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USB Type-C とAlt Mode [USB]

Type-C規格で新たに策定された、従来のUSB規格には無かったAlternative Mode(Alt Mode)という機能がやっと私にも理解出来たので、それについて要点を書いておく。


まずは、面倒な話を読みたくないという方のために最初に要点だけを書いておこう。



USB Type-C Alt Modeの要点は


・USBだけでTVやスピーカーやHDDなど、様々な機器をケーブル一本で接続可能

・それぞれ対応する機器同士を対応するケーブルで接続する必要がある。

・対応しない周辺機器に対しては、アダプターで対応する場合がある事が予定されている。

・話がややこしすぎて(或いは大して重要な機能ではないから)一般にはほとんど認知されない可能性大。


こんなところか。


さて。
ここからはこれらの中身についての話。
ただ使えればいい、という人は要点だけ把握していれば読む必要は無い。


USB Type-C のAlt Modeとはなにか。

大雑把に言えば「USBのケーブルにUSBじゃない規格の信号を流せる」という機能。具体的にはHDMIやDisplayPortなどの映像信号や音声信号、PCI ExpressのようなPC内部バスの信号だ。


当初私はこれらの信号がどうやったらUSBケーブルに流せるのか理解できなかった。
何故ならUSB Type-C(のコネクタとケーブル)はあくまでケーブルとコネクターの規格なので、コントローラーそのものは単に今までのUSBコントローラーを使うのだと思っていたからだ。だから、それらの信号はUSBの信号に変換されると思い込んでいた。

ところが実際はそうではなかった。
それらの規格の信号がそのまま流されるのだ。

ではどうやって種類の異なる信号をUSB Type-Cという単一のコネクタ・ケーブル規格で流せるようにしているのかというと、PCや対応機器のUSB Type-CコネクタとUSBコントローラーの間に信号の切り替え器を入れ(とはいえ当然ワンチップ化されるだろう)て、USB Type-Cに設定されているモード変更用の端子を使って何の信号を流したいのか検出する。すると切り替え器が接続先を識別して、USBならUSB、HDMIならHDMI、というように接続を切り替えてくれる。
従って、機器側は自分が何であるかという主張をするだけで自動でケーブルを流れる信号が適切に選択される。

USB Alt Mode.png
信号切り替えの模式図。USBのホストコントローラーとコネクタの間にスイッチがあり、信号を切り替える。

USB-DP.png

しかしこの機能はAlt Modeに対応するケーブルが必要である。
USB Type-CにはAlt Modeに対応したフルスペックのケーブルだけでなく、機能が限定された規格も存在するからだ。例えばUSB2.0まで対応する規格のType-Cケーブルだと、見た目は同じでもAlt Modeは使えないと思う。

USB2.0 Type-C.png
USB2.0 Type-Cケーブルのコネクター。USB3.1用と予備の端子が省略されている。

また、ケーブルの品質も問題になる。
当然品質が悪いケーブルを使うとコネクタの接触不良やケーブルの銅線の微妙な抵抗の違いなどによって信号が正しく伝わらない。過去にUSB2.0や3.0用のケーブルではそのような低品質なものが出回って、ハードディスクなどを接続すると正常に使えないというようなトラブルが起きている。
ケーブルの品質はUSB PDで大電力を扱う場合にはケーブルやコネクタの焼損、そしてそれが原因になって火災にもなるため、気をつけなければならない。

さらにホスト側の対応状況が統一されるのか、という問題がある。
USB Type-Cコネクタがあるからといって全てがAlt Modeに対応するのかというと、それはあり得ないからだ。何故ならAlt Modeに対応するためには、対応するUSBホストコントローラーが必須。となると、スイッチを内蔵するコントローラーを採用した機器以外は、同じ外見のType-Cコネクタを持っていてもUSB Type-C経由で外部ディスプレイが使えない、というような事が起こり得る。

そしてその対応状況の中身も色々あるので事態はさらに複雑だ。
今の所Alt Modeに対応することが判明しているのはHDMIとDisplayPort、それからThunderbolt(≒PCI Express)。これらに対応する機器には今後Alt Modeに対応するロゴかなにかが表示されるらしいが、コレをなんの知識もなくロゴを見ただけで理解できる一般消費者は少ないだろう。中には一方がUSB Type-C、もう一方がHDMIのコネクタというようなケーブルも考えられているので、Alt Modeに対応しない機器でも物理的には接続できてしまう。このようなケースではAlt Modeに対応させるためのアダプターが用意されるそうだが、まあ一般人には当たり前に無視されて、困った時に初めて認識させられる事になると思う。


最後に。
正直な話、このAlt Modeというのは一体誰が得をするのか?という疑問がある。
私の予想では、金をかけてAlt Mode対応の周辺機器を作ってもそれを目当てに買う人はごく少数であると思われる。あり得る典型的なパターンとしては、Alt Modeなどまったく意識をせずに買ったテレビが、USBでスマートフォンとつなげると写真やビデオがテレビで見れた!というパターン。
これ以外になにかあるとしたら、それはひとつまみ(一握りですらない)のマニア層だけであると思う。


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