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月刊Intel脆弱性6月号 [セキュリティ]


今月もまた、Intel製CPUの新たな脆弱性が発表されている。


Intel製CPUに新たなサイドチャネル攻撃「SGAxe」「CrossTalk」が報告される
https://gigazine.net/news/20200610-intel-cpu-sgaxe-crosstalk/


多くの例がそうであるように、こうして発表された脆弱性は発表時点で解決策が出来上がっており、今回もOSやアプリケーションソフトウェアにパッチを当てる事で回避出来る問題であるようだ。

しかしこうした解決策は、コンピュータの持ち主、或いは管理する者が、パッチを当てて初めて脆弱性の回避が出来る事が問題であり、自動アップデートという仕組みを使うとこれとは別の問題が出る事例も後を絶たないという事もあって、「解決策がすでにあるなら問題にならない」という意見は大きく的を外れていると思う。


また、ここ数年毎月のように発表されるIntel製CPUの脆弱性は、多くが「Intelなんとかテクノロジー」というCPU本体の計算器とは別の、主にセキュリティ機能を追加するために設けられた仕組みに関して発見されている。

本来の目的と真逆の結果になっているこれらの機能は、根本的な部分で機能を殺しておく方が良いと思う。


ちなみに現在のAMD製CPUにも同様の機能が存在するが、これはARM系CPUコアをCPUに内蔵しており、これに対してUEFIのファームウェアに組み込まれたソフトウェアで動作するようになっている。このため問題になりにくいのかもしれない。

一方Intelの場合はOSのデバイスドライバと連動して、WindowzならばWindowz用のソフトウェアが機能を提供している。この辺りが脆弱性として利用されやすいのかもしれない。


まあ、該当する人はなるべく早めにOSやアプリケーションソフトウェアの更新を行う方が良いだろう。


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Intel CEOがベンチマークを否定する? [ハードウェア]


なにやら数日前に、IntelのCEO(Bob Swan氏)がやらかしたそうな。

曰く「CPUの性能をベンチマークで判断するのはやめよう」と。

この件を話題にしている人達の意見としては、「IntelがAMDに対しベンチマークのスコアで勝てない」からこんな事を言っているんだ、という事らしい。


ところが、私がネタ元のビデオを観たところ、IntelのCEOが言っている事は巷で騒がれている事とはまったく違うように見えた。

要するに、発言の中のごく一部を切り取って違う意味に解釈した話が出回っているワケだ。(少なくとも“CPUの性能をベンチマークで判断するのはやめよう”などとは言っていない)

以下、件のビデオの中から問題となっている発言とその周辺を抜き出したもの。


The COVID-19 pandemic is reshaping business and personal priorities.
COVID-19パンデミックは、ビジネスと個人の優先事項を再形成しています。

The world, as we know it, is changing and creating new challenges for technology including supporting the new normal at work, keeping people connected and using the explosion of data mor effectively to solve big global challenges.
私たちが知っているように、世界は変化し、テクノロジーの新しい課題を生み出しています。これには、職場での新しい標準のサポート、人々のつながりの維持、データの急増を効果的に使用して大きなグローバルな課題を解決することが含まれます。

We should see this moment as an opportunity to shift our focus as an industry from benchmarks to the benefits and impacts of the technology that we create.
この瞬間を、業界としての焦点をベンチマークから作成するテクノロジーのメリットとインパクトにシフトする機会ととらえる必要があります。

The pandemic is underscored the need for technology to be purpose-built so it can meet these evolving business and consumer needs.
パンデミックは、テクノロジーがこれらの進化するビジネスおよび消費者のニーズを満たすことができるように専用に構築される必要性を強調しています。


以上。

さて、問題となっているのはこの中にある「benchmarks」という単語。

これが何を意味するか、で話はずいぶん変わってしまう。

多くの人がこれを「CPUの性能を数値化するベンチマークプログラム」と捉えているようだが、前後の文章を読めば違う事に気が付くはずだ。

私はこの「ベンチマーク」という言葉の意味を「現在の業界指標」と理解する。

有体に言えば“コンピュータの性能”であるが、それはCPUを比較するための数値ではなく、もっと広い意味での性能であり、それは単純な計算能力ではなくハード・ソフト全てを含んだものだ。

これを、新型コロナウイルスの影響による世界の変化により新しく表面化した課題に対して最適化する必要がある。

IntelのCEOが言いたい事は、つまりそういう事だと私は考えている。


まあ、それが視点によってはAMDに負け続けている事への負け惜しみにしか見えないのは理解出来る。実際の所、Intel自身が近年抱えている問題から株主や顧客の目を逸らす意図がある事も事実かもしれない。

しかし、ARM系CPUの台頭に見られるように、単純な性能比較に注目しすぎるとこれからの時代を生き残れないことは間違いない。(例として、富士通が開発したスーパーコンピュータ“富岳”はこれまで性能が劣るとされたARM系CPUコアを基に開発されている。)

既に10年以上前から一般のパソコンですら性能の飽和が起きており、用途によって必要とされるCPUの計算能力が細分化されている事実もある。(そういえばAMDが今回のネタと似た事を言い出したのもAPUが初めて出たその頃の事だ)

昔は、安いパソコンは遅いのをガマンするもの、ガマン出来なければ最高の物を買え、というのが普通だったが。

そんな時代は疾うの昔に終わっているのだ。

性能向上への努力を手抜きして良いという意味では決して無いが、CPUの性能やシステムの処理能力は、目的を達成するための一要素に過ぎない事を忘れてはいけない。


元ネタであるIntel CEOの出ているビデオ(問題の部分は4分15秒辺りから)
https://www.youtube.com/watch?v=ADGswhzW-L0


同ビデオの載ったIntelの公式記事
https://newsroom.intel.com/articles/computexonlinetalks-intel-calls-tech-ecosystem-come-together-drive-innovation-enriches-lives/



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