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タップハンドルを買った [工具・ねじ]

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パソコンを自分で組み立てる場合、一般にプラスドライバーが一本あれば大抵の目的が叶う。

だが慣れて来るとドライバーの種類が増え、その内に他の道具も欲しくなってくる。

そして組み立てだけに飽き足らずケースの加工や部品の自作まで始めるようになると、金属板に穴を空けるドリルやテーパリーマ、ハンドニブラが欲しくなり、ねじ山を作るための“タップ”にまで手を出す。

今回はその“タップ”を回すための道具である、タップハンドルを買ったお話。


私はこれまでいくつかタップハンドルを所有しながらも、マトモな物は自動車整備に必要なM5~M12程度のタップを回す中型の物だけで、M4以下の小径タップ用には粗悪なタップハンドルしか持っていなかった。

その小径タップ用のタップハンドルはパソコンの部品を作る時にも使うが、パソコンに使われる「M2、M3、M4、UNC#6」といった小さなねじ山を切るには粗雑かつ使いにくいもので、それでも使用頻度を考えると高級品を買うまでもない、と今までずっと安物でガマンしていた。


安物のタップハンドルがどのように使いにくいかと言うと、固定式ハンドルの物はハンドルが固定されているので繰り返して回すのにいちいち持ち替える必要があり、ラチェット式と比べてタップを垂直に保つ事により多くの神経を使うし、ねじ山を切るための作業時間も多く必要になる。

そして持ち替えが必要ないラチェット式の物は、回転軸とタップを掴む部分の中心線が平行ではないのでタップが偏心して回転するため、タップを垂直に保つ事が難しい。

そこでもう道具を良い物にするしかない、と結論した私は先日思い切って、昔M6以上のタップ用に買った物と同じメーカーの製品を注文した。

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今まで持っていた物と新しく買った物を並べた。(他にもっと大きな物もあるが)
左が30年以上前に買った物、中央が今回買った物、右が安物、下は固定ハンドルの物

「Schroder」というブランドのドイツ製タップハンドルで、30年以上前に買った中型の物は買った当時ドイツが東西併合する前だったので、今は存在しない国である「西ドイツ製」となっている。

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古い方は“MADE IN WEST GERMANY”、新しい物は“MADE IN GERMANY”と刻印されている。

この「Schroder」のラチェット式タップハンドルは、非常に軽いラチェットのクリック感とガタの少ない回転の滑らかさが特徴。

とても使いやすくて、昔からある両手で扱うタイプのハンドルでは苦行に近いネジ切りが、このラチェット式ハンドルならば作業が楽しくなるほどで、これに切れ味の良いスパイラルタップを組み合わせると作業がとても捗る。

一方で安物のラチェット式タップハンドルは、ラチェットの粗雑なクリック感はともかく、タップを掴む部分とラチェットの回転軸が平行ではないのがあまりにもダメ過ぎる。

先に挙げた小さく解像度も悪い写真でもはっきり見えるが、胴体とタップを掴む部分の境目がナナメになっているのがわかると思う。
当然にこんなのでタップを回すとブレてしまうので、M2やM3程度の小さなねじを切ると正確な形状にならずねじ山の強度が落ちてしまう。

まあ、今後は繊細さが必要な小径のねじ山を切る場合、新しく買ったSchroderのラチェット式タップハンドルを使う事になるため、タップが垂直の状態を保つために使う神経が多少が緩和されて、パソコン関係の部品を自作する時のねじ切りがもっと楽になるだろう。


ところが。

新しく買った物をパッケージから出してラチェットの動作を確認すると、古い物と同じメーカー製とはとても思えない、ぎこちない動きをする事に気付いた。

ラチェットのクリック感に引っ掛かりを感じるし、回転が重くてまったく滑らかさを感じない。

そこですぐに分解して中を改めると、まず油の類がほとんど塗られていなかった。

さらに部品を一つ一つ外すと、作りの粗さが目に付く。

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分解した部品を並べてみた。

プレスで打ち抜いた部品は断面が荒く、指で触ると微細なバリが残っている事がわかる。

回転軸の切削加工されたラチェットの溝は加工が荒く、まるで中国製の安物に近い。

そして最後に気付いたのが、ハンドルの棒が抜けにくくなるようにするための、バネで押されるボールの位置。

古い物は本体のローレット加工された“つまみ”の方に付いているが、今回買った物はラチェットの回転軸にバネが入っていて、これでボールを押している。これではバネの力で回転軸が押されるので、摩擦抵抗が発生して回転が重くなるのも当然だ。

この構造は部品の加工工程を省略してコストダウンにはなるが、ラチェットの回転が重くなるので小径ねじのねじ切りには都合が悪い。

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ハンドルの抜け止め用ボールの位置が新旧(大小?)で違うおかげで回転が重くなった。

これが大きさに関係なく新しい物全てに採用された構造なのか、それとも昔から小型の物は全てこうなのかはわからないが。

なんにせよこのような状態では使う気になれないので、バリをヤスリで落とし、各部にグリスを塗って組み立てなおした。

おかげでラチェットの引っ掛かりはかなり軽減されたが、それでも古い物の滑らかさには遠く及ばない。

また、回転の重さも多少緩和されたものの、それでもM2のねじ切りにはまだ重すぎるかもしれない。


今までM6以上のねじ切りに使っていた物と同じ「Schroder」なら、と期待していただけに非常に残念だ。

中型の物と同じ位置にハンドルの抜け止めボールを移動する加工をしたいという欲求が沸き起こるが、どうしたものか。

まあ、その気になったらやってみよう。


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