SSブログ

HGST Ultrastar He10 [ハードディスク]

現地時間で昨日の12月2日、HGSTから新しい10TBハードディスク「Ultrastar He10」が発表された。HGSTには他に「Ultrastar Archive Ha10」という10TBモデルが存在するが、この新型ではなく「Ultrastar He8」の後継モデルと思われる。


現在一般向けのハードディスクは3.5inchでプラッタ(内部の円盤)1枚当り1~1.2TB程度。これを最大5枚入れる事で最大6TBを実現している。
6TBを超える容量となると8TB/10TBの2種類が存在するが、これらは普通のハードディスクではない。一般的な3.5inchハードディスクは厚さが26.1mmで規格統一されている。このサイズに収まるディスクの枚数は様々な理由から5枚が限界。従ってプラッタ容量を上げない限り、1台当りの記憶容量は6TBが限界である。


現在記録容量8TB以上のハードディスクを製造するメーカーはHGSTとSeagateの2社。

この内Seagateは最大8TBで“SMR”という技術を使い、1.33TB/枚のプラッタ6枚構成。ハードディスクの構造は従来通りの開放型なので、プラッタ6枚を詰め込むのはかなり無理をしている事になる。
ちなみに無理してプラッタ6枚詰め込んだ事が理由なのかはわからないが、Seagateの8TBモデルである「ST8000AS0002」は故障率が高い事で有名だ。

これに対しHGSTはハードディスク内部にヘリウムガスを充填する事でプラッタ枚数の限界を増やす技術“Helio Seal”を開発し、1.2TB/枚のプラッタ7枚構成で8TBと、これに“SMR”を組み合わせた10TBのモデルが今までのラインアップだった。

そして今回発表された「Ultrastar He10」は、SMRを使わずに10TBを実現している。
プラッタ枚数は7枚、プラッタ当りの容量は1.5TB/枚にもなる。プラッタ当りの記録密度の限界がまた一つ突破されたわけだ。


それにしても何故、HGSTは“SMR”を使ったモデルを出しながら今回は採用しなかったのか?単純に容量を稼ぐならば“SMR”を使って12TBも可能なはず。と、思う人もいるかもしれない。
しかし二つある同じ10TBモデルの型番を並べてみればわかる。

発売済み → Ultrastar Archive Ha10
今回発表 → Ultrastar He10

見ての通り、発売済みの方は“Archive”が付く。HGSTの説明によると『アクセスが多く性能が求められる「ウォーム」タイプと、容量が求められるリムーバブル式「オフライン」との中間にあたる「アクティブアーカイブ」向けに位置付けられる。』とのこと。つまりSMRを使った「Ultrastar Archive Ha10」は用途が違うわけだ。
“「ウォーム」タイプ”とは通常のハードディスクの守備範囲で、“リムーバブル式「オフライン」”とはテープの事だろう。SMRを採用するハードディスクは、ディスク全体ではハードディスクの特徴であるランダムアクセス、そしてブロック内はテープと同じシーケンシャルアクセスという特徴のため、その中間の扱いには納得出来る。


というわけで、SMRを使わないハードディスクとして史上最大容量の10TBを実現した「Ultrastar He10」。

ハードディスクの進化は続く。


参考:

SMRのSSD的書込み挙動
http://17inch.blog.so-net.ne.jp/2015-10-01

パソコン用ハードディスク大容量化の歴史
http://17inch.blog.so-net.ne.jp/2015-09-28
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:パソコン・インターネット

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。