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QLC NAND のSSDについて考える [SSD]

先日私は以下の記事を書いた。

QLC NANDのSSD「Crucial P1」
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2018-10-28

記事のネタになった「Crucial P1」は非常に大容量のSLCキャッシュを持っているが、当初私はこのSLCキャッシュが全て、或いは一部が専用の領域として確保され、表記された容量よりもキャッシュ分多いQLC NANDが搭載されていると考えていた。

何故そう考えたかというと、そうでなければユーザー領域、つまり実際にデータを保存出来る領域がSLCキャッシュとして取られてしまう分、減ってしまうからだ。

しかし実際はそうではなく、現在QLC NANDを採用するSSDのSLCキャッシュ技術はユーザー領域の一部をSLCモードで動作させるそうだ。
つまり、Crucial P1の容量が1TBならば、SLC領域が140GBなので単純計算でQLCの場合の4倍、560GBがSLCキャッシュとして取られている事になる。(もしかするとそれとは真逆に全容量の内140GB分がSLCキャッシュで、SLC動作させると35GBのキャッシュになるのかもしれないが)

この情報の出所はこちらだ。

QLC技術を駆使する超大容量NANDフラッシュの性能向上技術
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/1150305.html


この記事にはSLCキャッシュ技術について書かれた部分があり、それによるとSLCキャッシュ技術は第0世代~第二世代まであって、QLC NANDを採用したSSDの場合は第一世代と第二世代が使われているらしい。

第一世代はSLCキャッシュとして取られた領域にまでファイルの書き込みが必要となった場合、いきなりSLCバッファがゼロ又は極めて少量になるという。

こうなるとSSDへの書き込み性能と耐久性は一気に下がる事になる。そこで第二世代では、QLC領域として確保された容量が減るに従い、段階的にSLC領域を減らしていく方式になったようだ。

ただしこれは性能低下が一気に来るか、徐々に来るかの違いでしかない。どちらの世代が使われるにしろ、SLCキャッシュが減ったりゼロになれば、性能と寿命がいきなり落ちる事になるだろう。

要は、SLCキャッシュが無くなって性能の低下を感じたら、SSDをより大きな容量のモノに買い替えが必要なサインだと思う必要があるという事だ。


いずれにせよ、「Crucial P1」の場合全容量の半分前後が、新品の状態ではSLCキャッシュとして取られている。

耐久性の目安であるTBWが500GBで100TBW、1TBで200TBWというのは、このSLCキャッシュが生きている状態で利用されている事が前提であるはずで、容量の半分以上を使ってしまった状態のまま使い続ければ寿命の残りは加速度的に減っていく事は間違いない。

この事は今後出てくるQLC NANDを採用したSSD全てに共通する事実だと私は考える。

「Crucial P1」よりも先に販売が始まった、Intel製「660p」の場合でも1TBモデルの書き込み寿命は200TBWである事から、SLCキャッシュが表記された容量の一部を使うSSDであれば例外なく、同様の傾向である事は確実だ。

このIntel「660p」の場合、書き換え回数が約200回となっているが、これもSLCキャッシュを最大限利用した場合の書き換え回数であると思われる。従ってIntelとMicronがSSDに採用するQLC NAND(IMFT製)は、QLCとして動作させた場合100回未満、二桁の書き換え回数しか望めないと予想する。

QLCは二桁というのは思ったよりも少ないが、同じIntel製のSSD(600p)はTLCで576回という数字が出ているので、この予想は間違っていないだろう。


ちなみに、SSDの耐久性指標である“TBW”というのはJEDECの規格で決まったデータ保持時間をクリア出来る条件を満たす上限の書き込み容量であり、一般向けとサーバー向け(エンタープライズとか業務用と言われる)で設定されたデータ保持時間が違う。

このデータ保持時間は、一般向けは保管温度が30℃で1年、サーバー向けが40℃で3ヶ月と決まっている。
NAND Flashのデータ保持時間はデバイスの温度が低いほど長く、高いほど短いという特性を持っている。日本の平均気温を考えるともう少し寿命が延びそうであるが、一方で書き込み時の温度が低いほど劣化が早まるというデータもあり、一概には言えないかもしれない。(まあ夏場気温が35℃を上回る時もあるので、夏になったらいきなりSSDに保存してあったデータが壊れた、という事が起きそうだが)


