USB Type-C ケーブルは何を買えば良いのか [USB]
今年の6月にUSB 3.1の新しい仕様書が手に入るようになった(私が入手したのは7月末)事から、最近USB Type-CとUSB PDに関する製品の情報を調べている。
最新の規格では、USB PDの上位モード(5V 1.5A以上の電源供給)がType-Cケーブルを使用した場合に限られ、USB PD対応のType-AやType-Bコネクタを持つケーブル自体が仕様から削除された事が比較的目立った変化だろうか。
後はUSB 3.1のGen1(5Gbps)の場合ケーブルの仕様は従来のUSB 3.0と同等だが、Gen2の10Gbpsを利用する場合ケーブル長は最大1Mまでの制限となり、USB 3.0では実用上最大2mもあれば足りていた事から1.5~2m程度の長さが主流でケーブル長の制限を意識しなかったが、USB 3.1 Gen2の速度が必要な場合はケーブル長の制限を意識しなければならなくなった。
こうした状況の中で、USB Type-Cコネクタを持つケーブルは同じ見た目にも関わらず大きく仕様が違う製品が多数売られ、そのおかげで外見だけで判断して必要な製品を選ぶ事が困難になった。
現在売られているType-Cケーブルの種類。細かい仕様違いを全部含めると何種類になるのか考えたくない。
単に従来からあるUSB Type-Aコネクタを持つ充電器とType-Cコネクタを持つデバイス間をつなぐ場合、普通に考えれば単純に片方がType-Aでもう片方がType-Cのケーブルを買えば良いと思うのは普通だし、充電器とデバイス双方がType-Cコネクタならば両端がType-CコネクタのケーブルであればなんでもOKと思うのが普通だろう。
しかしUSB給電による充電は、単に5V 500~2000mA程度の給電で充電する最も初期の仕様と、USBの追加仕様で定められたUSB BCやQualcommのQuick Chargeに代表される急速充電規格、そして最新のUSB 3.1の規格策定でほぼ仕様が固まったUSB PDによる充電の、大雑把に3つの規格が混在する。
従って消費者は、自分の持つUSB電源装置(例えば充電器)とType-Cコネクタを持つデバイスがどの規格をサポートするのか把握し、把握した規格に合った仕様のケーブルを買う必要がある。USB PDによる専用Modeで5V 1.5A以上 ~ 20V 5Aの充電(給電)が必要なら、USB PD対応のIC チップ(E-Marker)を内蔵し、必要なら最大で5Aの電流を流せるケーブルが必要だが、現在売られているE-Marker内蔵のケーブルの大半が3A以下しか流せないケーブルであるから、そういう所まで見極めて選ばなければならない。
尤も、5V 900mA以下(或いはUSB BCに対応すれば5V 1500mA)の充電で良ければ、電源用の銅線に1000mA以上の電流を流すに十分な断面積を持つ、単にコネクタ間を結線しただけのケーブルでも問題は無い。とはいえこの場合でも充電電流を制御するための適切な値を持つ抵抗器を内蔵(この抵抗器自体が電流制限しているわけではない)していないと、デバイスを破壊する場合もあるようだが。
また、単に充電や給電のみを求めるのならまだ問題は単純であるのだが、USB 3.1 Gen2(10Gbps)のデータ送受信をしたいとか、オルタネートモード(以下 Alt mode)によるUSB以外の信号伝送で外部ディスプレイ等の周辺機器を利用したい場合、ケーブルの選択は“最悪単にコネクタ形状が合っていれば良い”という事にはならないため、ケーブルの選択はさらに難しくなる。
前者の場合ケーブル長が1M以下という制限がある上、例え長さが1M以下であってもケーブルの品質が悪ければ信号の劣化を招いてトラブルの原因になる。これはパッケージでUSB 3.1 Gen2対応を謳う製品を買う以外に消費者が選び出す方法が無い。
そしてAlt mode対応の可否はさらに問題だ。
Alt modeに対応するにはケーブルにE-Markerを導入する必要があるが、E-Markerのあるケーブルの製品パッケージには「USB-IF認証取得」とか「USB PD対応」としか書かれていない。少なくとも私はAlt modeに対応と明記されたケーブルを見たことがなく、メーカーの製品情報でかろうじて“DisplayPort対応で4K 60pの表示が可能”と、間接的にAlt mode対応を匂わせる説明を1件だけ見つけたのみである。
またE-Markerのチップはメーカーや仕様にいくつも種類があり、Alt modeがどの程度動くかはチップの仕様に拠る(最悪USB PD対応のみでAlt mode無しなんて事もあり得る)ためにケーブルの仕様を見て何がどこまで対応可能か確認したいのに、仕様にAlt modeの対応に関する情報が書かれた製品は先に書いた一つだけ。
これではどのケーブルを買えば目的が果たせるかわからないではないか。
まあ、私個人に限って今の状況で「両端がType-Cコネクタで、USB PDは20V 5A給電に対応、USB 3.1 Gen2の10Gbps伝送に対応し、Alt modeで外部ディスプレイや外付けグラフィックモジュール(PCI Expressを外に引っ張り出してデスクトップ用ビデオカードを接続するモノ)が利用できる」という、フルスペックのType-Cケーブルなど必要は無いのだが。
USB Type-Cケーブルはフルスペックの1種類だけあればいい。
そう思うのは私だけだろうか。
参考:
USB超入門
http://www.ratocsystems.com/products/feature/usb31/
サイプレス、(中略)コントローラーを発表
