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USB Type-Cコネクタのピンアサインについて書いた記事の修正について [USB]

※2018/07/11追記
現在のUSB PD規格は、Type-AとType-Bコネクタに関する規格が削除されています。USB PDの特徴である最大100Wの電力供給はE-Markerチップを内蔵したType-Cケーブルのみに適用されるもので、通常のA-BコネクタケーブルだけでなくA-Cコネクタケーブルであっても、最大5V 0.5~1.5A程度の給電に制限されます。

先日「通りすがりですが」様よりご指摘いただいた件について、私なりに調べが付いたので元記事を修正した。

USB Type-C コネクターピンアサイン
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2014-10-02

誤解を招く重大なミスを指摘してくださった「通りすがりですが」様に感謝すると共に、私の書いた記事を参考にしたくださった方々にはType-Cコネクタの理解について誤解を与えた可能性があり、深くお詫び申し上げる。

以下は修正したピンアサインの図。以後の説明の参考にしてほしい。

USB Type-C pin assign.png


さて、変更された記事の内容は元記事を読んでいただくとして、ミスの確認と記事内容の根拠となる USB.org よりダウンロード出来る資料より抜粋した記述と共にUSB PDとCC端子について説明したい。


以下、“USB Type-C Specification Release 1.2”より抜粋した内容


・“2.5 V CONN”より抜粋
 V CONN is independent of V BUS and, unlike VBUS which can use USB PD to support higher voltages, V CONN voltage is fixed at 5 V.
 V CONNはV BUSから独立しており、VBUSと違ってUSB PDが高い電圧をサポートするために用い、V CONN電圧は5Vで固定される。


・“Table 4-1 USB Type-C List of Signals”より抜粋

 CC channel in the plug used for connection detect, interface configuration and V CONN
 CCチャンネルは接続の検出とインターフェイスの設定及びV CONNに使用される


・“4.2.5 Configuration Pins”より抜粋

 Once a connection is established, CC1 or CC2 will be reassigned for providing power over the V CONN pin
 いったん接続が確立されると、V CONNピンの上のパワーを提供するためにCC1またはCC2 は再割り当てされる


・“4.5.1.2 Connecting Sources and Sinks”より抜粋

 a. USB PD communication over CC for advanced power delivery negotiation
 a. 高度な電力供給交渉(訳者注:電圧や電流の設定)のためのCC上のUSB PD通信



抜粋は以上。

英文の下に私の意訳を添えたがどうだろうか。

抜粋の内容について、まずはVCONNについての説明の内CCに関連する最も重要と思われる部分を抜粋したが、この説明によるとVCON(後に説明するがCCを再設定するとVCONになる)はUSB PDで5V以上の電圧をサポートするために用いられるようだ。

その下の抜粋はCCの説明をしていて、コネクタ同士の接続を検出し、V CONNにもなる事が書かれている。

さらにその下はCCがV Conに再割り当てされる事が説明されている。また、ここまでの説明からV CONNは単一の5V電源となるが、PLC(電力線通信)としても機能して通信も行うようだ。

最後の“4.5.1.2 Connecting Sources and Sinks”からの抜粋は、CCにオプション設定されているUSB PDの説明。ここにははっきりとCCで電力供給のための通信をすると書かれている。

ついでに別の資料(USB_PD_R3_0_V1.0a_20160325.pdf)に“USB Power Delivery Communications Stack”という図があったので、pdfより抜粋してここに掲載する。

USB_PD_Comm.png


というわけで、CCはケーブルと機器の接続を認識するための信号をやりとりするために使われるが、同時にUSB PDの電圧設定や供給可能な電流の設定にも使用される。

Texas InstrumentsのTPS25810というUSB Type-C電源コントローラの説明でも、「CCラインを介して、UFPに選択可能なVバスソース電流能力を通信します。」とあるので、Type-Cコネクタを使用するケーブルでUSB PDを利用する場合には必要な情報をCCで通信している事に間違いは無い。

