AMDのシェアはまだとても小さい [CPU]
かつて、AMDはCPUの市場シェア30%を超えた事もあった。
だがIntelによるパソコンを生産する企業への圧力や、訴訟による互換CPUの開発・販売阻止等の工作、そしてAMD自身による自滅と言える新製品の開発や営業方針の失敗等により、Ryzen登場の直前にはシェアが1%未満にまで落ち込んだ。
(かつていくつもあったx86互換CPUメーカーだったが、Intelの妨害工作で現在生き残る互換CPUメーカーは現在AMDとVIAの2社のみ)
Bulldozer系コアのCPU/APUを販売している時など、ハイエンドCPUの性能競争から手を引くと公式発表があったほどで、特にこの期間のAMDはどん底に落ち込んでいたのだ。もしPlaystationにAMDのカスタムAPUが採用されなければ、倒産もあったかもしれないほどだ。(その点でAMDのATI買収は先見の明があったと言える)
ところがRyzenの成功で、AMDは突如としてハイエンドCPUの性能競争に復活を果たす。
結果として2017年3月のRyzen発売から約2年半、Intelの最新CPU開発失敗もあって、現在は各分野でシェアを得ているようだ。
その内訳は以下の通り。
市場 | シェア | 時期 |
サーバー | 3.4% | 2019年6月末 |
一般用PC | 14.7% | 2019年6月 |
自作市場 | 68.8% | 2019年7/8~7/14 |
表の通り、自作市場ではすでにIntelを超えるシェアを獲得しているようだが、その他はまったくダメだ。
サーバー市場は単に性能が良ければ採用されるという市場ではなく、ソフトウェアも含めたシステムの互換性や堅牢性などが重視されるため、これまでIntelがサーバー用x86CPU市場でほぼ100%のシェアを持つ事もあってなかなか浸透出来ていなかった。
だが64ものコアを持つZen2のRomeが発表されて以降、その流れが変わりつつある。
今はまだ3.4%に過ぎないシェアであるが、かつてのOpteronのように、Intelとサーバー市場を二分する勢力になる可能性があると思う。
そして利益率は低いがけっして手を抜いて欲しくないのが一般用PC。俗にコンシューマ市場と呼ばれる市場で勝てないのでは、私の腹の虫が治まらない。
何故なら、Intelによる市場の事実上の独占は、悪逆非道の行いが下地にあり、その非道な行いは現在も行われているからだ。
私はこの市場で、IntelとAMDが50%ずつシェアを持つのが正しいと思う。
だが現状はまだ15%弱に過ぎない。それも売れているパソコンを基準にしたらもっと低くなるだろう。
この分野では、AMDは製品の力はまだまだ弱い。(だから売れない)
今後に期待したい所だが、Intelもただ黙って見ているはずは無いわけで、予断を許さない状況だ。
まあ、2年後に30%のシェアが取れていれば大成功、ヘタをすると2年後には一桁かもしれない。
最後は自作市場。
ここでは破竹の勢いでシェアを伸ばし、海外市場、しかもZen2発売直後の集計ながら68.8%のシェア。
CPU市場全体からすると、自作市場など数%に過ぎない小さな市場ではあるが。
ここで売れているという意味は小さくは無い、と思いたい。
現在色々と問題が出ているが、幸いな事に自作市場ならではの寛容さがある。
単純な数字に出ない、Ryzenへの追い風になる事を期待する。
そして今後も私にとって魅力ある製品を作って欲しいし、そのうえでIntelと互角以上のシェア争いを続けて欲しいと思う。
AMD、サーバー用新製品をアピール-インテル製品より高性能うたう
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-08-08/PVW0B1DWLU6J01
AMD CPUが量販店市場でシェア68.6%
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1197213.html
「AMDプロセッサを採用しないよう、IntelがPCメーカーに圧力をかけた」
https://www.itmedia.co.jp/news/topics/amdintel.html
巨人Intelに挑め!
https://news.mynavi.jp/author/0001674/?page=6
IntelのComet Lakeが発表される [CPU]
現地時間の21日、Intelの新しいモバイル向けCPU「Comet Lake」が発表された。
これがどのようなCPUか、大雑把に書くと
・14nmプロセスで製造
・CPUコアは最大で6コア
・動作周波数は最大で4.9Ghz
・GPUはUHD Graphics(EU数は最大24)
・TDPは最大25W~最低4.5Wまで
こんな感じで、先日発表されたIce LakeよりもCPUパワーが高い代わりにGPUが貧弱になっている。
ちなみにIce LakeはIPCこそ高いが動作周波数は最大で4.1Ghz、そしてコア数も最大4コアで、GPUのEU数は最大64だ。
いずれにせよ、ノートPCに搭載されるCPUとしては非常に省電力かつハイパワーなCPUで、Ryzenのモバイル向けが勝っているのはGPUの性能のみという、Bulldozerコア時代のAMDとIntelの構図に似た状況になっている。
それにしても何故、Intelは10nmプロセスの最新型CPUがあるのに、14nmの旧式コアを使ったCPUを新製品として出すのか。
考えられる理由は一つしかない。
それは、10nmプロセスでの需要を満たす数の生産が不可能だからだ。
よってIntelのCPUを搭載したノートパソコンは、Ice Lakeを搭載したパソコンは少数しか出回らず、Comet Lakeを搭載したパソコンが主力になるだろう。(Ice Lakeは株主を納得させるためだけに無理やり製品化されたとも言えるかもしれない)
要はIntelの7nmプロセスによるCPUが大量生産されるまで、14nmプロセスのCPUが主力であり続けるわけだが、それでもAMDはモバイル向けCPUでIntelに対抗出来る商品が現行のRyzenしかない。
モバイル向けCPU市場では来年予定されている「Renoir」が登場するまで、AMDの苦戦が続く事になるだろう。
参考:
Intel,「Comet Lake」版ノートPC向け第10世代Coreプロセッサ「Core i7-10710U」などを発表。
https://www.4gamer.net/games/449/G044964/20190819079/
Intel,Ice LakeことノートPC向け第10世代Coreプロセッサ計11製品のスペックを公開
https://www.4gamer.net/games/449/G044964/20190801042/