同じZen2 APUでもまったくの別物 [CPU]
「PS5」は5.5GB/sで容量825GB SSDを内蔵。長いローディング画面と決別
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1241853.html
次世代ゲーム機「Xbox Series X」は並のゲーミングPCを超える性能に
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1241270.html
現行世代よりAMD製SoCを使うゲーム専用機の新型、PS5とXboxの仕様が明らかになった。
過去のPS4及びXboxはJagureコア8個とGCNコアのGPUを組み合わせたSoCだったが、同様の組み合わせだったパソコン用SoC“Kabini”系とまったく違う構造のカスタムチップで、単に使われているCPUとGPUのコアが同じという事以外に同一な点がほとんど無いものだった。
この事はZen2コアを用いるPS5とXboxも同じで、メインメモリがGDDR6である事も含めてパソコン用APU“Renoir”とは似て非なる物だと言える。
PlayStation 4のAPUアーキテクチャの秘密
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/621178.html
何故そこまで違う物になったのかと言えば、単純にゲームの開発側が要求する性能を得るために必要だからだ。
一般のパソコンと違いハードウェアの仕様であるPC/AT互換機としての制約も無いうえ、同一のスペックで数年間売る必要もある。
かつてのPlaystationシリーズが当時のパソコンをはるかに上回る性能を実現していたように、能力的に数年先を行く性能でなければならない理由もあるわけだ。
なので、現在すでに存在するハードウェアの流用とはいえ、そのボトルネックになっている部分を徹底的に取り去る事でハードウェアの性能を極限まで引き出すための改造が施されている。
一部でパソコン用APUがほとんどそのまま使われていると思う人も居るようだが、そんな事はあり得ないのだ。
もちろん、だったらパソコン用APUもPS5用に準じた仕様にすれば、という意見もある。
だがそれは不可能だ。
メインメモリのGDDR6一つ取ってもGDDR系のDRAMは一般のDDR系DRAMよりも高価である上、CPUにしろメモリモジュールにしろ、GDDRを使うにはソケットを用いた実装が不可能な仕様であるため、PS5やXboxのような作りは仕様が完全に決め打ちで生産出来るゲーム機位にしか出来ない荒業である。
その他のIO回りの実装も同様で、全てが専用設計であるからこそ可能な仕様。
汎用性が最も重視されるパソコンには決してマネが出来ない事だ。
ただ、将来的にはパソコンも現在問題となっているボトルネックの解消に向かって開発が進んでいる。
例えばメインメモリの遅さに対する要求にはCPUパッケージにHBMのような広帯域メモリを乗せるという事が考えられているし、最大のボトルネックになっているメインメモリとストレージの速度差も、その中間に位置する“ストレージクラスメモリ”という物が採用されようとしている。
さらにパソコンの場合はその汎用性がボトルネックになっているだけではなく、拡張という方向に利用可能だ。
例えばCPUも毎年新型が出るわけで、ゲーム機には出来ないCPUの交換が出来る。
ビデオカードにしても同様で、常に最新の超高性能ビデオカードが利用出来る。
デスクトップパソコンであれば消費電力の制約も少ないため、性能向上に関してはかなりの力技が可能という事もある。
まあ、ゲーム機の(様々な制約の中で)極限まで性能を追求したハードウエアは私でも羨ましいと思えるが、一方でハードウエアに一切手を入れる事が出来ない不自由さと引き換えなワケで、何を選ぶか考えれば人それぞれ、ゲームしかしないならばゲーム専用機を買えばいいし、他の用途があればパソコンを選べば良いのだ。
話が少しばかり明後日の方へ向いてしまった。
なんにしろ今回ネタにした記事の内容はとても興味深い。
PS5や新型Xboxが市販されたらもっと詳細な記事が出ると思うので、今から楽しみである。
追記
各社のゲーム機を比較している記事がGIGAZINEに掲載された。
大雑把な仕様の比較であるが、同世代のAMD製カスタムSocを使うPS5とXboxの違いがまた興味深い。
PlayStation 5とXbox Series XとNintendo Switchのスペックを比較してみるとこんな感じ
https://gigazine.net/news/20200319-playstation-5-xbox-series-x-nintendo-switch/
両者の違いを簡単に言えば、PS5は全体のバランスを重視した仕様であり、XboxはGPU周りに金を掛けた仕様である。
この程度でゲームの面白さに違いが出るとは思えないが、PS5はゲーム以外の広範な用途でも高い性能が出る設計、XboxはFPSのようなGPUの負荷が高いゲームに焦点を合わせた設計、という事になるのか?
