第三世代RyzenのPCIe 4.0対応について [ハードウェア]
私の個人的な考えとして、一般向けパソコンのPCI Express 4.0(以降PCIe 4.0)対応は早くても2020年以降くらいに考えている事を、このブログに何度も書いていたが。
AMDが自社のCPU販売のための武器として来る事を読めなかった。
第3世代Ryzen編:PCIe Gen.4を使うには新型のAM4マザーボードが必要に
https://www.4gamer.net/games/446/G044684/20190115124/
この記事にAMDの人へのインタビューが載っていて、今年出るという新しいRyzenがPCIe 4.0に対応する理由を述べている。
記事によると、
“2019年は「IntelではなくAMDのCPUを使おう」「AMDを選ぶべきだ」というような方向へ変えていきたい。”
とあり、顧客に選んでもらう理由の一つにPCIe 4.0が挙げられているのだ。
これを読んで私は「ああ、そうか」と納得。
たとえ時期尚早でも、今やっておく事に意味があるのだ。つまり、Intelには無い要素を一つでも多く盛り込む事で、客に選んでもらおうという事だ。
確かに、多少コストがかかっても今PCIe 4.0に対応させる事はCPUを売るための武器になるかもしれない。
それがRyzenを選ぶ理由となる客が、AMDが思っているよりもはるかに少ないとしても。
そもそもCPUとマザーボードが対応していても、そこに接続するデバイスが無ければ意味は無い。
今RyzenがPCIe 4.0に対応しても、周辺機器を作る会社が対応するプラットフォームの少なさを理由に一般向けのPCIe 4.0対応機器を出すとは思えない。
記事中にも“当面,PCIe Gen.4ベースのハードウェアは多くない。”とある。要はせっかくPCIe 4.0に対応するパソコンを持っていたとしても、当面の間は無意味なのだ。
この件に関して唯一希望とも言える要素は、先行して発表されたRomeがPCIe 4.0を持っている関係で規格策定を行っている“PCI-SIG”での評価システムはAMDのI/Oダイが利用されている事。これにより今後PCIe 4.0に対応する機器が出た場合、互換性の問題が出にくい可能性はある。マザーボードの設計とファームウェアに問題が無ければだが。
そのマザーボード側の問題だが、記事ではPCIe 3.0とPCIe 4.0の違いは信号の周波数だけで、物理的な回路は同じだと言っている。普通に考えてこれはありえない。単に規格上の話であるならばその通りかもしれないが、実際に回路を作ると信号の減衰などは周波数が高いほど大きくなるはずだ。
わかりやすく説明すると、PCIe 3.0の場合CPUソケットからATXマザーボードの拡張スロット6列目まで配線を引いても問題ない回路であっても、PCIe 4.0の周波数では1列目のx16スロットまでが限界で、それ以降のスロットでは回路自体をより高い周波数でも波形が乱れにくいように改良したり、チップセット等を経由して信号の波形を修正する必要が出てくるという事だ。
記事の説明では既存のAM4マザーボードでもやろうと思えば使えるような話が出ているが。
私には到底信じられない話である。(Mini-ITX形状のマザーボードならば或いは、と思うが)
とにかく今年の中盤、夏頃までには第三世代Ryzenが発売されるらしい。
その時点で第三世代Ryzenを搭載する大手メーカー製パソコンが、PCIe 4.0を第三世代Ryzenと共にどれだけ普及させてくれるか。
それが今年以降PCIe 4.0の普及に大きな影響を与える事は、間違いない。
私の予想ではIntelが普及させるまで、PCIe 4.0は事実上存在しないも同然だと思っているが・・・