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純中国製ビデオカード [ハードウェア]


一昨日「兆芯」の話題を記事に書いたが、ネタとなった記事を掲載するPC Watchに同日こんな記事が出ていた事を今日になって発見した。

DirectX対応の中国製デスクトップGPU「MTT S60」。LoLやCS:Goもプレイ可
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1399356.html


中国ではスマートフォン向けのSoCが開発されていて、その中には当然GPUが含まれる。

という事はデスクトップパソコン用のGPUを作る技術は最低限持っている事になるので、実際に開発したのが「MTT S60」というわけだ。

その「MTT S60」に使われるGPUコアは「蘇提」といい、記事中に書かれたスペックをまとめるとこんな感じになっている。

アーキテクチャ 第一世代 MUSA
製造プロセス 12nm
MUSAコア数 2,048
単精度浮動小数点 6T FLOPS
フィルレート 192G Pixel/s
メモリ LPDDR4x 8GB


これらのスペックに加えて、近年必須となってきた様々なハードウェアアクセラレータを搭載する。

これらには「AIアクセラレータ」「物理エンジン」が含まれており、「H.264/H.265/AV1」のエンコード・デコード機能も持つ。


実際のところ初物というまだまだ開発の余地が残るものだし、スペック的には12nmでの製造という事もあってAMDやNVIDIAの最先端GPUには遠く及ばないものであるが。

中国製の部品は「安価で性能が良い」事と、「非常に大量に供給される」という良い点を持つ。

これはビデオメモリに比較的低速だが安価なLPDDR4xが用いられている事からも想像出来る。

絶対性能では敵わなくとも、12nmで最も電力効率が高い設計と動作周波数で用いれば、数に物を言わせてそれなりの高性能を得る事も不可能ではないと私は考えている。

ましてやゲーム用のGPUともなれば、デバイスドライバの作り方次第でゲームのフレームレートをスペック以上に引き上げる事も不可能ではない。

もちろん、その場合引き換えに多少の画質低下を伴うが、この問題はゲームに支障が無い程度に抑える事は可能なはずだ。

その結果が“フルHD解像度の環境下において、eスポーツゲームに耐えうる性能を実現”という主張につながってくるのだと思う。(とはいえ中国企業の言う事なのでかなり盛った話かもしれないが)


日本人の多くが中国が持つコンピュータに関連する技術を侮っていると思うが、これは見方によって変わる。

中国が劣るのは自国内に最先端の製造技術を持たないため、TSMCなどに外注しない限り最先端技術を駆使したハイエンドチップの設計が出来ないというだけ。

そこそこ高性能な製品を枯れた1~2世代前の微細化技術で製造するノウハウは世界トップクラスであり、またこうしたそこそこの高性能を最大限引き出して利用する技術とノウハウは世界一だと思った方がいい。

実際それで中国製スマートフォンのシェアは世界一だし、ドローンなどでも世界一の技術を持っている。

非常に安価ではあるが、いくつか不足があり、しかし実用上大きな問題にはならない。

こうした“モノ”に対する需要は大きい。

IT化された生活用品はもとより、軍事用の兵器などでもこれは同様だ。

さらに、最先端技術の獲得には非常に貪欲であり、世界各地の大学や研究室でも中国人は大活躍している。

したがって、いつか純中国製のビデオカードがAMDやNVIDIAを上回る性能を持ち、世界を席巻する未来も十分に可能性がある。

まあ、10年前とは状況が違うので、そう易々とその座を得ることは叶わないと思うが。


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