http://www.chip1stop.com/news/NC00016254/
最新の規格では、USB PDの上位モード(5V 1.5A以上の電源供給)がType-Cケーブルを使用した場合に限られ、USB PD対応のType-AやType-Bコネクタを持つケーブル自体が仕様から削除された事が比較的目立った変化だろうか。
後はUSB 3.1のGen1(5Gbps)の場合ケーブルの仕様は従来のUSB 3.0と同等だが、Gen2の10Gbpsを利用する場合ケーブル長は最大1Mまでの制限となり、USB 3.0では実用上最大2mもあれば足りていた事から1.5~2m程度の長さが主流でケーブル長の制限を意識しなかったが、USB 3.1 Gen2の速度が必要な場合はケーブル長の制限を意識しなければならなくなった。
こうした状況の中で、USB Type-Cコネクタを持つケーブルは同じ見た目にも関わらず大きく仕様が違う製品が多数売られ、そのおかげで外見だけで判断して必要な製品を選ぶ事が困難になった。
現在売られているType-Cケーブルの種類。細かい仕様違いを全部含めると何種類になるのか考えたくない。
単に従来からあるUSB Type-Aコネクタを持つ充電器とType-Cコネクタを持つデバイス間をつなぐ場合、普通に考えれば単純に片方がType-Aでもう片方がType-Cのケーブルを買えば良いと思うのは普通だし、充電器とデバイス双方がType-Cコネクタならば両端がType-CコネクタのケーブルであればなんでもOKと思うのが普通だろう。
しかしUSB給電による充電は、単に5V 500~2000mA程度の給電で充電する最も初期の仕様と、USBの追加仕様で定められたUSB BCやQualcommのQuick Chargeに代表される急速充電規格、そして最新のUSB 3.1の規格策定でほぼ仕様が固まったUSB PDによる充電の、大雑把に3つの規格が混在する。
従って消費者は、自分の持つUSB電源装置(例えば充電器)とType-Cコネクタを持つデバイスがどの規格をサポートするのか把握し、把握した規格に合った仕様のケーブルを買う必要がある。USB PDによる専用Modeで5V 1.5A以上 ~ 20V 5Aの充電(給電)が必要なら、USB PD対応のIC チップ(E-Marker)を内蔵し、必要なら最大で5Aの電流を流せるケーブルが必要だが、現在売られているE-Marker内蔵のケーブルの大半が3A以下しか流せないケーブルであるから、そういう所まで見極めて選ばなければならない。
尤も、5V 900mA以下(或いはUSB BCに対応すれば5V 1500mA)の充電で良ければ、電源用の銅線に1000mA以上の電流を流すに十分な断面積を持つ、単にコネクタ間を結線しただけのケーブルでも問題は無い。とはいえこの場合でも充電電流を制御するための適切な値を持つ抵抗器を内蔵(この抵抗器自体が電流制限しているわけではない)していないと、デバイスを破壊する場合もあるようだが。
また、単に充電や給電のみを求めるのならまだ問題は単純であるのだが、USB 3.1 Gen2(10Gbps)のデータ送受信をしたいとか、オルタネートモード(以下 Alt mode)によるUSB以外の信号伝送で外部ディスプレイ等の周辺機器を利用したい場合、ケーブルの選択は“最悪単にコネクタ形状が合っていれば良い”という事にはならないため、ケーブルの選択はさらに難しくなる。
前者の場合ケーブル長が1M以下という制限がある上、例え長さが1M以下であってもケーブルの品質が悪ければ信号の劣化を招いてトラブルの原因になる。これはパッケージでUSB 3.1 Gen2対応を謳う製品を買う以外に消費者が選び出す方法が無い。
そしてAlt mode対応の可否はさらに問題だ。
Alt modeに対応するにはケーブルにE-Markerを導入する必要があるが、E-Markerのあるケーブルの製品パッケージには「USB-IF認証取得」とか「USB PD対応」としか書かれていない。少なくとも私はAlt modeに対応と明記されたケーブルを見たことがなく、メーカーの製品情報でかろうじて“DisplayPort対応で4K 60pの表示が可能”と、間接的にAlt mode対応を匂わせる説明を1件だけ見つけたのみである。
またE-Markerのチップはメーカーや仕様にいくつも種類があり、Alt modeがどの程度動くかはチップの仕様に拠る(最悪USB PD対応のみでAlt mode無しなんて事もあり得る)ためにケーブルの仕様を見て何がどこまで対応可能か確認したいのに、仕様にAlt modeの対応に関する情報が書かれた製品は先に書いた一つだけ。
これではどのケーブルを買えば目的が果たせるかわからないではないか。
まあ、私個人に限って今の状況で「両端がType-Cコネクタで、USB PDは20V 5A給電に対応、USB 3.1 Gen2の10Gbps伝送に対応し、Alt modeで外部ディスプレイや外付けグラフィックモジュール(PCI Expressを外に引っ張り出してデスクトップ用ビデオカードを接続するモノ)が利用できる」という、フルスペックのType-Cケーブルなど必要は無いのだが。
USB Type-Cケーブルはフルスペックの1種類だけあればいい。
そう思うのは私だけだろうか。
参考:
USB超入門
http://www.ratocsystems.com/products/feature/usb31/
サイプレス、(中略)コントローラーを発表
http://www.chip1stop.com/news/NC00016254/
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