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TSMCがEUVによる大量生産開始、だがしかし [ハードウェア]

TSMCがEUVによる大量生産を開始した、というニュースが出ている。

TSMC、EUV露光による7nm製品を他社に先駆け量産開始
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1211607.html

TSMCのEUVによる7nmチップ(以降EUV 7nm)の生産は今年に入って始まったが、いよいよ本格的に生産を開始したワケだ。


だが、しかし。

大量とは言うが、その規模はどれほどのものなのか。

来年末にはPS5の発売も控える中、最大の顧客と思われるAppleのチップ生産が最優先される事は明白。

恐らく現在のEUV 7nmはAppleが大半を持って行く。

製造ラインの拡充は現在進行形で行われているだろうが、AMDのチップ生産を始める時に需要を満たすだけの生産が可能かどうかはわからない。


一方で他のEUV 7nmを必要とする大口顧客は少なくないと思う。

AMDやNvidiaが真っ先に思い浮かぶが、他にもQualcomや中国のスマートフォン用チップメーカーがAMD以上の大量注文を入れてくるに違いない。

AMDはPS5用のチップが1年後に最低でも百万単位(PS4が初出荷から2週間で210万台売れている)必要なうえ、これと前後してZen3やZen2 APUのチップも製造してもらわなくてはならない。(Radeon は需要の絶対数が少ないので考慮しない)

ArF液浸プロセス用製造ラインを需要減少に合わせててEUV 7nmに転換したりしているのだろうが、そもそもEUV露光装置の数にも限りがあるわけで、そうした面から見ても心配事は尽きない。


しかもパソコン用のCPUやGPUは一般にスマートフォン用よりもチップ面積が大きい。

最近はスマートフォン用もハイエンド機種を中心に大型化が進んでいるが、それでも100~150平方ミリ(ミドル~ローで70~100)程度で、比べるとPS4やXBOX用APUが約350平方ミリ、初代Ryzenが213平方ミリ、初代Ryzen APUが210平方ミリと大きい。

GPUに至っては7nmのVegaで331平方ミリ、NAVIでは約280平方ミリとCPU/APU以上の大きさである。

チップが大きければウエハ一枚から採れる数も減る。

工場の生産能力=ウエハの生産枚数なので、AMDに割り当てられた月産ウエハ枚数が他の顧客と同じだとしても、生産出来る製品の数はずっと少なくなるはずだ。


まあそんなワケで、AMDの運命は今から半年~1年後くらいにTSMCのEUV 7nmでの製造能力がどうなっているかが鍵となるが。

なんとなくだが、PS5用が優先されてRyzenは後回しになる気がしてならない。


参考:

「プレイステーション 4」世界累計210万台の実売を達成
https://www.jp.playstation.com/info/release/nr_20131203_ps4_global_sales.html


モバイルSoCのダイサイズの変遷(記事中の図を参照)
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/1208397.html

Raven Ridgeのダイ(記事中の図を参照)
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/1099905.html

Radeonのダイサイズ変遷(記事中の図を参照)
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/1187758.html

AMD製CPUのダイサイズ変遷(記事中の図を参照)
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/kaigai/1047507.html



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