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QLC NANDのSSD「Crucial P1」 [SSD]

昨日、MicronのCrucialブランドからQLC NANDを採用したNVMe SSD「Crucial P1」が販売開始された。

Crucial P1は最低容量が500GBから、その上が1TBと2TBの3種販売される予定で、今回販売開始されたのは2TBを省く2種。

以前私は「QLCって本当に大丈夫なのか」という記事を書いたが、スペックを読む限り懸念は現実のものとなったようだ。


その具体的な例の一つは、耐久性が500GBでたったの100TBW、1TBで200TBWである事。
これは500GB以下のモデル、240GBとか120GB等が存在しない理由でもある。
要するに小細工で寿命の減少を多少緩和させたとしても、根本的な書き換え回数の上限が増えるわけでは無いので、容量でそれを補う設計であるという事だ。

そして一般的な使い方とされるデータでは、SSDに保存されるファイルの8割が一旦書き込まれるとほとんど書き換えられないというものがあって、書き換えが頻繁に行われるのが残りの2割ならば500GBの容量で100TBWもあれば耐久性が低い問題は十分に隠蔽可能であるという事か(後述のSLCキャッシュがTBW確保にかなり効いている事も確実であると思われる)。

ちなみに同じCrucialのMX300は525GBで160TBW。差は歴然である。


そして二つ目、読み書きの性能が落ちるという事。
500GBで90000IOPSの読み込み速度はMX300の525GBで92000IOPSなので、若干落ちる位か。
一方書き込みは220000IOPSとなっているが、これはSLCキャッシュの効果である。驚くことにCrucial P1は500GBモデルで55GB、1TBモデルで140GBものSLCキャッシュを持つという。要はこのキャッシュがあふれない限り、SLCキャッシュの持つIOPSが保証されるという事だ。
※2018/11/02追記、SLCキャッシュはQLC NANDの一部をSLCモードで動作させているため、SLCキャッシュの容量分QLC領域は減る。例えば1TBで140GBならばQLC領域の半分以上、560GB分がSLCキャッシュとして取られる。なお、QLC領域の減少と共にSLCキャッシュは減っていく(これは第二世代の場合。第一世代と呼ばれるSLCキャッシュ技術の場合、設定されたキャッシュはQLC領域がSLC領域と重複する段階でいきなりゼロになって大幅な書き込み性能低下を起す)ので、1TB全てがデータで埋まるとSLCキャッシュもゼロになる。

なので、もしCrucial P1に引越しで他のSSDやHDDから大量に書き込みが行われた場合、SMR採用HDDのようにある段階から急激に書き込み速度が落ちる可能性がある。

とはいえキャッシュは55GBや140GBの容量である。
HDDやSSDのクローンのような、数十万の細かいファイルを100GB以上書き込むようなケース以外でそんな事は起きない。

本質的な問題は解決されていないとはいえ、今までの感覚ではありえない大容量キャッシュのおかげで書き込み性能は担保されていると言えるだろう。


最後は価格について。

初物という事もあってそれほど安くはない。NVMe対応の中では安価であるとはいえ、TLCの他製品と比べ1割強安いだけならばQLCを選ぶ理由として弱い。

とはいえ値下がりするのは時間の問題だ。数ヵ月後にどの程度まで下がるか見守る必要はあると思う。

またSLCキャッシュの容量の大きさも、価格に少なくない影響を与えていると考えられる。 Crucial P1はQLC採用SSDとして出始めという事もあって、SLCキャッシュの量から想像するにコストを惜しまずQLCのデメリットを徹底的に潰しているように見えるが、そこまでしなければQLCなど危なくて使えないという事かもしれない。2018/11/02削除。この部分はSLCキャッシュが表記された容量のQLC領域とは別に存在する事を前提で書いたが、実際の製品では1TBのSSDなら1TBのQLC領域の一部がSLCモードで動作しているだけだった。



以上の事から私は、「Crucial P1」はQLCだからといって耐久性を心配する必要は無い、と考える。

これはメーカーが5年保証を付けている以上、相当な自信があるはずと思う。

・・・一定の条件下であれば、という条件付だが。

そして今後出てくる他のQLC SSDはSLCキャッシュが必ず備わっているはずだが、その容量に注意を払うべきだ(もちろんスペックシートに記載されていないケースがほとんどだろうと思われるが)。 この容量が少なければ少ないほど性能と寿命が落ちる。 特に寿命と信頼性を気にする人は、この辺り今まで以上に情報収集する必要があるだろう。
2018/11/02削除。この部分はSLCキャッシュが表記された容量のQLC領域とは別に存在する事を前提で書いたが、実際の製品では1TBのSSDなら1TBのQLC領域の一部がSLCモードで動作しているだけだった。


さて、今後NAND Flashを使ったSSDはどんな風に変わっていくのだろうか。

ハードディスクも一般向けにSMRが採用され始め、SMRにしろQLC NANDにしろ、かつては考えにくかったモノが一般向けに使われ始めている。

QLC NANDに限っては3年程度で確実に定期交換される業務用途ならばともかく、ヘタをすると10年位使いっぱなしの一般向けに使われる場合にはデータの保全性にどうしても疑問符が付く。

まあ、一般向けのほとんどはある日突然データが消えても、データ消失の直接被害に遭う人の気持ちはともかく業界としては大した問題にはならない事ははっきりしている。今時ユーザーファイルはクラウドストレージに同期している、なんていうのが普通になりつつあるという事情もあるのだろうが。


今の時代、かつての日本製工業製品のような過剰品質であらゆるケースでの信頼性確保など、とうの昔に時代遅れであり、特にIT関連製品は精々2~3年で使い捨てというのが当たり前になりつつある。

パソコン用のストレージも今後はこうした動きが加速していく事は明白で、こうした状況が不都合である一部の限られた人は、自分自身で対応策を確保するしかない。


Micron、“QLC NAND”搭載のNVMe SSD「Crucial P1」国内発売
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1149902.html

11/07 追記
こちらのレビューでも私と同じ結論が出ている。
また、QLC NANDのコントローラはTLCやMLCのものより計算が多く負荷が高くなりやすい傾向であるためか、SSDに負荷がかかった時の発熱がかなり多いようだ。

Micronが投入したQLC NAND採用NVMe SSD「Crucial P1」の性能をチェック
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/review/1151884.html



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