もう少しZen2について考えてみる [CPU]
一昨日発表されたばかりの“Zen2”コアなCPUのRome。
これについて私の調べられる範囲で情報を集めて色々考えてみたが、どうもZen2を使ったRyzenは出ない可能性が高いように思えてならない。
未確認ながら2019年内にZen2なRyzenは出す計画がないという情報もあって、やはりIOを別ダイにするのは一般向けではコスト的に無理があるとしか思えない。
可能性としてはThreadripperをZen2で、という事ならあるかもしれないが、出た所で私のように普通にパソコンを使う人には関係がない。
さて、では何故こんな事になったのか。
それはやはりArF液浸露光での7nmではこれが限界だったと私は考える。
まあ7nmなFinFETを作るまでは良いとしよう。
しかし問題は配線だ。
7nmではただでさえエレクトロマイグレーションの問題で困難になった配線が、すでに14nmクラスでも図面通りに回路を作る事が難しいArF液浸露光でどの程度のモノが出来るのか、という事だ。
現在のように微細化が進んだ回路を作ろうと思うと、ArF液浸露光では配線の太さが図面上では一定なのに場所によって太かったり細かったりになってしまう。(もちろん色々工夫して出来るだけ図面通りに出来るようにはしている)
だが太くても細くても問題が出るのが現在の極限まで微細化された半導体回路だ。
特に細くなれば電気抵抗が増えて信号の遅延、そしてエレクトロマイグレーションが進行しやすくなって断線、という二重の問題が起きる。またそれ以前に不良率もハネ上がるだろう。
もちろん、比較的高い電圧を扱う部分だけ配線ピッチを広く取って配線の太さを確保する事も不可能ではないと思う。しかしそれをやるメリットよりもデメリットの方が大きいと思う。製造がより難しくなるのは目に見えているし、ダイ面積も大きくなってしまうからだ。
そしてサーバー向けのRomeの場合マルチダイで8個もCPUダイを載せるなら、1個か2個のダイで済ませるはずのRyzenとはワケが違う。重複するIOが占めるダイ面積もバカにならないはずだし、キャッシュやメインメモリを各々のダイが共有するための仕組みだって複雑になる。
だったらコストを無視してもこれらをCPUダイの外に出す意味が出てくるワケで、結果今回のCPUダイ8個+IOダイ1個という構成になったのだろう。そうでなければAMDは今頃「ArF液浸露光で7nmのCPUは作れません」と言っているはず(なワケないか)。
そもそもRomeが16コアのダイ4個ではなく8コアのダイを8個という構成にして来たのも、ArF液浸露光の7nmプロセスでは16コアのダイを作る事が「開発期間の延長は出来ない」事と「歩留まりを一定以上にする事が難しくなる」という二つの意味で無理だったからと思える。(現在のAMDは一見すると経営も黒字化して順調に見えるが、今Romeの出荷が遅れるとヘタをすれば倒産もあり得ると私は考えている)
要はRomeを8+1ダイ構成で製造し、来年販売開始するというのはある意味時間稼ぎなのだ。
このように考えると、もうZen2のRyzenが2019年に出る事は無い、としか思えない。
少なくとも今のAMDにRyzenだけ7nmで別設計のダイを用意する余裕などあるはずもない。過去にサーバー用と一般向けに別のダイを用意しないとAMDははっきり言っているし、ましてやIOを14nmで別ダイにしなければならないような、7nmプロセスとして完成度が低いArF液浸露光である。
さらに言えばIOを分離するなどという、どうみてもコストが高くつく離れ業が可能なのは、高価でも性能さえ良ければ売れるサーバー向けだから可能なのであって、安くなければ売れない一般向けCPUに採用可能な技術ではない。
さらにさらに、もっと言えば現在のTSMC ArF液浸露光の7nmリソグラフィは、とてもじゃないが4Ghzを超える動作周波数で動くCPUには使えないと私は思う。サーバー用の精々2Ghz~3Ghz以下で動く超多コアCPUだから売り物になるCPUが製造できるのだ。
つまり、7nmのRyzenが出るのはEUVを使った7nm+で量産体制が整うまで無理。
別の言い方をするとZen2のRyzenは出ない。
そういう事だ。
とはいえ、Ryzenが来年も今のZen+のまま、というのもどうかと思う。
16コアのCore i9 9900Kが出た以上、今のままでは利益率の高いハイエンドCPUの売り上げに大きな影響が出るからだ。
そう考えればもしかすると、Zen2で改良された点を盛り込んだ12nmのZen++みたいなのが出る可能性はあるかもしれない。
もちろん製造に使われる12LPも、現行製品より動作周波数が上がるように改良されなければならないが。(12LPと言っても配線ピッチは14LPPとまったく同じだから、なんとなく改良の余地はありそうな気がする)
これなら旧製品の改良という位置付けで過去の発言にあった「別ダイは用意しない」事に矛盾しないし、製造キャパシティの逼迫が言われているTSMCへの負担もなくGFで現在製造されているZen+の製造ラインをそのまま使えるからだ。
これはあくまで私の想像に過ぎないが、Ryzenに関して今のAMDにはもうそれ以外に打つ手は無いように見える。
というわけで、Zen2と来年のRyzenに関しては情報が少なすぎて想像する以外に出来ない事が多いが。
本当に、来年のRyzenはどうなってしまうのだろうか。
