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3rd Gen RyzenとPCIe 4.0の問題 [ハードウェア]


7月7日の発売まであと2週間余り。

3rd Gen Ryzenを心待ちにしている人は多いと思うが、一方でマザーボードに関する心配事がある。

それは3rd Gen Ryzenの持つPCIe 4.0に関する問題だ。


今の所、PCIe 4.0に対応するマザーボードはX570チップセットを使う新しいマザーボードのみ。

他のチップセットを使うマザーボードはPCIe 3.0までの対応となる。

対応するデバイスがほぼ無いと言える現状ではほとんどの人にとってPCIe 4.0など無用の長物ではあるが、X570でなければ新しいRyzenの目玉機能であるPCIe 4.0が使えないという現実は、私達をがっかりさせるに十分な理由だ。


そこで、3rd Gen RyzenのPCIe 4.0がどうなっているのか考えてみた。

まず大前提として、RyzenのPCIeはCPUから直接出ている。従って、単にPCIe 4.0に対応するというだけならば、チップセットに依存する要素が最初から無い、と思う。


RyzenはSoCとして設計されているので、パソコンとしての機能を成立させる最低限の機能をCPU本体だけで全て賄う事が出来る。

例としてAMDの言う「A300」というチップセットが存在するが、あれはCPU単体のみの構成だ。

だから、もし今すぐX570を使わずにPCIe 4.0を使いたければ、CPUのみの構成でマザーボードを設計すれば良い。チップセット無しの前例としてはAsrockのDeskmini A300がある。一般的な構成のデスクトップパソコンとするならば、あの構成にビデオカード用のPCIe 4.0 x16スロットと、他の拡張カード用にチップセットを接続するために用意された4レーンをPCIe x1スロットとして追加すれば良い。


とはいえ、こうした構成でも問題が出る可能性がある。

それはPCIe 4.0とPCIe 3.0のデバイスを混在させた場合、それぞれがPCIe 4.0と3.0別々の速度で動作するのか、それとも遅い方に統一されてしまうのか、という問題だ。これははっきりした事はわからない。

もし別個に対応出来るのならば、既存のX370/B350/X470/B450等のチップセットでもまったく問題なく利用出来る。過去にAMDの関係者が言った「既存のマザーボードでも物理的な配線は同じなので対応可能だ」というような発言がある。だからもし言葉通りの意味であれば、PCIe 4.0の「配線長がPCIe 3.0の半分に制限される」という問題を解決出来ればどのような構成も自在という事だ。

配線長の問題は、x570マザーボードで利用されているという「ReTimer」というチップをPCIe 4.0の配線の途中に追加する。だが、この措置はそれなりにコストがかかるので、B450などを使った安価なマザーボードでも既存の製品より高額になる事は間違いない。

同様の理由で、チップセットを省いた構成であっても「ReTimer」が必要な配線長になる場所に拡張スロットなりデバイスなりを配置する必要があれば、「ReTimer」が必要な分コストは上がる。ただしチップセットが不要な分安くはなるが。


以下はX570チップセットを使う場合の、PCIe 4.0の配線図。
配線がある程度長くなる部分には必ず「Retimer」を途中に挟む。
3g_ryzen_a.png

次の図は既存のチップセットを使った場合の配線。
現実的に考えてこのような構成が考えられるが、実際に製品化する事を考えると現実的ではないかもしれない。
3g_ryzen_b.png


そんなワケで、PCIe 4.0の配線長の問題は途中に信号をどうにかするチップである「ReTimer」が必要である事が現状。

要するに以前私が心配した問題はまったく解決出来ておらず、現時点でのPCIe 4.0対応はかなりの強行だったと言える。

そのおかげでX570マザーボードの価格は既存のX470マザー等と比べてかなり上がる事が確定していて、さらにPCIe 4.0の信号を処理するための回路が相当電気を食うらしく、消費電力や発熱の問題も取り沙汰されている。

消費電力の問題は今後チップセットの最適化と微細化などで、かつてギガビットLANのチップセットがそうであったように低減させる事が可能だが、それは今すぐ出来る事ではない。

結局のところ、AMDはPCIe 4.0対応を急ぎすぎたのだ。


今年末か来年頭頃には廉価版であるB550/B520チップセットが予定されているという事だが、AMD(製造はAsmediaらしい)がこの辺りをどうするのか。まあ何も出来ず、PCIe 4.0に対応しないのではないかと思う。


PCI Express 4.0 は何時から使えるようになるのか
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2018-06-22



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