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上海問屋の磁石式充電コネクタの性能とやら [スマートフォン]

新しいデバイスを手に入れると、それに関連する様々な用品が欲しくなる。

VAIO Phone Aを入手後、私がVAIO Phone Aのために最初に買ったモノはスマートフォン用のケース。持ち歩くためにハダカのままポケットに入れた場合色々不便なので、20年ほど前に買った携帯電話を脇の下に吊るすショルダーホルスターのハーネスだけを再利用し、VAIO Phone Aを吊るせるよう改造するために買った。

vh_sh.jpg
改造したケースをハーネスに取り付けた状態。ケースはハーネスから外してズボンのベルトに付けたり、ネックストラップで首からブラ下げたりも出来る。


次に欲しいと思ったのがVAIO Phone Aの各部に開いた穴を埋めるプラグ。

特に充電時最大2A程度の大電流が流れるMicro-USBコネクタは、可能なら常にフタをしておきたい。何故なら、脇の下に吊るすとなると汗の蒸発による水蒸気が原因で結露が起きやすいからだ。

が、充電の度にプラグを付け外しするのは面倒だ。
だったらMicro-USBコネクタに刺しっぱなしに出来る“何か”があればいい。

そう考えて検索するとあっさり見付かった。

それは磁石で付け外しが可能なMicro-USBコネクタの付いた充電ケーブルだ。

ただ、最初に見つけたいくつかの製品は、そもそも製品の構造上信頼に値するモノはほぼ望めない状況の中で2000円前後とあまりに高価であった。正直ゴミになる可能性が高い製品に2000円払う気はまったく起きないし、同様にMicro-USBコネクタで電源供給する必要がある他の製品にも使いたいため最低でも3個、予備も考えれば5個欲しい。するとゴミに1万円も払う必要があるので、それらは全て却下された。

そして次に思いついたのが“上海問屋”。
あそこはこのような「中国製のあったら便利」な製品を安価に売りに出す事があるので、“扱っているのであれば、タイミングが悪くなければ購入出来る可能性があると思った”。

結果はビンゴ。


上海問屋では磁石式ケーブルと通常のMicro-USBケーブルを変換する磁石式アダプタの二種類がタイミングよく売られていた。上海問屋ではこういう類の製品が毎日のように新製品として登録されているが、ほとんどがスポット入荷であり、継続して何度も入荷する物は限られる。従って、売り切れると再度入荷する保証は無いのだ。

これらはケーブルが税込み899円、アダプタが税込み399円と安価で、特にデバイスに刺しっぱなしにするコネクタを安価に入手したい私としては、ケーブルに付属するモノと同じコネクタが付属するアダプタが399円で買える事は非常に有難かった。

こうしてケーブルを1本、アダプタを4個注文。合計で送料込み2711円で買う事が出来た。

usb_mag_01.jpg
上海問屋で売られていた“microUSB マグネットケーブル”及び“マグネット式microUSB 変換アダプタ”。
赤いケーブルと温度計は性能を測るために用意したもの。


さて、目的のモノが入手出来た所で、問題となるのは充電のロスがどれだけ増えるかと、磁石式のコネクタ部の発熱がどの程度になるかだ。

usb_mag_03.jpg
磁石式の接続部分。よく見ると、アダプタの方は磁石が二分割なのがわかる。
端子の部分はリバーシブルになるよう工夫されているが、接触面積は極めて小さい。

磁石の吸引力で点接触の端子を押し付ける。こんな接続方法では適切な設計と設計を100%反映した製造がなされなければ接触部の抵抗が多すぎて発熱が激しいシロモノになる事は確実。しかも、モノが中国製である。磁石による接続のコネクタ部だけでなく、その前段部であるケーブルや、Type-Aコネクタだって信用できない。だから私はケーブルを一本しか注文しなかった。


そこで、まずは充電ロスがどれほどのものになるのか試験した。

条件は充電器が5Vで最大2Aというスペックの充電器を用い、負荷となるデバイスには消費電力の多い「Teclast X98 3G」を動作中のまま充電する。この条件であれば充電器の2Aという最大電流を余す事無く引き出せるからだ。(本当ならば最大3A以上の充電器を用意すべき。手持ちに3A充電器はあるが、コネクタがMicro-B直付けなのでしょうがない)
また、電流の計測は充電器の負荷によって電圧が変動したため、いずれも5.2V時の電流値を記録した。


手順は

1.過去にロスが少ないと判明している、信頼性の高いケーブルで何A流れるか計測。
2.“microUSB マグネットケーブル”で何A流れるか計測。
3.信頼性の高いケーブル+“マグネット式microUSB 変換アダプタ”で何A流れるか計測。

である。
充電中の電圧と電流の計測には、USB接続タイプの「RT-USBVAC」という簡易な測定器を用いた。

usb_mag_04.jpg
計測中の図。

そして結果は以下の通り。

信頼性の高いケーブル1.96A
microUSB マグネットケーブル1.44A
信頼性の高いケーブル+アダプタ1.70A


この結果から判明した事は、“microUSB マグネットケーブル”では0.52Aものロスが起きている事と、同じ磁石式コネクタを使う“マグネット式microUSB 変換アダプタ”では0.26Aとケーブルに対し半分のロスしか起きていない事だ。

つまり“microUSB マグネットケーブル”はケーブル本体だけで0.26Aのロスが起きている事になる。

これはもうどちらを使うべきか、迷う必要も無いだろう。


次は最も重要な、磁石式コネクタ部の温度計測。

条件は約1A流れている時と、約2A流れている時のコネクタ表面温度を、充電開始から30分ほど放置した時点で計測。室温は約20度で、コネクタの周囲は放熱を遮るものが一切無い状態で行った。

結果は以下の通り。

usb_mag_06.jpg
usb_mag_05.jpg

計測時電流1.13A35.3℃
計測時電流1.90A48.2℃


室温が約20℃の状態でこれだ。
アルミ製のガワの表面温度でこれなので、コネクタ内部の温度はもっと高いと想像出来る。
また、コネクタの個体差や接触部の状態及び周囲の環境によってはさらに温度が高くなるだろう。

これではコネクタの温度が上がり過ぎないように対策しなければ、最悪の場合コネクタの焼損、場合によっては発火の可能性もゼロではない。


以上の事から、私の主観で「上海問屋の磁石式充電コネクタの性能」とやらは、その形状から想像するよりかは充電ロスと発熱は低いが、何も考えずに使うと事故に繋がる危険性がある、という結論に至った。

耐久性については時間をかけてテストしなければ結論は出ないが、値段を考えれば耐久性は高くないと思われる。特にこの形状は端子の接触部が簡単に汚れるし、その結果電食が起きやすくなるので、もしそのような状態で充電をしたら一発で壊れる事もあり得る。
デバイス側の端子は充電するまえに目視でチェックして、汚れたり濡れている場合はきれいにふき取ってから充電する必要がある。

もしこの記事を見てこのような製品を買う(或いはすでに使用している)人がいたならば、充電中のコネクタ温度と、充電する前の接点の汚れには十分注意を払ってほしいと思う。




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