どうか、私の想像が悉く外れてくれますように。
これについて私の調べられる範囲で情報を集めて色々考えてみたが、どうもZen2を使ったRyzenは出ない可能性が高いように思えてならない。
未確認ながら2019年内にZen2なRyzenは出す計画がないという情報もあって、やはりIOを別ダイにするのは一般向けではコスト的に無理があるとしか思えない。
可能性としてはThreadripperをZen2で、という事ならあるかもしれないが、出た所で私のように普通にパソコンを使う人には関係がない。
さて、では何故こんな事になったのか。
それはやはりArF液浸露光での7nmではこれが限界だったと私は考える。
まあ7nmなFinFETを作るまでは良いとしよう。
しかし問題は配線だ。
7nmではただでさえエレクトロマイグレーションの問題で困難になった配線が、すでに14nmクラスでも図面通りに回路を作る事が難しいArF液浸露光でどの程度のモノが出来るのか、という事だ。
現在のように微細化が進んだ回路を作ろうと思うと、ArF液浸露光では配線の太さが図面上では一定なのに場所によって太かったり細かったりになってしまう。(もちろん色々工夫して出来るだけ図面通りに出来るようにはしている)
だが太くても細くても問題が出るのが現在の極限まで微細化された半導体回路だ。
特に細くなれば電気抵抗が増えて信号の遅延、そしてエレクトロマイグレーションが進行しやすくなって断線、という二重の問題が起きる。またそれ以前に不良率もハネ上がるだろう。
もちろん、比較的高い電圧を扱う部分だけ配線ピッチを広く取って配線の太さを確保する事も不可能ではないと思う。しかしそれをやるメリットよりもデメリットの方が大きいと思う。製造がより難しくなるのは目に見えているし、ダイ面積も大きくなってしまうからだ。
そしてサーバー向けのRomeの場合マルチダイで8個もCPUダイを載せるなら、1個か2個のダイで済ませるはずのRyzenとはワケが違う。重複するIOが占めるダイ面積もバカにならないはずだし、キャッシュやメインメモリを各々のダイが共有するための仕組みだって複雑になる。
だったらコストを無視してもこれらをCPUダイの外に出す意味が出てくるワケで、結果今回のCPUダイ8個+IOダイ1個という構成になったのだろう。そうでなければAMDは今頃「ArF液浸露光で7nmのCPUは作れません」と言っているはず(なワケないか)。
そもそもRomeが16コアのダイ4個ではなく8コアのダイを8個という構成にして来たのも、ArF液浸露光の7nmプロセスでは16コアのダイを作る事が「開発期間の延長は出来ない」事と「歩留まりを一定以上にする事が難しくなる」という二つの意味で無理だったからと思える。(現在のAMDは一見すると経営も黒字化して順調に見えるが、今Romeの出荷が遅れるとヘタをすれば倒産もあり得ると私は考えている)
要はRomeを8+1ダイ構成で製造し、来年販売開始するというのはある意味時間稼ぎなのだ。
このように考えると、もうZen2のRyzenが2019年に出る事は無い、としか思えない。
少なくとも今のAMDにRyzenだけ7nmで別設計のダイを用意する余裕などあるはずもない。過去にサーバー用と一般向けに別のダイを用意しないとAMDははっきり言っているし、ましてやIOを14nmで別ダイにしなければならないような、7nmプロセスとして完成度が低いArF液浸露光である。
さらに言えばIOを分離するなどという、どうみてもコストが高くつく離れ業が可能なのは、高価でも性能さえ良ければ売れるサーバー向けだから可能なのであって、安くなければ売れない一般向けCPUに採用可能な技術ではない。
さらにさらに、もっと言えば現在のTSMC ArF液浸露光の7nmリソグラフィは、とてもじゃないが4Ghzを超える動作周波数で動くCPUには使えないと私は思う。サーバー用の精々2Ghz~3Ghz以下で動く超多コアCPUだから売り物になるCPUが製造できるのだ。
つまり、7nmのRyzenが出るのはEUVを使った7nm+で量産体制が整うまで無理。
別の言い方をするとZen2のRyzenは出ない。
そういう事だ。
とはいえ、Ryzenが来年も今のZen+のまま、というのもどうかと思う。
16コアのCore i9 9900Kが出た以上、今のままでは利益率の高いハイエンドCPUの売り上げに大きな影響が出るからだ。
そう考えればもしかすると、Zen2で改良された点を盛り込んだ12nmのZen++みたいなのが出る可能性はあるかもしれない。
もちろん製造に使われる12LPも、現行製品より動作周波数が上がるように改良されなければならないが。(12LPと言っても配線ピッチは14LPPとまったく同じだから、なんとなく改良の余地はありそうな気がする)
これなら旧製品の改良という位置付けで過去の発言にあった「別ダイは用意しない」事に矛盾しないし、製造キャパシティの逼迫が言われているTSMCへの負担もなくGFで現在製造されているZen+の製造ラインをそのまま使えるからだ。
これはあくまで私の想像に過ぎないが、Ryzenに関して今のAMDにはもうそれ以外に打つ手は無いように見える。
というわけで、Zen2と来年のRyzenに関しては情報が少なすぎて想像する以外に出来ない事が多いが。
本当に、来年のRyzenはどうなってしまうのだろうか。
どうか、私の想像が悉く外れてくれますように。