一方で「通りすがりですが」様の指摘にあった“Power Deliveryは図の+5V(VBUS)を使って通信が行われます。”という部分については、CC端子の存在しないType-AやType-BコネクタでもUSB PDは使用可能という仕様なので、そのためのVBUSを信号線にも使う“PLC over VBUS”というものがあって、Type-C以外のコネクタでUSB PDを使う場合に限るがVBUSを使って通信を行うのは事実であった。

ちなみにCCがIDピンの拡張であるという指摘も正しく、私が図に書いた「USB Power Delivery Communication」という説明は機能の一部しか説明していない(しかもオプション扱いの方)ので重大な誤解を招くという意味で正しくなかった。この間違いに関しては元になった説明図のCCに関する記述が多くて、目に付いた「USB Power Delivery Communication」以外を削除して書いた可能性がある。

なんにせよ間違いは間違いであるので、修正前の私の書いた記事を見た方々には申し訳なかった。


※2018/07/11追記
以下の追記部分は、現在USB PD規格より削除されている内容となります。

追記。

PLC over VBUSについての説明を、資料からの原文と私の意訳と共に書く。
(注記:PLC over VBUSという言葉自体は、USB PDの資料の中では使われていない造語と思われる)


資料とした「USB Power Delivery - 1.0 Introduction」によると以下のような説明になっている。

・Enables voltage and current values to be negotiated over the USB power pins
 (電圧と電流の設定はUSBのパワーピンで通信して決定する))
・Work equally well with USB 2.0 and USB 3.0(USB 2.0 と USB 3.0で使用可能)
・Existing cables: up to 7.5W(既存のケーブル:最大7.5W)
・PD-aware cables: up to 100W(PD対応ケーブル:最大100W)
・Over V BUS only, no data line usage or reliance(データ線は使わず、VBUSのみ使用する)


PD対応ケーブルでは、5V 2Aの10Wから20V 5Aの100Wまで、5つのプロファイルが設定されている。

肝心のPLC over VBUSについては下図を見てほしい。

PLC over VBUS.png

図にある通り、VBUSを電力供給と通信の両方に使う。
日本国内で一般家庭向けに策定された、AC100V線を使うPLC(Power Line Communications)も考え方としては同じだ。


さらに追記。

PLC over VBUSの説明に使った図に「Plug identification」という線が出ていて、これが何なのか疑問に思って調べていたら、USB_PD_R2_0 V1.2 -20160325.pdfという資料の中に、Type-A及びType-BコネクタでのUSB PDの情報が見付かった。

資料によると、USB PDに対応するType-Aコネクタには10~13番まで端子が4本増やされていて、10,11番端子がUSB PD対応ケーブルの判定に使用される。Type-Bコネクタの場合は10番端子のみ増設され、この端子でUSB PD対応の判定を行う。
つまり、従来のType-A及びType-Bコネクタ及びA/Bコネクタケーブルではこの端子が存在しないので7.5Wまで、増設された端子が存在するType-Aコネクタ及びType-Bコネクタを持つ機器とケーブルの組み合わせでのみ、最大100Wの電力供給が可能になるようだ。

USB_Type-AB_PD.png
資料中にあった図面より引用。左がType-Aで増設された10,11番端子、右がType-Bで増設された10番端子の位置を示す。(赤丸で囲って引き出し線で番号を振っている)

Type-Aに増設された残りの12,13番端子はレセプタクル(つまりメスコネクタ)のみに存在し、プラグ(つまりオスコネクタ)が刺さっているかどうかの判定に使われ、オプション設定で他の機能(Cold socket applicationとなっている)にも使われる事になっている。


また、当然だがUSB PDで電力供給されていても通常のUSBとしてデータ通信は可能。
例えばUSB PD対応のハードディスク(例えば3.5inchとか)などをUSB PD対応ケーブルでUSB PD対応機器のコネクタに接続すると、ハードディスクの読み書きも出来る。



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