少し脱線したので、QLC NANDのSSDに話を戻す。

以上の事から、QLC NANDの性能は過去に予想された通りのものだったと理解出来た。

そしてSSDとしての速度と信頼性の確保には、QLC NANDの一部をSLCキャッシュとして動作させる事で補っている事も確実だ。

さらに、SLCキャッシュは新品のときSSD全体の容量の内かなりの割合、恐らく半分前後が割り当てられる事が普通になりそうで、その関係もあって500GB未満の容量でQLC NANDを採用するSSDはあまり出ないかもしれない。

このため、大容量であるゆえに容量の半分以上データが書き込まれるケースはそれほど多くは無いと思われる。

この場合速度と寿命はMLCやTLC採用のSSDとそん色ないものが得られると予想される。


以上の事から簡単にまとめると、QLC NANDを採用したSSDは、容量の半分以下で使う場合に限り性能と寿命が期待値となるので、あまりたくさん書き込みすぎないほうが良い、という事になる。今の所は。今後別のメーカー製QLC NANDを使った新しいSSDの登場によって話がまったく変わる可能性を考える必要がある。

ノートパソコン等で複数のストレージを内蔵できない場合、大容量のSSD一台で全てを賄う事が多いだろうが、調子に乗ってデータを溜め込むと悲惨な目に遭う可能性があるという事だ。

またOSのゴミファイルやダウンロードしたファイルなどが溜まって数百GBという容量にまで膨らむ人も中には居るので、そういう人はこまめに不要なファイルの削除や整理が必要になるだろう。気付いたらSSDの容量が残り1割を切っていた、という事になるような場合、QLC NAND採用SSDは書き込み速度低下を起すはずだから、その時は消えたら困るデータを一旦全てバックアップしてから不要なファイルを全て削除し、可能ならSSDの健康状態を「CrystalDiskInfo」等で確認した方がいい。

もしSMARTの値に異常があったら即座にSSDを交換した方が良いのは言うまでもない。



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ThunderbirdでOutlook(hotmail)を使う2018年11月版 [ソフトウェア]

一昨日Thunderbirdでメールを受信しようとしたところ、Outlook(旧hotmail)のみメールが受信出来なくなっていた。

Micro$oftが運営するこのWebメールサービスは、短期間で仕様変更を繰り返すために度々このような事が起きる。今回は一体何が変わったのか調べてみた。


OutlookのWebページにアクセスすると以前記事に書いた時と比べてユーザーインターフェイス(UI)が大幅に変更されているが、一体以前の何が気に入らなかったというのだろうか。私の場合はメールクライアント(Thunderbird等のメールソフト)で使う場合の設定をするだけで他の機能は使わないので、最初だけ一通り確認して設定を済ませればまったく不要なものだ。だからUIの変更はある意味大した影響は無いが、それでも変更される度に必要な項目を探すのが非常に面倒だ。

というわけでThunderbirdで使うための設定項目を探す。

まずはWindowz10を使っている方ならばおなじみの、スプラインが描かれたアイコンをクリック。
ol2018_01.png

次に現れたメニューの一番下にある、「Outlook のすべての設定を表示」をクリック。
ol2018_02.png

次に「レイアウト」メニューの「メールを同期」をクリック。
ol2018_03.png

すると「メールを同期」の下の方に「POPとIMAP」とあるので、POPで受信したい場合は「はい」を選択、ThunderbirdでしかOutlookを使わないのなら「アプリやデバイスによる Outlook からのメッセージの削除を許可します」も選択しておく。
ol2018_04.png

最後はメールクライアントの設定情報が書かれているので、Thunderbirdの設定をこれらに直しておく。

以上。他の項目は特に触る必要も無いが、興味があるのなら一通り目を通しておくといい。時間の無駄だが。


なお、古い設定のままでもメールの受信が出来る事は一応確認している。(こちらは別のパソコンで確認)

トラブルが出ていないのならば新しい設定に変える必要も無いが、放っておくといつかは利用できなくなるので、気付いたのならば早めに設定を最新の状態に改めておくべきだ。

それから設定を変えてもサーバーに接続できない場合、パソコンを再起動してみるといい。

私の場合はそれで問題なく接続出来るようになり、メールの受信も可能になった。

ただ、パスワードの入力を要求されるので、パスワードを忘れてしまった人はそこで詰む。

パスワードの管理はしっかりやっておこう。



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