SSブログ

セレナの自動運転機能搭載車が発売される [クルマ]

昨日書いた記事から、自動車つながりで今日は自動運転機能搭載自動車の話。


日産が自動運転機能を搭載したクルマを今年8月に発売する。

「自動運転機能」車を初投入 日産がミニバンを選んだ狙い
http://news.so-net.ne.jp/article/detail/1274032/

以下、元ネタの記事からの抜粋。


・日産自動車が、自動運転機能を搭載したミニバン「セレナ」を2016年8月下旬に発売する

・高速道路の単一車線を走り続ける場合にアクセル、ブレーキ、ステアリングを自動制御する

・運転手がハンドルから一定時間手を離すと警告が出るなどして自動運転は解除される


という事で、速度のみ維持するオートクルーズの自動化を、ブレーキとハンドル操作にまで拡張した感じのようだ。


自動運転については似たものとしてすでに高い実績のある技術が存在する。それは航空機の自動操縦装置や機体制御技術のフライ・バイ・ワイヤであり、フライ・バイ・ワイヤに関しては自動車であればドライブ・バイ・ワイヤとでも言うのか。

自動車の場合アクセルに関してはすでにアクセル・バイ・ワイヤが市販車に搭載されているし、ハンドルやブレーキにも自動駐車機能など一部自動運転機能として同様な装置が搭載されているが、要はこれらが航空機に搭載された技術と同等の完成度であれば機械的な信頼性は十分に思う。

しかし障害物が基本的に他の飛行物体(鳥とか飛行機、場合によって地形などもあるが)しか存在しない航空機と違い、地上を走る自動車は障害物だらけの道路を走る。しかもその障害物の一部(人や他の自動車など)は移動もするから、ある意味航空機よりもはるかに高度な周辺状況の確認及び運転操作の機能が必要だ。

なので、センサー技術とセンサーからの情報を分析・判断するソフトウェアの技術に非常に高度なものが必要になることに加え、車載コンピュータのハードウェアとしての信頼性も単に故障しにくいとかだけでなく熱や振動や各種汚染物質からの保護や耐性を持たせたものでなければならない。耐用年数も通常のパソコンよりはるかに長くなければならず、しかもコンピュータが故障した場合に安全性を確保する機能まで備える必要がある。

ちなみに、~・バイ・ワイヤというのは、操縦者の操作を機械的な伝達ではなく電気信号に変換してからコンピュータ制御を仲介させる事で、高度な補正機能と共に場合によっては操作の自動化をするものを指す。
自動車の場合故障した場合を考えて安全策としてハンドルとブレーキを機械的な直結を維持した上でモーターやアクチュエータなどによる操作を介在させると思われるが、モーターやアクチュエータが誤動作したら人力でそれに逆らう事には無理がある。航空機の場合は周辺に障害物がほとんど無いし、誤動作があっても操作系統が多重化されているので切り替えによるバックアップで難を凌げるかもしれないが、自動車の場合は恐らく即事故になる。


まあ機械的な故障ならば、故障を検知したら自動操作を物理的に停止する装置を自動運転とは独立した装置として取り付ければ良いかもしれない。だが、ソフトウェアのバグはどうか。過去の記事で何度も書いているが、ソフトウェアのバグを取りきるのは難しい。ましてやWiFiなどの無線通信で他のコンピュータと接続出来るのならば、機能的には問題の無いバグであっても外部からの操作を可能にするものであれば車載コンピュータを乗っ取り、誤動作させる事も可能である。

これはフィクションなどではなく、すでに自動運転機能を搭載した自動車を外部からリモートで動かす実験も行われ、それが可能である事が証明されているのだ。


自動車を開発・販売する各社は、現在必死になって自動運転の研究開発をしているが、コンピュータセキュリティの専門家にはセキュリティに関する開発が遅れているという指摘がされている。
現在自動運転車でなくても無線ネットワーク機能を持つコンピュータを搭載した自動車は数多く市販されているが、そのいくつかの機種では簡単に車載コンピュータを乗っ取る事が出来るという実験まで行われているので、同じシステムを搭載したものであればその全てが同様に乗っ取る事が可能と言うわけだ。

乗っ取られた結果がエアコンやワイパーの遠隔操作程度なら笑い話で済むかもしれない。
だが、自動運転車であれば外部から操縦して事故を起こす事が可能なので、自動運転車は犯罪やテロを計画する者にとっては非常に便利な道具となる。やろうと思えば運転手が不要な自動送迎車として使う事も可能であるので、犯罪やテロを成功させる障害が下がる事は確実だ。


走るパソコンとなっている現在の自動車は自動運転の機能を獲得するに至り、パソコンの抱える多くの問題までをも内包する事でそれが命の安全に直結する問題になった。
機械的なバグはある程度目に見えるのでバグ取りも比較的容易だが、コンピュータのソフトウェアはそうもいかない。

この問題に対して各社はどんな解答を出してくるのか。
8月末にも発売されるという、日産のセレナがどんなものか注目したい。



追記。

自動運転機能が完璧であっても、自動運転から手動に切り替わった時が一番危ない。
自動運転に慣れた人間の運転技術や危機管理能力は、全て手動のクルマに慣れた人より確実に落ちる。
その辺りの問題を、自動車メーカーや自動運転を推進する立場の人達はどう考えているのか。
完璧な自動運転でハンドルすら付いていない自動車を使用する事が前提というのなら話は違って来るが。
今後はそういう一面にも目を向ける必要があると思う。



nice!(10)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:パソコン・インターネット

nice! 10

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0