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本当のロータリーエンヂン [クルマ]

今世紀の日本人にとって、ロータリーエンヂンと言って思い浮かぶのは、三角オムスビがマユ型のローターハウヂング内をゴロゴロと回る、“ヴァンケル式ロータリーエンヂン”であると思う。(というか「ロータリーエンジン」自体が忘れ去られて久しい)

この“ヴァンケル式ロータリーエンヂン”についての説明は、以下のWikipediaに丸投げする。

ロータリーエンジン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3


だが、それよりはるか昔、本物のロータリーエンヂンは存在した。

その本物のロータリーエンヂンとはどういう物か、想像出来る人は数少ない。

それは・・・


クランクシャフトが固定されていて、エンヂン本体が回転するエンヂンなのだ!!!


クランクシャフトが固定されていて、エンヂン本体が回転する。

一体何をどう考えたら、そんな奇怪・・・いや、機械が創造出来るのか。

今現在の、エンヂン=クランクケースが車体(或いは機体又は船体等)に固定され、クランクシャフトから動力を取り出す形態しかイメージ出来ない人にとっては、一体エンヂン本体が回転して、どうやって混合気を供給し、点火プラグに火花を飛ばすのか、という疑問が湧くと思う。(というかそれ以前に・・・以下略)

だが、今から100年以上前に発明されたロータリーエンヂンと云うモノは、エンヂン本体が回転する内燃機関であったのだ。


本物のロータリーエンヂンは、初め航空機用のエンヂンとして開発された。

当時はシリンダーとシリンダーヘッドに細かいフィンが多数刻まれた空冷式が普通で、エンヂンが前に進む時に空気がフィンに当たる事で余剰熱を除去し、オーバーヒートを防いでいた。

航空機用となれば尚更、地上を走るクルマより大きく重い機体を加速させ、空中に浮かび上がらせるために相応の大馬力を必要とする。

となればエンヂンは大型化し、エンヂンが発生する熱も大きく増える。
(第二次世界大戦の頃など数十リットルの排気量で1000~3000馬力以上の大きなエンジンが普通にあった)

一方で当時のエンヂンは潤滑機構・油脂の性能含め今ほど発達しておらず、速度が遅いうえにプロペラからの風もエンヂンの冷却にいささか心許ない状況。

そこで当時の技術者は考えた。

エンヂンを冷やすためにもっと風を当てたい。

だったら、エンヂン自体を回せばいいぢゃないか!!!!

こうして出来たのが、本物のロータリーエンヂン。(ホントかよ。)

普通はエンヂン本体を機体に固定しクランクシャフトにプロペラを取り付けて回すのを、クランクシャフトを機体に固定してエンヂン本体≒クランクケースにプロペラを取り付けて回すのだ。

今現在でも西洋で一般にロータリーエンヂンと言えばこのエンヂン本体が回転する物を指す。

日本人がロータリーエンヂンと言うのは、アチラではヴァンケルエンヂンと云うらしい。


ちなみに、私の知る限りロータリーエンヂンは「主に」航空機用でしか存在しないが、一例だけ地上を走る自動車に採用された実績がある。(この記事を書いた後にWikipediaを見たら他の例もあるらしい事を知ったが・・・)

しかもそれは・・・

FFのオートバイなのだ!!!

彼の迷車は「メゴラ」という。

二輪車のFFなので、なんと前輪の内部にエンヂンを搭載。つまりイン・ホイール・モーターの元祖だ。

しかも星形五気筒なのである!!!

現在の一般常識では、普通ならブレーキが存在するフロントホイールハブがそのままクランクケースになっている。(従ってブレーキ装置は後輪にしか存在しない)

キャブレターはフロントフォークに固定され、アクスルシャフトを兼ねた中空のクランクシャフト内を混合気が通過して各シリンダーに供給される。

こんな構造なのでガソリンはフロントフォークに備え付けられたサブタンクから重力でキャブレターに送るが、サブタンクへは車体側のメインタンクから手動式のポンプで汲み上げなければならない。

定期的に手でポンプを操作しないとガス欠でエンヂンが止まってしまうのである。

さらに!!!!

クランクシャフトがフロントフォークに固定され、エンヂン本体がホイールと共に回転するため、車体が停止する=エンヂンも停止(当然クラッチなど無い)である事から、一般公道の走行は不可能に思えるのだが。

当時の記録によると元々競技車両として生産・販売された後に公道仕様も量産されて、一般道を走っていたらしい。

競技車両ならば一度走り出せばゴールまで止まる事が無いから良いが、一般道ではどうしていたのか。

まあ当時は信号機も無い時代。

交差点を通過する時は、一時停止など不要だったのかもしれないが・・・


まあそんなワケで。

私の中ではロータリーエンヂン=エンヂン本体が回るモノという認識が形成されている。
(一般常識としてロータリー=マツダの図式を覆すほどではないが)

え?何故唐突にこんなネタを出したのかって?

それは先日この記事を見たから。


いま再びマツダの水素ロータリーエンジンへの期待「REは水素燃料と相性が良いのか?」
https://motor-fan.jp/article/10016010


今、電気自動車に関する不都合な真実が改めて注目されつつあり、水素を燃料とした内燃機関が再び脚光を当てられているらしい。

ロータリーいいよね、ロータリー。

出た当時は往復運動が無い効率の良いエンヂンであり、夢のような未来を想像させたというロータリー。

無知な一般人が夢想した夢は、夢のまま終わってしまったが・・・

かつては世界中の自動車メーカーがこぞって実用化に向けた研究開発を行ったが、実用化して市販車に搭載したメーカーはドイツのNSUに日本のマツダとスズキ、そしてイギリスのノートンだけ。(スズキとノートンは二輪車に搭載して市販。Wikipediaではソ連製のロータリーの説明があるが知らん、試作車をそのまま市販したような有象無象も無視、他に航空機用や模型用も市販されているが一般的でないため除外する)

その内本当の意味で実用化した、と言えるのは事実上マツダだけで、しかもそのエンヂンで世界各地のレースに勝っている上にル・マン24時間耐久レースで総合優勝までしている。

それが今度は、20年以上前に開発していた水素ロータリーが再び注目を浴びているという。

私は、内燃機関こそが自動車の動力としてベストであると信じているが。(これはロマンとかいう曖昧なモノではない)

水素は太陽光発電で水を電気分解すれば大量生産&貯蔵も可能であるし、燃やしても水しか出ない。

電気自動車が抱える電池の生産・廃棄とリサイクルという、極めて重いエネルギー消費の足枷も無い。
(さらに言えばモーターや電気系統も一般の内燃機関より生産とリサイクルに多大なエネルギーが必要)

やっぱりこれからは水素エンジン(或いは現行内燃機関でも使えるゼロエミッション燃料)の時代だと、思いたい。


参考:

ロータリーエンジン (初期航空機)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3_(%E5%88%9D%E6%9C%9F%E8%88%AA%E7%A9%BA%E6%A9%9F)

メゴラ
https://duckduckgo.com/?q=%E3%83%A1%E3%82%B4%E3%83%A9&iax=images&ia=images



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