そういう意味ではゲーム機としてはXboxの方が向いた仕様だと言える。
それにしても、AMDもパソコンやサーバー用CPUの開発をしながら、よくもまあ仕様の違うゲーム機のSocを二つを開発したものだ。
少ない開発費と限られた人員でここまで出来る事が、Intelなどと比べると驚きしかない。
参考:
PlayStation 5のスペック情報公開で可変周波数CPU&GPU搭載やNVMe SSDを後付け可能であることが判明
https://gigazine.net/news/20200319-playstation-5-hardware-specs/
自作PC初のソケット式SoC、Athlon 5350をテスト
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/review/643659.html
PlayStation 4のAPUアーキテクチャの秘密
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/621178.html
ストレージクラスメモリ
https://eetimes.jp/ee/articles/1611/07/news049.html
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1241853.html
次世代ゲーム機「Xbox Series X」は並のゲーミングPCを超える性能に
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1241270.html
現行世代よりAMD製SoCを使うゲーム専用機の新型、PS5とXboxの仕様が明らかになった。
過去のPS4及びXboxはJagureコア8個とGCNコアのGPUを組み合わせたSoCだったが、同様の組み合わせだったパソコン用SoC“Kabini”系とまったく違う構造のカスタムチップで、単に使われているCPUとGPUのコアが同じという事以外に同一な点がほとんど無いものだった。
この事はZen2コアを用いるPS5とXboxも同じで、メインメモリがGDDR6である事も含めてパソコン用APU“Renoir”とは似て非なる物だと言える。
PlayStation 4のAPUアーキテクチャの秘密
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/621178.html
何故そこまで違う物になったのかと言えば、単純にゲームの開発側が要求する性能を得るために必要だからだ。
一般のパソコンと違いハードウェアの仕様であるPC/AT互換機としての制約も無いうえ、同一のスペックで数年間売る必要もある。
かつてのPlaystationシリーズが当時のパソコンをはるかに上回る性能を実現していたように、能力的に数年先を行く性能でなければならない理由もあるわけだ。
なので、現在すでに存在するハードウェアの流用とはいえ、そのボトルネックになっている部分を徹底的に取り去る事でハードウェアの性能を極限まで引き出すための改造が施されている。
一部でパソコン用APUがほとんどそのまま使われていると思う人も居るようだが、そんな事はあり得ないのだ。
もちろん、だったらパソコン用APUもPS5用に準じた仕様にすれば、という意見もある。
だがそれは不可能だ。
メインメモリのGDDR6一つ取ってもGDDR系のDRAMは一般のDDR系DRAMよりも高価である上、CPUにしろメモリモジュールにしろ、GDDRを使うにはソケットを用いた実装が不可能な仕様であるため、PS5やXboxのような作りは仕様が完全に決め打ちで生産出来るゲーム機位にしか出来ない荒業である。
その他のIO回りの実装も同様で、全てが専用設計であるからこそ可能な仕様。
汎用性が最も重視されるパソコンには決してマネが出来ない事だ。
ただ、将来的にはパソコンも現在問題となっているボトルネックの解消に向かって開発が進んでいる。
例えばメインメモリの遅さに対する要求にはCPUパッケージにHBMのような広帯域メモリを乗せるという事が考えられているし、最大のボトルネックになっているメインメモリとストレージの速度差も、その中間に位置する“ストレージクラスメモリ”という物が採用されようとしている。
さらにパソコンの場合はその汎用性がボトルネックになっているだけではなく、拡張という方向に利用可能だ。
例えばCPUも毎年新型が出るわけで、ゲーム機には出来ないCPUの交換が出来る。
ビデオカードにしても同様で、常に最新の超高性能ビデオカードが利用出来る。
デスクトップパソコンであれば消費電力の制約も少ないため、性能向上に関してはかなりの力技が可能という事もある。
まあ、ゲーム機の(様々な制約の中で)極限まで性能を追求したハードウエアは私でも羨ましいと思えるが、一方でハードウエアに一切手を入れる事が出来ない不自由さと引き換えなワケで、何を選ぶか考えれば人それぞれ、ゲームしかしないならばゲーム専用機を買えばいいし、他の用途があればパソコンを選べば良いのだ。
話が少しばかり明後日の方へ向いてしまった。
なんにしろ今回ネタにした記事の内容はとても興味深い。
PS5や新型Xboxが市販されたらもっと詳細な記事が出ると思うので、今から楽しみである。
追記
各社のゲーム機を比較している記事がGIGAZINEに掲載された。
大雑把な仕様の比較であるが、同世代のAMD製カスタムSocを使うPS5とXboxの違いがまた興味深い。
PlayStation 5とXbox Series XとNintendo Switchのスペックを比較してみるとこんな感じ
https://gigazine.net/news/20200319-playstation-5-xbox-series-x-nintendo-switch/
両者の違いを簡単に言えば、PS5は全体のバランスを重視した仕様であり、XboxはGPU周りに金を掛けた仕様である。
この程度でゲームの面白さに違いが出るとは思えないが、PS5はゲーム以外の広範な用途でも高い性能が出る設計、XboxはFPSのようなGPUの負荷が高いゲームに焦点を合わせた設計、という事になるのか?
そういう意味ではゲーム機としてはXboxの方が向いた仕様だと言える。
それにしても、AMDもパソコンやサーバー用CPUの開発をしながら、よくもまあ仕様の違うゲーム機のSocを二つを開発したものだ。
少ない開発費と限られた人員でここまで出来る事が、Intelなどと比べると驚きしかない。
参考:
PlayStation 5のスペック情報公開で可変周波数CPU&GPU搭載やNVMe SSDを後付け可能であることが判明
https://gigazine.net/news/20200319-playstation-5-hardware-specs/
自作PC初のソケット式SoC、Athlon 5350をテスト
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/review/643659.html
PlayStation 4のAPUアーキテクチャの秘密
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/621178.html
ストレージクラスメモリ
https://eetimes.jp/ee/articles/1611/07/news049.html