https://en.wikipedia.org/wiki/ATX#ATX_power_supply_revisions

Nipron 電源辞典
https://www.nipron.co.jp/product_info/search_power_cyclopedia1.html


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Zen3とRocket Lake [CPU]

先日AMDからZen3採用のRyzen 5000シリーズが正式に発表され、発売日が11月5日という事が判明した。

私個人の感覚では思ったよりも早い発表である事から出荷数は限定的であり、発売されても買えない難民が溢れるのではないかと懸念している。

一方Intelも、同時期に来年早々に出荷予定のデスクトップ向けCPU「Rocket Lake」についての情報をリークして対抗。

これまでの情報と併せると14nmで製造され、中身はTiger Lakeと同じCPUコア+IGPUになるようだ。


性能に関しては、Zen3はかなり頑張っていると思う。

なにしろZen2から19%もIPCを向上させ、同時に最大動作周波数も最大で200Mhz上げる事で、シングルスレッド性能がついに既存のIntel製CPUを完全に上回ることに成功したからだ。

ただしこれはあまり喜べる状況ではなく、Rocket Lakeが出ればまたすぐに追い越される運命だ。

とはいえ大幅な性能向上を達成している事は間違いなく、Socket AM4対応CPUの最終アップデートとして満足出来る仕上がりとなっている。

後はUEFIのAGESAにバグが無いことを祈るばかりだ。


そしてもう一方のRocket Lakeは、14nmによる製造という事でこれ以上CPUコアを増やす事は難しいと思われ、シングルスレッドはWillow Cove系のコアによる大幅なIPC向上でZen3を追い越す事は確実と予想されるが、マルチスレッドでは相変わらずAMDの後塵を拝むことになるだろう。

また、消費電力も変わらず非常に高い水準だと考えられ、消費電力当たりの性能もZen3には及ばないだろう。

来年もゲームはIntel有利、それ以外はAMDが有利という構図に変化はないようだ。


参考記事:

AMD、Zen 3世代のRyzen 5000シリーズ発表 - 16コアのRyzen 9 5950Xなど4モデル
https://news.mynavi.jp/article/20201009-1387514/

AMD,Zen 3ベースの新型CPU「Ryzen Desktop 5000」シリーズを発表。次世代GPU「Radeon RX 6000」もチラ見せ
https://www.4gamer.net/games/461/G046172/20201008139/

Zen 3とRocket LakeでさらにヒートアップするAMD vs Intel
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/ubiq/1281903.html

デスクトップ向け第11世代Core「Rocket Lake」は2021年第1四半期に登場
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1281833.html


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